
場数を踏んでこそ見えてくることがあります。雑誌やインターネットやテレビの特集だけじゃ分からないことがあります。
物事には量が質へ変換する「量質転化」するポイントがあります。量質転化はビジネス界やスポーツ界、そして学習の面でよく言われていることでもありますね。
ハイキングやトレッキングも同じです。
色々な場所を四季折々の季節、様々な時間帯、天気の変わり目の姿を垣間見てきたことで「目が肥えてきた」んです。目を肥やすには期間と行動量が必要です。この目が肥える状態になるためには、多様なシーンに遭遇することが必然だからです。
短期間でかつ少ない行動量でバラエティーな場面に出会えますか?否です。同じ場所だって季節や時間帯を変えただけで劇的に印象が変わることが多々あります。行動量が多ければ多いほど、そして自分が受けた印象の種別が多いほど引き出しが増えます。
目が肥えてくると、どの山域に、どの季節の、どの時間帯に行けば楽しめるのか?が分かるようになります。
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ここで言う「楽しい」の定義は、「うわぁ。綺麗!」とか「おー。すげぇ!」って感じる場面に遭遇できること。その場に自分の身を置いてリアルタイムに楽しさを感じることができる、という点に重きを置きます。
ストイックな環境は度外視します。ストイックな環境では目の前に打ち込むことが精一杯でリアルタイムに「楽しい」を感じることができないからです。ただ、ある程度の月日を経て過去を振り返ったとき「あー。あれはしんどかったけど楽しかったな」という遅効性はありますよね。人生という目で見たらこちらの方が「楽しい」という感覚がいつまでも残るかも。
前置きが長くなりましたね。リアルタイムに「楽しい」を基準に行ける冬山に適した装備をご紹介しますよ〜。
もくじ
リアルタイムに「楽しい」と感じる冬山は快晴で展望が利くなだからかな地形の山

晴天率が高くなる冬山は自ずと決まってきます。ここで言う冬山とは雪山のことを指しています。それはどこか?というと日本海側の気候の影響を受けない山域になります。
なだらかな雪山で、晴天率が高く展望が利く山は
・北八ヶ岳
・菅平
・浅間山周辺
になります。八ヶ岳周辺については「野辺山の飯盛山は八ヶ岳を一望できるオススメ冬山スポット!」を読んでみてください。
3月、4月頃になると日本海側の気候を受ける山域でも晴天率が高くなり、選択肢が増えてくるのですが、1月、2月の厳冬期にフォーカスすると先に挙げた3エリアが有力候補となります。
さて晴天率が高くても問題になるのが風。強風になれば晴れていても寒いったらありゃしません。体を動かしているという前提で、快晴だけど-2℃で強風にさらされるのと、日差しがなくて-10℃の環境下のどちらが寒いか?と問われたら前者です。
ちなみに、北八ヶ岳、菅平、浅間山周辺の厳冬期は早朝で-15℃から-20℃になります。日が昇って気温が上昇して気温が高い時間帯になると樹林帯で-3℃から-5℃と言った具合の気候になります。当然、稜線は気温も低くなり風の影響から体感温度は-15℃以下になることがあります。
そこで、マイルドな天候条件の時に山に入ることを前提としつつも、暴風対策はきちんとやっておきましょ、というのが基本スタンスです。
衣類の全装備一覧
説明は後でしますね。ここでは衣類を最大限に着用した時の一覧を列挙します。
上半身
・アンダー(つまりTシャツです)
・中間着(フリースやソフトシェル)
・アウター
下半身
・厚手の靴下
・アンダー(パンツですね)
・中間着(ももひきに相当するものです)
・ズボン
・アウター
末端(手とか耳)
・ニット帽
・ネックウォーマー
・手袋
・オーバーミトン
すべての衣類を着用するシーンは稜線に出て休憩している時くらいですかね。行動中は体の発熱状況に合わせて、この衣類の一部を組み合わせてレイヤリングをします。
登山開始から体の発熱が開始するまでの衣類レイヤリング
登山開始時は寒いです。登山開始時間は大体7:00前後が多いでしょうか。遅い時でも8:00過ぎには歩き始めます。この時間帯はまだ温度が低く暖房が効いた車から外に出た直後は、やたらと寒く感じます。
歩き始めですが、下半身については稜線に出た時に衣類の脱着が難しいのでフル装備で行きます。肝になるのがアウトドア用のモモヒキ(モンベルのジオライン)を履くかどうか?ですね。稜線が気温がマイナス10℃前後になるようであれば予め履いておくことが多いのですが、普段は履きません。
