あなたは景色を収めるための道具を持っていますか?
何かしら持ってますよね?
ガラケー、スマホ、タブレット、コンデジなどなど。今時、写真を撮影するための道具を持ってない人はほとんどいないでしょう。
何でも世の中に新しい物が出てくれば、従来品に対する優位点を強調しなければ製品は売れません。どんどん新しい物(に見えるもの)を発売してアドバタイズをしていかなければ企業は利益が出ないのです。
メーカーは物を売っても使う側に原理原則を売ってくれません。自分で学ぶしかありませんね。
こんな時は写真から学びましょう!というのが今日の趣旨です。
もくじ
カメラを始めた頃はビビッドで撮影していた
カメラを始めた頃、写真はいつもは高めの彩度で撮影してました。
カメラのパンフレットなんか見ると、コントラストの高いビビッドな絵で撮影された作例が掲載されていますね。確かに明暗差ががハッキリしていて、カラーが鮮やかで、バリバリの解像感のある絵を見たら、「おー!このカメラ欲しい!」ってなります。
早速カメラを入手すると、そんな作例のような絵に憧れてあれこれと設定を弄り回し、ビビッドな色を再現することに明け暮れてしまったというわけです。
そのような流れからHDR(High Dynamic Range)で撮影された写真に魅力を感じるうようになりました。しかし、HDRという手法は、人間の目で捉える以上の明暗差を無理やり作っているような気がしてなりませんでした。
そこで、白黒の写真集に目を向けるようになります。
光の世界。白黒写真
白黒写真は光の加減だけで世界を表現する、と言えるでしょう。
白黒写真の世界は水墨画が伝わってきた時代から本質的には変わっていません。水墨画でも一色の墨で、墨の分量だけで黒色の濃淡を表現しています。奥深いですね!
黒の濃淡だけで世界観を表現するためには、光を捉える能力が必要です。
光を識別する能力はどうやったら鍛えれるのか?
数多くの風景を見ることです。数多くのシチュエーションに遭遇することです。場数が必要です。機会があればフィールドに自分の身を置く必要があります。そこで何かを感じなければなりません。自分の感情が起伏することで光を捉えることができます。
その場でプレゼンスしなければ、光の加減と風景は自分のものになりません。過去でもなく未来でもなく、今、その瞬間を感じる力が必要です。
いつも、過去のことや将来のことで頭が一杯になってません? 今、この目の前のことを感じることは実践してますか?
仮にカメラの経験が浅かったとしても、よく自分の身をフィールドに置く人は、カメラのキャリアが長い人よりも光を識別する能力で勝ることもあるのです。
GENESIS
セバスチャン・サルガドのGENESISという写真集は白黒で表現された作品が数百ページにまたがって紹介されています。写真の表紙を飾っているアラスカのブルックス山脈の合間に流れる谷川の絶景に力強さを感じました。
サルガドは様々な世界、シチュエーションに自分の身を置いてきたのでしょう。「はっ!」とする写真が多いですね。
この写真を見る度にサルガドの世界に吸い込まれてしまいます。訴求力が半端なく力強いんですよ。最新のカメラを以ってしてもこの絵には太刀打ちできませんね。心が写真に滲み出るからです。
機材は大事です。でも撮影する人の在り方はもっと大事です。レンズ沼や新型機種沼よりももっと大事なことを「Genesis」から学べます。
是非、手にとってじっくりと眺めてみて下さい。
それでは。