最近に始まった話じゃありませんが、焚き火禁止ってところ結構ありますよね。焚き火禁止の最大の理由は、火事への懸念でしょう。
ところで、どんな場所で焚き火が禁止か考えたことありますか?
モラルという観点ではなく法的な観点からの話です。
モラルなんて誰かインフルエンサーが「これはそうなんだ!」と言えば、多数の人間が追従してしまう危険性があります。勢いに乗って筋違いなモラルが出来上がってしまうなんてことも考えらます。
世界には焚き火を奨励している地域もある一方で、日本では反応的にダメ!ガルゥルゥ〜!なんて人たちもいますよね。まだまだ自然に対する国民の教養が未熟だよなって思います。
さて、法的な観点から焚き火が禁止と明文化されている法律は、アウトドアや登山について言えば「自然公園法」と「自然環境保護法」の2つの法律があります。
もくじ
自然公園法では国立・国定公園の「特別保護地区内」で焚き火を禁止している
「自然公園法」では国立公園や国定公園について3つの目的が定義されています。
・優れた自然の風景地を保護すること
・利用の増進を図って国民が幸せになること
・生物の多様性の確保に寄与すること
自然公園法の中で、焚き火禁止事項に触れている文は以下の通り。
(e-Govの自然公園法から引用)
第二十一条 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の景観を維持するため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に特別保護地区を指定することができる。3 特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。六 火入れ又はたき火をすること。
どうでしょう?緊急時以外は焚き火をしちゃダメよ、って書いてありますね。ただし、許可を取ればいいってことにはなってますね。それが通るかどうかは定かじゃありませんが。
特別保護区は、環境省の国立公園一覧 から以下を選択すると特別保護区の地図を確認できます。
概要・計画書 > ■公園計画・管理計画 >区域図(PDFファイル)
以上の解釈をすると、特別保護区以外なら焚き火をしても法的には問題ないじゃん、ってことになります。もちろん、一定のリスクや良識の範囲を理解しているという前提条件がつきます。
自然環境保全法では5地域の「原生自然環境保全地域内」で焚き火を禁止している
「自然環境保全法」の定義は以下の通り。
・自然環境を保全することが特に必要な区域等の生物の多様性の確保すること
・国民が自然環境の恵沢を享受すること
・国民の健康で文化的な生活の確保に寄与すること
自然環境保全法の中で、焚き火禁止事項に触れている文は以下の通り。
(e-Govの自然環境保全法から引用)
第十七条 原生自然環境保全地域内においては、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、環境大臣が学術研究その他公益上の事由により特に必要と認めて許可した場合又は非常災害のために必要な応急措置として行う場合は、この限りでない。十二 火入れ又はたき火をすること。
「原生自然環境保全地域」というのは全国で5地域が該当します。詳しい地図は、環境省の環境省の「自然環境保全地域」のページを参照して頂くとして、具体的な地域名は以下になります。
・遠音別岳
・十勝川源流部
・南硫黄島
・大井川源流部
・屋久島
ここもそうだねぇ。じゃ、ここ以外だったら焚き火やってもいいじゃん!ってなりますよね。ここでモラルを持ち出すとして、じゃあ、そのモラルの明確な線引きってなぁ〜に?と明確に答えらる人はどのくらいいるのでしょうか。
ユーコン準州のアウトドアフィールドではは焚き火を奨励されている
日本と事情が異なりますが、ユーコン準州のアウトドアフィールドでは焚き火を奨励されています。熊から身を守るためです。焚き火のスキルがないと自分の身を守る術が一つ減ってしまいます。
火事のリスクは自分で処理をするのが大前提というスタンス、というのが日本と大きな相違点かなって感じますね。その点、日本では当事者が責任を取るかどうかまで心配しちゃう、というのを強く感じます。だから反応的にモラルが〜、なんて言うのかな?
個々が自分で責任を持つのが当たり前、というスタンスに立てばいいと思うんだけどねぇ。
一定の条件のもと、国立公園内で焚き火を認めている例
アルゼンチンのロス・グラシアレス国立公園はパタゴニア南部でも有名なスポットの1つです。ここはアンデス山脈のフィッツロイ山の景観を目当てに多くのトレッキング好きの人間が集まります。
ロス・グラシアレス国立公園の Recommendations ページには一定の条件、というよりも、こうしたらいいじゃない?的な表現でこんなことが書かれています。
If you are going to light a fire |
Before lighting a fire, consider this reccomendations:
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・決まった場所なら焚き火やっていいよ
・火を灯す時は木から離れてね
・地面から見える場所で乾いた木を使ってね
・炎は小さめで
・火を消すときは沢山の水を使ってね
・灰は冷やすこと
まぁ、読めば当たり前のことなんですけどね。ここが良識の部分。
もう一つ例を出しましょう。ペルーのブランカ山群のトレッキングコースはちらほらと焚き火の跡があります。もはや規制の問題ではなくやるのはモラルの範疇内です。暖をとるためにやるのが当然なんでしょう。
それでは。