ということで、基本的にレイヤリングの調整をするのは上半身になります。
個人によって体感温度に差がありますので、ここでは「暑がり屋の私」と「寒がり屋のパートナー」を例に挙げましょう。双方の体感温度の差は10度あります。暑がり屋の私ですと気温が4、5℃くらいで日差しがあれば短パンで歩くこともあります。
※スマホでご覧になっている方は、上段に「私」、下段に「パートナー」が表示されます。
私「暑がり屋」 | パートナー「寒がり屋」 | |
---|---|---|
アンダー1 | 薄手のTシャツ | メッシュのTシャツ |
アンダー2 | 中厚手のTシャツ | 薄手のTシャツ |
中間着 | シェル系フリース | フリース |
アウター | 着用しない | ハードシェル |
帽子 | ニット帽 | ニット帽 |
手袋 | ウールの手袋 | ウールの手袋 オーバーミトン |
表をご覧の通り私は歩き始めから、ハードシェルは着用しません。手袋もウールだけです。理由は写真撮影が面倒になってしまうからです。
体が発熱してから樹林帯を抜けるまでの衣類レイヤリング

歩き始めて15〜20分も経つと指先まで暖かくなってきます。ただ、これも個人差があってパートナーは指先まで発熱するまでに1時間以上かかります。体のほうはすぐに熱くなってきますね。大きな筋肉(脚)を使ってますから。気温が氷点下でも汗ばんできます。この頃になるとレイヤリング調整をしなくてはなりません。
2人とも着ているものを1枚脱ぎます。更に私はここでウールの手袋ウールの手袋、帽子を脱ぎます。上半身に来ている衣類は2枚だけですね。ほぼ毎回この状態で稜線まで駆け上がってしまいますね。
途中で休憩を取る時だけ、歩き始めに着ていた衣類を中間着を着ます。私はティートンブロスのAftonを着ています。
樹林帯を抜け尾根を歩いている間の衣類レイヤリング
ここまで来る頃には太陽の日差しも強くなり、体の発熱も加わって快適に歩けるようになります。しかし、樹林帯を抜けると時折、風が吹いてくることがあります。そうすると、「うー。さぶ」ってなります。やはりここでも同様に中間期(ティートンブロスのAfton)を着たり脱いだりします。
最後に気をつけるべき点はピークの直下です。頂上に出てしまうと一気に風の具合が変わることがあります。まるで体感温度が異なります。ここで大事なのはアウタージャケットを予め着用しておくことです。場合によってはネックウォーマーやオーバーミトンも着けます。
実際にはどんな素材の衣類を着るのか
ベースレイヤー:
パートナーはファイントラックの半袖タイプの「ドライレイヤー」を着ています。理由は汗冷えを防止するためです。
ファイントラック(finetrack) スキンメッシュT (女性用もあります)
私は一番下にモンベルの「スーパーメリノウール」を着用しています。薄手の物を使っていますが、寒い早朝などでも着た瞬間「あったか〜い」って体感します。それから肌触りがとても良く速乾性もバッチリです。
セカンドレイヤー:
ここでは中厚手のTシャツを着ています。襟付きがいいですね。理由は中間着やアウターを汗で汚してしまうことを防止できるからです。モンベルのジオラインかパタゴニアのキャプリーン辺りがオススメです。私はどちらも使っていますよ。2枚あると予備にも使えていいですよ。日常生活でも使えるので洗い替えとしても持っておいて損はありません。
(モンベル)mont-bell ジオラインEXP.ハイネックシャツ
(パタゴニア)patagonia M’s Cap MW Zip Neck
中間着:
フリース一択ですね。下界でも山でも使えて便利です。だからこそデザインとフィット感が大事にしたいです。先にも挙げた通り私はティートンブロスのAfton、パートナーはパタゴニアのR2ジャケットを着ています。大人気ですよね。薄手なのに暖かいと。
残念ながら私にはサイズが合わなく諦めた経緯があります。詳しくは「Afton Jacketは洗練されたデザインのシェル感覚で使えるフリース」をご覧ください。
アウター:
アウターも値幅が広いですよね。3万円代から10万円オーバーまで・・・。
ぶっちゃけ、どこのメーカーのものを選んでも防寒能力には大差がないように思います。ですから選ぶポイントは機能性、デザイン、サイズになってきます。特に海外メーカーの場合は自分の骨格と相談しながら決めないと後悔する羽目になります。
こればかりは実際にアウトドア店に行って試し着するしかないですね。実際に着用して比較してから選ぶことをオススメします。
それでは。