当記事は、PENTAXからFUJIFILMへの一部システム移行を想定し、2017年の11月にフジフイルム スクエア(六本木にあった頃)でX-T2を借りてレンズの検証をしてきた時の話です。
この続きです。↓
以前にタイムラプスを作る私が考える4Kに対するFull HDの優位性という記事を書きました。
実際のところ、フルHDでも十分キレイだと思ってます。
しかし、4Kにも利点があります。
それはフルHD解像度までダウンコンバートし、ドーリーを使わなくてもパン効果を出せる、切り出しができるという点です。
で、実際に4K動画を撮ってみましたよ。
X-T2+ XF16mm F1.4で手持ち撮影。
アクロスフィルターを使ってみました。
動画ってカメラと違って情報量が少ないんですよね。
だから自分でやってみるしかないのかもしれません。
そして情報をかき集めて自分なりに体系化していくしかありません。
ちょっとここで、動画に辿り着いた経緯をザックリとご紹介。
詳細が知りたい方はリンク先の記事を掻い摘んでみてください。
スルーしても問題なし。
1.何となしに動画に興味を持ち、ジンバルの購入を考え始めます。
2.結局、YouTubeの動画を観たことが引き金となり、電動式ではなく機械式のジンバルを購入します。
3.実際にグライドカムHD2000にGX7を載せて撮影するも技能スキルが必要だと実感しました。
4.スキルだけでなく前腕の筋力と持久力も必要だと感じ、ワークアウトに取り入れることにしました。
5.登山で撮影するぞ!と意気込んでいたものの長丁場のため撮影などする余裕がありませんでした。
さて、次はイケた動画を制作している裏側を観てみますか。
FUJIFILMのプロモでもあるXストーリーに掲載されている動画撮影シーンの裏側を見てみましょう。
プロモーション動画の撮影現場なので、ふんだんに機材を駆使しています。
この動画で確認してできた機材
- 三脚
- 手動式のスライダー
- XF18-55mm
- XF50-140mm
- バッテリーグリップ
- AZDEN 一眼レフ用マイク SMX-30
2:36から始まる焚き火のシーンでは手持ちで撮影しています。
次の動画では人と機材をこれでもか!!というくらい動員しています。
外部レコーダーと電動式のジンバルを併用した撮影シーンも登場しています。
それから人が乗ったキャスターも。
でもな…ワンマンじゃ、これ無理だよね。
これってムービー用機材を動員するための仕様じゃないのか?って思います。
ミラーレス一眼というカメラの軽快さがスポイルされているような気がしますね。
もくじ
ワンマン撮影なら物理的に限界がある。どこまでの撮影をどのくらいのクオリティでできるのだろうか
ワンマンで撮影するなら機材に物理的限界があります。
せいぜい持ち運べるのは、カメラ本体、レンズ1〜2本、三脚 or ジンバルくらいではないでしょうか。
XF23mm F2で撮影された動画 + Ronin-M
FUJIFILMのプロモーション動画ではなく、海外のスタジオ(Cubik’s Studio)が撮影したもの。
レベルが高過ぎる。
フルHD60pで撮影をしています。
実はFUJIFILM SQUAREで広角レンズを借りた際、XF23mmを試したかった理由はこの動画にあったのですよ。
(過去記事参照:単焦点XF14mm・XF16mm・XF23mmの使い所は?実写して分かったそれぞれの特徴)
・XF23mm F2。旅行や動画で使えそう。
この動画で使っている機材は実にシンプル。
単焦点レンズ1本勝負です。
流石にスタビライザーだけは立派なものを使ってますが。
X-T2はlog撮影をできますが、これはカラグレを一切やってないそう。
2つのフィルターシミレーション(クラシッククロームと、アクロスフィルター)のみでこの色を出しています。
XF50-140mmで撮影された動画
こちらはカナダ・ケベック州のモントランブランで撮影された動画。
晩秋に撮影されたことが窺えますね。
4Kで撮影をし2K(フルHD)にダウンコンバートしていますね。
全てのシーンでXF50-140mmF2.8 を使って撮影しています。
中望遠から望遠域だけでこんな風に撮れるですね。
今まで動画は広角から準広角で撮影するものと思っておりました。
スキルがある人は道具の使い方もシンプルです。
この動画に興味深いコメントがありました。
Since the SS is 50-60. what is the fps do you used? 60fps?
