FUJIFILM Xシリーズの広角レンズで悩むのが、どのレンズを選択しようか?ということではないでしょうか。
私は紆余曲折を経て3本の広角レンズを持つことにしました。それぞれ特色があって、適材適所なシーンで使いたいからです。
解像度だけがすべてではありませんが、やっぱり気になっちゃいますよね?
この記事では3本のレンズ(XF10-24mm、XF16mm、サムヤン 12mm)の解像度テストをした結果にフォーカスした内容となっております。
今後、購入予定がある方は、是非、参考にしてみてください。
※当記事は、PCまたはタブレット端末での閲覧がおすすめです。
もくじ
検証時の設定条件について説明
全体のサンプル画像です。(ブログ掲載用に解像度落としてます)
撮影時の気象条件は晴れで無風(時折、微風)です。
撮影時の設定です。
- 使用カメラ:FUJIFILM X-T2
- 三脚:使用
- フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード
- ダイナミックレンジ:DR100
- WB:AUTO
- ハイライト/シャドウトーン:0
- ISO:200で固定
- 点像復元処理:ON
- ピントは中央で下から30〜40%辺りに設定
- セルフタイマー:2秒
以降、すべてJPEG撮って出しで無加工(ブログ掲載のためリサイズあり)のものを使います。
セルフタイマーはシャッターを切った際にブレを回避するために使用しました。
露出は、ISO200固定、絞りF8の時のシャッタースピードを1/400秒を基準とし、絞りを変えるごとに手動でシャッタースピードを変更しています。詳しくは下の表を参考にしてください。すべてはこの設定で撮影を実施しています。
ISO | 絞り | シャッター速度 |
---|---|---|
200 | F1.4 | 1/13000 |
200 | F2 | 1/6400 |
200 | F2.8 | 1/3200 |
200 | F4 | 1/1600 |
200 | F5.6 | 1/800 |
200 | F8 | 1/400 |
200 | F11 | 1/200 |
200 | F16 | 1/100 |
200 | F22 | 1/50 |
画像は中央部、左下を切り出していきます。
XF10-24mm(10mm/24mm)の絞り別比較
まずはXF10-24mmの中央部のデータです。OISは実際の使用時を想定してONにしています。
中央部切り出し
絞りF4
左:10mm/右:24mm
絞りF5.6
左:10mm/右:24mm
絞りF8
左:10mm/右:24mm
絞り11
左:10mm/右:24mm
F11では24mm側の解像感が低下しているように見えます。もしかしたら微風で草が揺れたのかもしれませんが。
絞りF16
左:10mm/右:24mm
最後にF22です。10mmのみ。24mm側での撮影を忘れたので。
どうでしょうか?
中央部についてはどのF値でも大差ないように見えますが、24mm側ではF11で若干、解像感が落ちたように感じます。
Lenstip.comの解像度表も見てみましょう。
Lenstip.cpmによれば40〜41 lp/mm(Line pairs per millimeter)が良い解像度のレベルと書かれています。
the decency level is situated near 40-41lpmm.
引用:Lenstipm.com
この表は画像中央部のMTF(Modulation Transfer Function)のデータです。
10mmの解像度は、F4、F5.6、F8が60lp/mmを上回っております。F11になると解像度が低下しますね。
24mmでは、F5.6、F8が60lp/mm以上ですね。同様にF11になると解像度が低下します。
この表を見ると分かりますが、XF10-24mmの中央部画質については、10mm、24mmと共に最高解像度はF5.6であると言えます。
左下の切り出し
次に左下です。
絞りF4
左:10mm/右:24mm
絞りF5.6
左:10mm/右:24mm
10mm、24mm共にF5.6まで絞ると画像がシャキッとしますね。
絞りF8
左:10mm/右:24mm
絞りF11
左:10mm/右:24mm
絞りF16
左:10mm/右:24mm
こちらも10mmのみです。F22です。
どうでしょうかね。パッと見ではF4の甘さ以外はあまり目立たないように思います。
それではLenstip.comの表を見てみましょう。今度は画像周辺部(edge)のMTFです。
10mmのピークはF5.6で55lp/mm、24mmではF8とF11で良像のレベル40lp/mmを越えています。
以上のことから、絞り値を変えずにパンフォーカスで撮影するなら、中央部も周辺部も画質が安定するF8がベストと言えます。
12mmの比較(XF10-24mm VS サムヤン 12mm)
次に12mmの比較です。
ここからは周辺画質(左下の切り出し)だけ載せていきます。単焦点レンズですから中央部の画質はいいだろう、という判断で未検証です。
