世の中には名前が通った地名よりも美しい場所がごまんとあります。
そんな場所でもあまり名前が通らない理由は限りある時間(つまり週末の土日のこと)だけで、アプローチしにくいことが挙げられます。
雑誌を見れば、白馬岳に燕岳に穂高岳という具合に比較的アプローチしやすい場所が特集に組まれていたりします。しかし、実際に自分の足で歩いてみるまで分からない場所なんていくらでもあります。
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もくじ
双六岳から三俣蓮華岳は国内でも屈指の美しさを誇る

ほぼ毎週山に行き、テント泊を200回以上やり、国内外のトレッキングも経験してきた私が感じていること。それは双六岳から三俣蓮華岳に至るコースは世界に誇れる屈指の美しさを秘めた場所だということです。
地形が美しく、抜群のロケーションで、圧倒的な絶景が自分の身を包み込んでくれます。
このコースは、朝に歩いても、昼間に歩いても、真夜中に歩いても美しいです。夏場の7月に歩いても秋口の10月に歩いても美しいのですよ。
何度行っても飽きません。季節・時間帯で見せる表情に変化があるからです。稜線で多様な景色に出会える場所は日本国内の特色と言ってもいいでしょう。特に双六岳から三俣蓮華岳は光の変化性に富んでますね。
海外の名だたるトレッキングコースといえば、基本的には谷間歩きが多くなります。その理由は高峰に囲まれたトレイル歩きになるからです。例えば、ネパールのヒマラヤ界隈やペルーのアンデス山脈のトレッキングがそうですね。
谷間歩きでなくても、だだっ広い場所を歩くトレッキングコースも多いですね。例えば、アラスカのデナリ国立公園とか、パタゴニアのパイネ国立公園などです。
いずれも稜線歩きをするトレッキングではありません。しかし、日本の山は稜線をトレッキングすることができるんですよね。
稜線歩きが出来るのは日本の宝です。その中でも美しいと思うのが、双六岳から三俣蓮華岳の稜線、その直下に平行して走っているカール地形の巻道ルートです。
双六岳の稜線ルートは日中と月夜の真夜中に歩くのが楽しい

稜線ルートがいいなと思うのは抜群のロケーションです。日本国内でもトップクラスの景色を誇ります。
真昼間の明るい時間に歩くと、双六小屋から続く槍ヶ岳への西鎌尾根、燕岳から大天井岳、野口五郎岳、黒部五郎岳、薬師岳、雲ノ平、鷲羽岳、水晶岳がバッチリと見えます。
稜線を歩きながらこれだけの山々と複雑に入り組んだ地形を俯瞰できる場所は他にあるでしょうか。素晴らしい稜線ですよ。ホントに。

稜線ルートは月夜になると、ヘッドライトが要らないんじゃないか?というくらい明るくなります。周囲には明るさを隔てるものがないため、稜線がよく見えるんですよ。これは最高ですよ。大混雑をしている北アルプスの一部が嘘じゃないか?って思えてきますね。
ここで疑問が湧いてきます。真夜中に歩いて危なくないのか?
まず、滑落をするような場所はありません。高度感がある場所もありません。稜線ルートと並行して標高差100mほど下に巻道ルート(下の写真参照)が走っています。そして、カール上の地形のためなだらかです。
ただ、月夜の明るさでヘッドライトを使わなくても済むかもしれませんが、念のためにヘッデンはきちんと持ち歩きましょう。私は現在(2018年)、マイルストーン MS-B3 を使用しています。

もう一つの懸念点。低体温症の可能性はあるのか。というとあり得ます。荒天なら風がビュービュー吹きますし、行動をストップした途端、体温が落ちてしまうリスクがあります。なので、好天以外の時は絶対に夜中に歩いてはいけません!実際に私も真夜中に雨と風にやられたことがあります。下の巻道ルートですが。
このコースの利点は、三俣山荘と双六小屋が最大でも3時間程度の距離にあることです。リスクがあればどちらかに宿泊(テントも含め)し、停滞をすればいいんです。
ただし、万が一に備えてツェルトは常備しておきましょう。私はテントを持ち歩いてる時でも必ずツェルトも持ち歩いています。
朝なら断然、巻道ルートがオススメ!

ここの巻道ルートは稜線直下にカール地形があります。朝になると、草の朝露が太陽の光に照らされて綺麗なんですよ。
カールに太陽の斜光が当たると小さい規模ながらもモルゲンロートを見ることができます。歩きながらこんな光景を見られるなんて最高じゃないですか。
この景色、お金を積んでも買えませんよ? 経費は別としても、とにかくそこまでは自分の足で歩いて行かなければこの光景に出会うことは不可能です。
時間をかけて行く価値はありますね。この巻道ルートへの核心部へは新穂高から徒歩で8時間の距離となります。このコースは、雲ノ平へ続くトレイルでもあります。下記の記事は夏向けでご紹介しましたが、秋でも行けますよ。
実はここのコース、200回テント泊をした私が選ぶ北アルプスの気持ちのいいテントサイト7選で紹介した「三俣」と「黒部五郎岳」への通り道でもあります。
ここのルート、ベストシーズンは7月から晩秋の10月半ばまでかな。計画を練って素晴らしい光景に出会いに行ってみてはいかがでしょうか。
それでは。