有酸素運動をやると筋量が落ちるといいます。それは筋肉も燃焼してしまう(カタボリック)ということからくる話なのですが果たしてどれだけの影響があるのでしょうか。
ボディビルダーのように圧倒的な筋量を身にまとうことを目的とせず、かつ骨格に見合った体重の範囲内で最大限の筋量と筋力をつけ、更に動ける体になるには有酸素運動は有効な手段だと思っています。
マルチに使える体を目指すなら、骨格に見合った体重で体を自在にコントロールできる筋力が大事です。つまり体重に対する相対筋力ですね。
そして筋力に対して、より高いレベルの出力で運動を持続できる筋肉の持久力と、心肺機能が必要になってきます。だから有酸素運動も必要なんですよ。
総合力を高めることを目的とした場合、有酸素運動を取り入れると果たしてどの程度、筋量に影響するのでしょうか。
結論としては有酸素運動をやっても著しく筋量は減りません。
私はグリーンシーズンになるとほぼ毎週山へ出かけます。大体5〜8時間ほど歩きます。有酸素運動は登りのときです。行動時間の60%は有酸素運動です。ですから全行程のうち3〜5時間は心肺がリズミカルに活動しています。
じゃ、筋量≒筋力が極端に落ちるのかというとそうは思いません。その証拠にベンチプレスやデッドリフトで挙げられる重量は落ちません。夏場は8RM挙げられる重量だと状況によってはrep数は2,3回落ちる時もあります。力が出ないというよりもスタミナが切れそうになる感じです。
体のグリコーゲン補給が追いついてないのかもしれませんね。
夏場に山へ行くと体重が低下します。食べていてもです。消費カロリーに摂取カロリーが追いつてないんですね。常時67kg前後ある体重が64kg後半まで低下することもあります。
体重が低下している状態で床引きのコンベンショナル・デッドリフトをやったらどれだけ挙がるか試したことがあります。結果は160kg、つまり体重の2.5倍は挙がることを確認しました。それも登山直後でかつ空腹の状態でです。体がフレッシュな状態ならもう少しいけたかもしれません。
現在の推定最大挙上重量は180kg前後ですので、調子が良ければ理論上では体重67kgに対する約2.7倍まで挙げれる計算になります。日常的に有酸素(登山)は続けていますがパワーダウンをする様子は一向に見られません。
それを考えると、空腹で体重が減っていてグリーコーゲンが枯渇している状態にもかかわらずパフォーマンスが低下していないと思いませんか。
体全体のパフォーマンスの向上を目指すには、有酸素運動も取り入れて心肺機能と筋肉の活動を高いレベルで持続させる能力にも注力したほうがいいということです。
心肺機能を持続的に使うことを要求されるスポーツは沢山ありますよね。
トライアスロンの選手はスマートな体型をしている傾向にありますが、それでも一般の運動習慣がない人よりも断然、筋量があります。あれだけ有酸素運動をしていても体を動かすエンジンはそれなりに大きいのです。
それからサッカー選手ですね。バルキーで大きな筋肉を持っている選手は少ないかもしれませんが、それでも一般人からしたら十分な筋量があります。
以上のことから有酸素を取り入れても目に見えて筋肉が燃えてしまうことはありません。むしろ有酸素運動も取り入れて心肺機能も強化しておくべきです。
でも、大きなバルクを持ち体脂肪が少ない人が7時間とか8時間行動するような登山をやったら筋肉を燃やしてしまうでしょうね。カタボリックな状態になりますからね。どうあがいても消費カロリーを行動中に補うことは無理ですから。ガンガン入れても消化器官で処理しきれないですよ。
カタボリック(Catabolic)とは筋肉が分解されてしまう現象ですね。
心肺機能、そして自分の体を動かすための筋力があり、その運動を持続できればそれでよし!です。まだまだ先は長いですなぁ。
それでは。