想定読者はネパールやペルーのトレッキングへ出かけようと計画している人です。
日本国内で撮影された作例はGANREFやPHOTOHITOを探せば沢山出てきます。山の写真ならYAMAKEIオンラインや山レコでも探せますね。海外のトレッキングに的を絞るとどうでしょうか。500pxやFlickerで探すことになるのかな。
まだ行ったことも、見たこともない地の風景を思い浮かべて、トレッキングで必要な焦点距離はどのくらいだろうか?って考えちゃいますよね。
今回は、高峰の谷間を歩くトレッキングに焦点を当てて、私の経験も踏まえ、ベストなカメラとレンズの組み合わせの考察を交えながらご紹介します!
エベレスト山域やアンデス山脈のトレッキングでは、標高3000〜4000m以上の谷間を歩くことが基本で、周囲には標高6000m以上の山々が立ちはだかっています。
日本の山と決定的に違う点。それは稜線歩きではなく谷間歩きだということです。
もくじ
フルサイズ(35mm)換算における焦点距離
実際にコンデジで撮影した枚数を表にし、フルサイズとAPS-Cに換算した場合の、焦点距離を算出してみました。
使ったコンデジはオリンパスのμ790SWです。1/2.33型のセンサーを搭載。センサーはスマホと同じくらいの大きさですね。
※エベレスト街道(標高2800m 〜 標高5500m)
※アンデス山脈・ブランカ山群(標高2200m 〜 標高4750m)
焦点距離μ790SW | 焦点距離 (35mm換算) | 焦点距離 (APS-C換算) | 適合レンズ | 撮影枚数 (上段)エベレスト街道(下段)ブランカ山群 |
6.7mm | 38mm | 25mm | APS-C広角単焦点
APS-C標準ズーム
| 541 298 |
9.1mm | 52mm | 35mm | 24 26 | |
10.3mm | 58mm | 39mm | 11 16 | |
11.5mm | 65mm | 43mm | 20 6 | |
12.7mm | 72mm | 48mm | 5 6 | |
14.1mm | 80mm | 53mm | 5 4 | |
15.5mm | 88mm | 59mm | 2 5 | |
16.9mm | 96mm | 64mm | 1 3 | |
18.3mm | 104mm | 69mm | 4 1 | |
20.1mm | 114mm | 76mm | 62 45 |
90%以上の撮影は広角側です。焦点距離はフルサイズ換算で38mm。画角は準広角ですね。この表を見れば一目瞭然。望遠側を使う場面はあまりありません。標準ズーム1本でまかなえます。
フルサイズ換算(35mm)で120mmまであればほぼOK
フルサイズならこのレンズがあればOKです。
・CANON:EF24-105mm F4L IS II USM
・Nikon:AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR
APS-Cならこのレンズですね。
・PENTAX:DA16-85mm F3.5-5.6(簡易防滴付き)
・PENTAX:DA18-135mm F3.5-5.6(簡易防滴付き)
・CANON:EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM
・Nikon:AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR
・FUJIFILM:XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR(簡易防滴付き)
フルサイズなら24-120mm。APS-Cなら16-85mmがあればOK。
大口径レンズの明るいレンズはなくてもOK。それよりも広角単焦点を1本足そう
フルサイズ換算で大口径の24-70mm F2.8クラスのレンズだと、望遠側が70mm相当になってしまいます。
例えばこんなレンズたちです。
・CANON:EF24-70mm F2.8L II USM (805g)
・Nikon:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR(1070g)
・FUJIFILM:XF16-55mmF2.8 R LM WR (655g)
・PENTAX:DA★16-50mmF2.8ED AL[IF] SDM (565g)
いずれも防塵防滴でF2.8通しです。明るくて描写力にも定評があるレンズですが、重くて焦点距離もちょっと不足感あります。
ほら、引き寄せて撮りたくなる時があるじゃないですか。コンデジで画像を引き伸ばしてるので画質がよろしくないですが、これでフルサイズ換算で114mmです。70mm相当じゃ足らんでしょ。
