春の残雪登山って快適さがありますよね。
それは
- 晴れていて風がなければ半袖で歩けるくらい暖かい
- 厳冬期とは少し違った雪景色景が見られる
- 下山の時、膝にかかる負担が少ない
といったところです。
特に景色について言えば、雲の陰が山肌に投影されると景色に立体感が出て、奥行き感が出てきて山がカッコよく見えます。
そんな私が残雪期の山に入る理由は、カッコいい景色を見たい!の一言に尽きます。
人間には五感で感じる体験欲があります。
それは、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚ですね。
景色だったり、食べ物だったり、臨場感溢れる音楽だったりします。
山は視覚(景色)、聴覚(風の音など)を満たしてくれます。
もくじ
早朝の登りではアイゼンが必要。足に重りをつけて歩いていることになる
下界が暖かくなってきても標高1500mを超え残雪がある山では、早朝の気温が低くなります。
そのため残雪が締まり(固くなる)のでスリップしやすくなります。
そこで必要になってくるのが10本爪のアイゼンです。
アイゼンを着用するだけでスリップしなくなるので格段に歩きやすくなります
しかし、アルパインブーツとアイゼンの組み合わせは、足に重りをつけて歩いていることになります。
アイゼンは片方の重量が400g弱、加えてアルパインブーツも男性用だと片方で800g前後の重量があります。
片足あたり1.2kgの重量ですね。
スマホのアプリで歩数を測定してみました。
サンプルコースは標高差1300mです。
結果はトータルで2万6千歩でした。
このうちの60%は登りでの歩数になると推測。
なぜならば登りでは小刻みに歩くことになるからです。
だとすると、登りでの歩数は1万5千歩。
実際にアイゼンを着用した区間は標高差で900m。
全体の標高差に対するアイゼン着用割合は70%。
アイゼンを着用して登った歩数は約1万歩ですね。
足先に1.2kgのアンクルウェイトをつけて1万回もの足踏み運動をしていると思えばイメージしやすいです。
稜線に出る時間帯になると足を引き上げる動作が多くなる
登山をする人は早朝から動く人が多いです。
森林限界を抜け稜線に出る頃には気温も上がって雪が緩み始めます。
標高も高いので稜線には残雪もまだ沢山あります。
雪が緩いと登っても思うように進まないんですよね。
足を引き上げ、足を雪面のステップに置いた途端に、雪が崩れてしまうというパターンです。
だから小刻みに登るしかないのです。
足を引き上げる頻度が高くなりますね。
足を引き上げる筋肉は腸腰筋
足踏みは足を引き上げる動作です。
ずっと続けていると脚の付け根が疲れてきます。
この付け根の奥にあるインナーマッスルが腸腰筋です。
登山でも腸腰筋を使います。
何千回も足を上げて歩きます。
アルパインブーツとアイゼンの重量が約1.2kgほどになりますので、腸腰筋に掛かる負荷が無雪期よりも高くなります。
だから残雪期の登山後には脚の付け根がだるくなるんですよ〜。
腸腰筋が疲れてくると足が上がらなくなってきます。
心肺機能にはまだ余裕があるのに足取りが鈍くなってきて思うように進まなくなります。
腸腰筋を使う動作
腸腰筋は足を引き上げる運動以外でも使います。
脚の付け根からつま先までを一気に動作するような場合です。
例えば
- 水泳のバタ足
- 格闘技選手のローキック
といった動作ですね。
映画を見てもブルースリーの脚は細いです。
それでもずば抜けたキック力を持っています。
単に脚を筋肉でぶっとくしただけではあんなキックを出せないことを物語っています。
パワーリフターでスクワッット300kg上げれらとしても、リーのようなキックは出せないですよね。
あのキックは腹筋と腸腰筋のパワーを脚に伝えていることによって生み出しています。
ムエタイ選手を見ると分かりやいですね。
腸腰筋を強化する方法
自宅で手軽に腸腰筋を鍛える方法は、レッグレイズと腿上げ運動です。
レッグレイズでは、脚の付け根から足先まで膝をあまり曲げずに動作をすることで、腸腰筋を強化します。
腹筋強化を目的にするなら膝を少し曲げて左右の足首をクロスさせて足を上げ下げします。
腿上げ運動では、足を引き上げることで腸腰筋を強化します。
登山と同じ動作ですね。
車通勤をしている人は、腸腰筋をほとんど使う機会がないので、意識して運動をする機会を作らないと、どんどんと衰えていきます。
放置しておくと腿を上げるのが億劫になってきて更に運動不足、メタボから成人病へ真っしぐらコース確定です。
都市圏で電車通勤している人の方が腸腰筋を使う機会が多いですね。
駅構内を移動するとき、少なからず階段を登る機会がありますからね。
この運動が正しく腸腰筋を使う動きなんです。
腸腰筋は高重量のスクワットをやろうが、デッドリフトをやろうがほとんど使いません。
心肺機能が強くて脚力があっても、普段、長距離走らない人が走ると脚の付け根、つまり腸腰筋に疲労が溜まって脚が上がらなくなります。
登山にも当てはまります。
こんなことがありました。
起伏が少ない未舗装の道を30km弱走った時の話です。
片道15kmです。
行きは走れたのですが、帰りで足の付け根の持久力が持たなく脚が上がらないということがありました。
心肺機能は余裕があるのに肝心の脚が動かない。
だから最後は歩きました。
腸腰筋の持久力不足だったんですね。
腸腰筋の疲労回復には1週間以上かかりました。
登山でも腸腰筋は使っていますが、走る動作の方が腿を高く上げるため腸腰筋の可動域が大きかった。
そのため普段以上に腸腰筋に負荷がかかったのだと思います。
腸腰筋は普段から使ってないと強化できません。
普段、登山をしている人なら腸腰筋の筋力はあると思うので、鍛えるべきはここの持久力ですね。
以上、残雪期の登山では、アイゼンやアルパインブーツを履くため、無雪期以上に腸腰筋が必要だというお話をしました。
それでは。