あなたは人生の中で一番最初に取り入れたワークアウトは何ですか?
腕立て伏せ、うつ伏せになって背筋、上体起こしではないですか? 効果はありましたか?
私が高校生の頃に所属していた部活動では、腕立て伏せ、背筋、腹筋運動をやっていました。私はこれを何ちゃってBIG3と呼んでいます。実際のところ、腕立て伏せ以外はあまり役立ったとは思えません。
未だに知識のない部活の顧問や、ワークアウトを実践したことがない人が、何ちゃってBIG3を推進する姿が散見されます。
何ちゃってBIG3では実用的な動作をするうえで肝となる動作が抜け落ちています。それは垂直系の動作が入ってないことです。
あなたは垂直系の動作が大事である理由を考えたことがありますか?
もくじ
実用的な動作を要求される人たちは垂直系の動きが大事である理由
実用的な動きとは何でしょう?
それは、一定の筋力で直立したまま一定時間あらゆる方向に対して力を持続できることです。
考えてみてください。筋肉を大きくすることを目的としている人の多くは、垂直系の動作よりも水平系の動作をやっていませんか?
ベンチプレスは寝て水平方向に対して力を出します。確かに逞しい大胸筋が手に入るかもしれません。ベントオーバーローは背中を厚くする効果はありますが、やはり水平系の動作です。
ところが実用上の動作能力を向上させることを目的としている人たちは、垂直系の動作を多用しています。
クライマーは垂直方向に引き付ける力を発揮することが問われます。上方から下方に体を引き付ける動きです。クライミングをやっている人で懸垂が1回もできない、なんて人はいないですよね。
消防署や自衛隊の人たちも引く系のワークアウトは懸垂が中心です。アメリカのネイビーだって訓練のメニューに懸垂が入っています。ベントオーバーローをやっている姿は見ませんよね。
シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーたちは、鉄棒で大車輪をやったり、空中ブランコで華麗な演技を繰り拡げます。この中には水平動作はありません。全て垂直方向の動作です。彼らの動作は紛れもなく懸垂動画がベースとなっています。
登山で段差がある岩場を下る時、両脇にある岩に両手を置いて、体をゆっくりと下ろしてから足を着地させるシーンがあります。ディップスの動作ですね。この時、垂直な力を下方に対して発揮しています。
プロレスでは相手を頭上に持ち上げるシーンがあります。やっぱり垂直動作になります。
工事現場では物を頭上に持ち上げて相手に引き渡すことがあります。下から上へ。これも垂直動作になります。
どうでしょう?日常生活も含め、あらゆつシーンで垂直系の動作が入ってませんか?
スポーツには水平系の動作が要求される動きもある
あらゆる動作が垂直方向というわけではありません。水平系の動作が要求されるスポーツもあります。
漕艇(ボート)では座った姿勢でオールを体側に引きつけます。懸垂動作というよりはベントオーバーローや、シーテッドローの動きになります。
柔道ではロープ登りで体を引き付ける力を鍛えるシーンがありますが、実際には相手を自分側に引き付ける動作が多くなります。これも水平系の動きになります。
ボクシングのストレート。もし、自分と同じ背丈が相手だと水平方向にパンチを繰り出します。
プロレスでは自分が仰向けになったところに相手に乗られてしまうシーンがあります。相手を押し返すにはベンチプレスのような動作で力を発揮します。でも、実際のところ、人生においてこのような力を使うシーンは極めて確率が低いです。
さて、これら水平系の動作に対して、ベンチプレスや、ベントオーバーローが役立つのでしょうか? の答えはノーです。
あらゆる動作で大事なのは、足腰で踏ん張り、その力を胴体で支えること
水平系の動作で力を伝達するには、必ず足腰で踏ん張る必要があります。その力を胴体で支え、最後に肩や腕に力を伝達します。
もし、あなたが120kgのベンチプレスを上げることできたとしても、スクワットが100kgもできないようであれば、その力は発揮することができません。足腰で踏ん張ることができないからです。
もし、あなたの胴体の力が弱ければ、ベンチプレス120kgのパワーで押したとしても、その力に胴体が耐えられず、体がグニャっと曲がってしまいます。つまり力を伝達することができません。
水平系の動作で力を発揮するためには必ず足腰と胴体の力が伴わなければ力を発揮することができません。
足腰や胴体を鍛える動作は、スクワットやデッドリフトです。これらの動作は垂直方向に力を発揮する動作です。
言い換えれば、水平方向の力を発揮するには、垂直動作が土台となる必要があります。
垂直動作の最高峰はクロスフィットに学べ
私が最も理想とする動作がクロスフィットに詰まっています。
クロスフィットの競技やワークアウトを見れば分かりますが、彼らの動作にはほとんど水平系の動作がありません。
押す動作は、ベンチプレスよりもオーバーヘッドプレス、逆立ち腕立て、ディップスです。
引く動作は、ベントオーバーローよりも懸垂です。
垂直動作の極めつけは、スクワットやデッドリフトの動きが入った、ハイクリーンやスナッチです。
Josh Bridgesさんは身長167cm(5.5ft)、体重73〜78kg(160〜173 lbs)のクロスフィッターです。ベンチプレスやベントオーバーローはやってませんね。