基本的に行動するのは昼間ですので、F2.8通しの大口径レンズは不要なんですよね。それよりも単焦点の広角レンズ1本加えたら撮影の幅が広がります。
例えばエベレスト街道では、6000〜7000m峰の山間を歩きますからね。このクラスの標高が見える場所って、標高3700〜4000mを越えたあたりなんですよね。
目の前に立ちはだかる山との標高差は3000m以上あるわけですよ。それも至近距離で。その勇ましい山容をカメラに収めるんだったら、超広角レンズがあるといいですよ。
システムはAPS-C機で組むとバランスがいい。PENTAXとFUJIFILMがベスト・チョイスになる
トレッキングは歩く行為。エベレストやアンデス山脈でのトレッキングは数十キロの道のりを歩きます。機材はなるべく軽く堅牢性も欲しい。
ということを踏まえると、バランスがいい選択はAPS-C機がベスト・チョイスとなります。なぜならば、フルサイズに比べてシステムを軽量化できるからです。その分、超広角レンズも持っていけます。それから三脚もフルサイズほど大きな物は要りません。
例えばフルサイズ機を使った場合の重量。Nikon D750 + 24-120mmのレンズを使ったとしましょう。
ボディの重量が840gとK-3と40gしか変わりません。でもレンズの重量で差が出ます。総重量は1550gになってしまいます。これがK-3 + DA16-85mmだと1300gで済みます。
広角レンズを加えるとしたら単焦点がベストです。星撮りにも使えるからです。
APS-C機に絞ると次の広角レンズが選択肢に入ってきます。
・PENTAX:HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited (189g)
・FUJIFILM:XF14mm F2.8(235g)
どうですか? 重量はどちらも約200gです。APS-C機なら単焦点の広角を加えることができますね。
PENTAXとFUJIFILMはAPS-C用の広角レンズ単焦点が準備されています。これは高峰地帯をトレッキングするのにとても高いアドバンテージであることを意味します。何たってレンズが軽いんですからね。
上記に挙げた広角レンズは防滴対応はしていません。
広角レンズを使う場面って雄大な風景は景色を撮影したいときですよね? その条件を満たすには雨や雪が降っていない時です。ですから防滴に対応してなくてもOKというわけです。
APS-C機ではPENTAXとFUJIFILMのカメラ本体が防塵防滴に対応しております。
CanonでもEOS 7D MarkII、NikonではD7200、7500、D500が防塵防滴対応をしています。しかし、APS-Cとしてのレンズが対応してないんですよね。
山岳地帯を歩くわけですから雪が降ることもあります。実際に私が歩いてる時も降りました。そう言った意味でペンタとフジは安心感があります。
たださえ酸素の薄い場所を歩くわけすから荷物は軽いほうがいいんですよ。でも風景はバッチリ収めたい。それが防塵防滴に対応しているAPS-C機ボディに、簡易防滴の標準ズームレンズというわけです。
そいうわけで防滴構造に対応しているのは、標準ズームレンズだけでOK。
カメラもリストアップしておきます。
・PENTAX:K-3系、K-5系
・FUJIFILM :X-T2、X-T1
以上のことから、私ならこの組み合わせで行きます!(2人で行く場合)
・PENTAX K-3
・DA16-85mm(日中の行動用)
総重量は約1300g(SD、バッテリー含む)
・FUJIFILM X-T1
・XF18-135mm(日中の行動用)
・XF14mm(宿泊地や停滞地、星撮り用)
総重量は約1200g(SD、バッテリー含む)
一人はK-3で。もう一人はX-T1で行きます。
XF14mm + X-T1の組み合わせを選ぶ理由。
①軽量なレンズ(235g)なのにF2.8と明るいレンズだから星撮りにも使える
②X-T1の画素数は1600万画素。そのため画素ピッチが広い。高感度に強いため星撮りで活躍する。
まとめると・・・
・カメラは防塵防滴に対応しているAPS-C機でOK!
・レンズは防滴対応で16-85mmや18-135mmがあれば十分!
・明るい大口径のズームレンズは不要!
・広角単焦点が1本あれば楽しくなる!防滴対応は不要
ということで、集約すると下記の機材がベストかなーって思います。
PENTAX デジタル一眼レフカメラ K-3 ボディ ブラック
PENTAX 標準ズームレンズ 防滴構造 HD PENTAX DA16-85mmF3.5-5.6ED DC WR
FUJIFILM 望遠ズームレンズ XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR
FUJIFILM 単焦点超広角レンズ XF14mmF2.8 R
それでは。