cause I did learn from some youtube that you have to double up the fps to use the correct Shutter speed. for example “60 fps = 120 ss”
この動画は1/50〜1/60秒のシャッタースピードで撮影しています。
その理由はフレームレートの2倍の数値が適正なシャッタースピードとの知見をYouTubeから得たことからとのこと。
ですからこの動画のフレームレートは24fpsあたりか30fpsになります。
この動画、背景をボカしてますから絞りもF2.8を多様しているハズ。
1/60のシャッタースピードで撮影したら白飛びしまくることは容易に想像がつきます。
なぜならば、私自身が実証しているからです。
日中の撮影なら絞りF8で1/250〜1/400のシャッタースピードが適正な露出を得られます。
(過去記事参照:登山でマニュアル撮影。肝となるのはシャッタースピードだった)
日中の明るさで、絞りF8・シャッタースピード1/250と同じ露出を、F2.8・シャッタースピード1/60で得ようすると5段分の減光が必要です。
それでは計算してみますか。
絞り | シャッタースピード |
F8 | 1/250 |
F5.6 | 1/500 |
F4 | 1/1000 |
F2.8 | 1/2000 |
F2.8だとシャッタースピードが1/2000になってしまいます。
これを1/60のシャッタースピードで切れるまで減光していきます。
シャッタースピード | 減光する光量 | 必要なNDフィルター |
1/2000 | – | – |
1/1000 | 1/2 | ND2 |
1/500 | 1/4 | ND4 |
1/250 | 1/8 | ND8 |
1/125 | 1/16 | ND16 |
1/60 | 1/32 | ND32 |
そう、この動画でNDフィルターを使っている理由は、日中に背景をボカした撮影を1/60のシャッタースピードで実現をするためだということが分かります。
この撮影者はTiffen( ティッフェン )製のバリアブルNDフィルター(72mm)を併用していますね。ちなみにTiffen社はスティディカムを開発したメーカーでもあります。
ND32フィルターでもOKですね。
例えばこれとか。
この動画もクラシッククロームのフィルムシミュレーションを使っています。
もしかしたらlog撮影は要らないのかもしれませんね。
それからもう一つ気づいた点は、ジンバル類やスライダーは使ってないんじゃないのかってこと。
三脚をベースに多くのカットを撮ったのではないかと。
理由はパンやチルト撮影がないこと、浮遊感がある動きがないことです。
1:44〜1:52のシーンでは手持ち撮影っぽいですね。
1kg近くあるレンズですからジンバル撮影は厳しいのかもしれないですね。
XF18-55mmで撮影された動画
これなんか手持ち撮影です。
使用しているレンズはXF18-55mmF2.8-4 R OISのキットレンズです。
レンズの手ブレ補正が効いてるせいか動画にブレが少ないですね。
この動画もカラグレはやっておらず、やはりフィルムシミュレーションのクラシッククロームを使っています。
以上3つのワンマンオペレーションと思われる動画を観て考えられること。
- 使用レンズは1本
- ジンバルまたは、三脚をベースに撮影している。
- XF18-55mmは手ブレ補正がある → 手持ち撮影している。
- カラグレはやっていない。
- フィルムシミュレーションはクラシッククロームを使用
ワンマン撮影で移動しながら撮影するのに必要な機材とは何だろうか?
まとめるとシンプルです。
- カメラ
- レンズ1本
- 三脚またはジンバル
- NDフィルター
私がおぼろげに考えているシステムに落とし込むとこうなります。
- X-T2(X-Pro2もファームウェアで4K対応になりますよ)
- XF16mm または XF23mm
- Glidecam HD-2000
- ND16 フィルター
- ND 2 フィルター
これにオプションとして以下が加わります。
おそらくこれが物理的にコントロール可能なワンマンオペレーションの限度でしょうな。
- バッテリーグリップ
- 高速なSDカード
- レンズをもう1本
- 外部モニター
それでは。