絞りF4
左:XF10-24mm/右:サムヤン 12mm
F4ではサムヤン 12mmのほうがやや解像度が高いですね。ただ色乗りは悪いですね。
絞りF5.6
左:XF10-24mm/右:サムヤン 12mm
絞りF8
左:XF10-24mm/右:サムヤン 12mm
F8まで絞るとどちらも同等かな。
絞りF11
左:XF10-24mm/右:サムヤン 12mm
F11も同レベルでよく解像していますね。ただサムヤン 12mmの解像感がやや低いように感じます。
絞りF16
左:XF10-24mm/右:サムヤン 12mm
F16まで絞るとサムヤン 12mmの解像感が低下します。一方でXF10-24mmは解像感を保持しています。これは点像復元処理のアルゴリズムが効いてるのかもしれませんね。
まとめると
・F4 、F5.6ではサムヤン 12mmの解像度が勝る
・F8ではXF10-24mmとサムヤン 12mmの解像度は同等でよく解像している
・サムヤン 12mmのスイートスポットはF5.6とF8である
・サムヤン 12mmはF11から解像感が低下する
・XF10-24mmのスイートスポットはF8である
さて、私の検証に主観が入ってないかどうかを確認するためにLenstip.comのデータとも比較してみましょう。
下の図はサムヤン 12mmの解像度をテストしたものです。
周辺部(egde)はF5.6がピークになっていますよね。中央部のピークはF4です。この表を見る限り周辺部と中央部が安定するF5.6で撮影するのがスイートスポットになりそうですね。
まとめると
XF10-24mmならF8
サムヤン 12mmならF5.6
で撮影するとより良い結果が得られると言えます。
快晴なら、ISO200、F8でシャッタースピードを1/400で切れます。F5.6なら1/800です。
日が当たらない早朝なんかはどうなのか?
この記事の作例では、日が昇る前の撮影でシャッタースピード 1/100 、絞りF5.6、ISO感度1600に設定しています。これなら広角レンズの画角なら手ブレが起こる心配もないでしょう。
と考えると、OIS(光学式手ぶれ補正)が実装されていないサムヤン 12mmでも心配なく使えますよね。
16mmの比較(XF10-24mm VS XF16mm)
次に16mmの比較です。周辺画質(左下部分を切り出し)です。
絞りF4
左:XF10-24mm/右:XF16mm
F4だとあまり大差ないですね。意外な結果でした。
絞りF5.6
左:XF10-24mm/右:XF16mm
F5.6では明らかにXF16mmの解像度が高くよく解像しています。さすが単焦点レンズです。
絞りF8
左:XF10-24mm/右:XF16mm
絞りF11
左:XF10-24mm/右:XF16mm
絞りF16
左:XF10-24mm/右:XF16mm
検証した画像からも分かるようにXF16mmはF5.6以降から周辺画質が安定してきますね。
Lenstip.comでも周辺画質(edge)はF5.6がピークになっていますので、まぁ、その通りかなと。
XF16mmの特徴は周辺部の解像度がF2.8からF8までほぼ50lp/mmで推移していることです。これは明るいF値でも周辺部まで安定した画質であると言えます。
サムヤン 12mm VS XF16mm
サムヤン 12mmとXF16mmの周辺画質(左下部分を切り出し)を比べてみましょう。
先ずはXF16mmのF値開放1.4で撮影したものです。甘いですねぇ〜。
ここからはサムヤン 12mmとXF16mmの比較になります。先ずは絞りF2です。
左:サムヤン 12mm/右:XF16mm
F2では若干、XF16mmのほうが解像している感じです。
絞りF2.8
左:サムヤン 12mm/右:XF16mm
F2.8ではXF16mmの解像度が上がりますね。先ほど説明した通りですね。F2.8ではMTFの解像度が49lp/mmになります。一方のサムヤン 12mmは42lp/mmです。
絞りF4
左:サムヤン 12mm/右:XF16mm
F4まで絞るととどちらも同じくらいでしょうか。Lenstip.comのMTFではXF16mmの方が若干、高解像度になっていますが見た目的には大差ありません。
絞りF5.6です。
左:サムヤン 12mm/右:XF16mm
これも同じくらいかな。
絞りF8です。
左:サムヤン 12mm/右:XF16mm
絞りF11です。
左:サムヤン 12mm/右:XF16mm
絞りF16です。
左:サムヤン 12mm/右:XF16mm
まとめると、XF16mmもサムヤン 12mmも絞りF4から周辺部まで安定した画質を得られます。そして、F5.6では中央部、周辺部の両方で高い解像度を得られます。
以上のことから次のことが言えます。
解像度という側面においては、シャッタースピードを稼ぐことも考えると
広角単焦点レンズのサムヤン 12mmとXF16mmはF5.6がベストな絞り値。
広角ズームレンズのXF10-24mmはF8がベストな絞り値。
だということです。
以上、解像度の比較でした。是非、参考にしてください。
それでは。