腱鞘炎って厄介ですよね。一度、発症したら完治するまでに数ヶ月掛かります。日常生活では完全に腱を休めることができないですからね。治りかけては再発、また治りかけては再発といった悪夢のようなスパイラルに陥ってしまいます。
私の経験をお話しましょう。
数年前にドケルバン病(手首の腱鞘炎)になり約5ヶ月間、日常生活に支障が出てしまうという経験をしました。それもある日、突然、両方の手首に痛みが走り出したのです。手首の甲を返す動作をすると親指にある側の腱鞘に激痛が走るという症状に悩まされました。
ドケルバン病とはざっくり簡単に言うと親指側にある腱が痛む腱鞘炎です。詳しい説明は下記のページをご参照ください。
公益社団法人 日本整形学会「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」の説明ページ
当初は右手首よりも左手首の方が痛かったのですが、次第に右手首の痛みが酷くなっていったことを覚えています。おそらく日常生活で右手を使うことが多かったためだと思われます。本当に酷い痛みでした。
ペットボトルの蓋を開けることから、包丁を使う作業、書き物などありとあらゆる日常生活に支障をきたしました。ワークアウトはもちろんのこと、一眼レフカメラと標準ズームレンズの組み合わせで片手の手持ち撮影をするのも辛い状況が続きました。
しかし、腱鞘炎になりながらも一切の筋力を低下させずに完治させました。
もくじ
ドケルバン病(手首の腱鞘炎)になった原因はストックの断続的な反復動作によるものと推測している
ドケルバン病になった原因は医者にも特定できませんでした。当時の状況からしては考えられることは登山が原因かなと思っています。
一般的には以下の理由が考えられますが、私には当てはまりませんでした。
スマホ:ほとんど使わない
手首のワークアウト:やっていない
手作業をする仕事:やっていない
PCキーボードの連打:しない
考えられること。ほぼ毎週、登山に出かけストックを使って長距離歩いてました。おそらく度重なるストックの使い過ぎで親指側の腱鞘に知らぬ間に疲労が蓄積したのではないかと推測しています。明確な根拠はありませんが自分の行動を振り返ってみるとそれ以外の要素が考えられないのです。
ストックを使って歩く時のことを考えてみてください。
あなたはストックを握って歩いています。歩く動作をする度にストックの先端を地面に接地させ、自分の体が前進すると同時にストックを後方へ押し出し、推進力を得て歩くスピードを稼いでいます。
一瞬ですが次の前進動作へ入る直前に手で握っているストックを持ち上げる動作が入ります。この時、親指側の腱鞘(けんしょう)が筋張っているのが確認できます。この時、腱に負荷がかかっています。軽い負荷とはいえ何千回もの反復動作を毎週のようにやっていたら、そりゃぁ、特定部位に疲労が蓄積しちゃうよな、という独自の見解です。
私の場合ですが、ストックを多用する場面は緩い登りや平坦な道が多いです。当時の登山状況を振り返るとトレッキング系の登山が多いですね。少しでも推進力を稼ぐためにストックを何時間も握りしめて歩いていましたね。
ドケルバン病(手首の腱鞘炎)を完治させる方法はただ一つ。腱鞘に負担をかけないこと!
- 親指の動きを制限する
- レーザーで治療をする
- 手術をする
ドケルバン病で辛いなと感じたのは一眼カメラの片手持ち撮影
ドケルバン病はプライベートな遊びにまで影響を及ぼしました。普段、何気なくやっている動作が苦痛に感じるのです。手首が痛い。ジンジンと痛い。
カメラの手持ち撮影が辛いのです。右手で一眼カメラを持ってシャッターを切る動作を半日もやると、治りかけてきた腱鞘炎がぶり返してしまうという悪夢のようなスパイラルに陥りました。安静にするのも辛いし、また腱鞘炎がぶり返すのも辛いというジレンマに陥った時期でもありました。
そんな状況にありながらも筋力だけは低下させたくないな、と考えていました。そう、考えて工夫することでドケルバン病の患部に負担をかけずに上手く筋肉を鍛える方法を見つけたのです!
ワークアウトへの影響。親指の腱鞘に対して真上から負荷を掛けると激痛が走る
前述した通りドケルバン病は、手首の甲を返す動作をすると親指にある側の腱に激痛が走ります。したがって、手首を返すような動作ではあまりの痛みにとてもワークアウトができるような状況ではありませんでした。具体的にはプレス系、カール系、クイックリフトの種目で影響がありました。つまり、親指の腱鞘に対して真上から負荷を掛ける動作です。
一方で、プル系の動作では手首を甲側へ返すことがないのでほとんど影響を受けませんでした。具体的な種目はデッドリフトやパラレルグリップの懸垂が当てはまります。皮肉にもこんな負荷を掛けられるワークアウトよりも日常生活の些細な動作の方が影響を受けてしまっていたのです。つまり、親指の腱鞘に対して平行へ負荷を掛ける動作では影響がなかったということです。
ドケルバン病が発症した場合、親指の腱鞘に対して真上から負荷を掛ける動作とどう向き合っていくのか?ということが課題になります。
どうやって筋力を維持したままドケルバン病の完治までもっていったのか
先ほど親指の腱鞘に対して真上から負荷を掛ける動作は手首を甲側に返す動作が伴うと書きました。それは具体的にどんな動作だったのか?
それはベンチプレスです。多少なりとも手首の甲を返す動作が入るので、とてもじゃないけどもバーベルを押し上げらえるような状況ではありませんでした。しかし、ドケルバン病が完治するまでワークアウトをストップするのは明らかに押す筋力が低下することを意味していました。
どうやって解決したのか?
手首を返さずに押す動作をすればいいのです。つまり手首を立てた動作をすればいいのです。壁際にマットなどを敷いて拳をグーにします。そこで逆立ちをして腕立て伏せをします。このやり方だと驚くほど手首への負担が軽減されます。純粋に押す力を鍛えることができるのですよ。
逆立ちだと肩と大胸筋の上部の筋肉を使うことがメインになりますが、個人的には大胸筋なんかどうでもよく、押す筋力の低下を防止することが第一優先でした。手首へ負担をかけずに大胸筋全体へ刺激を入れる方法としては、プッシュアップバーを併用して腕立て伏せをやればOKです。実際に定期的にやってました。日常生活での痛みが嘘のように影響を受けない種目でもありましたね。
こんな感じで押す筋力(ベンチで100kg挙げられる筋力)をほぼ維持したままドケルバン病の完治までもっていきました。
引く動作はどうだったのか?
親指の腱鞘に対して平行方向へ負荷を掛ける動作では影響がなかったとも書きましたね。
懸垂とデッドリフトはやっても大丈夫だったのです。特に懸垂に関してはパラレルグリップを多用することで、腱にほぼ負担をかけずに上腕筋や上腕二頭筋の筋力を低下させずに済みました。ハンマーカールでは親指の腱鞘に対して真上から負荷が掛かるのですが、懸垂なら大丈夫だったということです。
突き詰めて考えると、自重系ワークアウト(カリセニクス )で解決したわけですよ。
おそらく登山でのストックの多用が原因で発症したであろうドケルバン病。日常生活の些細な動作にまで影響があったドケルバン病。何とか考え抜いて試したワークアウトが日常生活よりも手首への負担が少ないという皮肉。変な話ですが、上記の手法で筋力を維持したままドケルバン病(手首の腱鞘炎)を完治させたというお話でした。
腱は一度痛めると完治するまでに時間がかかります。是非とも実感なき疲労の蓄積には注意を払いましょうね。ストレッチなんかがオススメ。
それでは。