「各メーカーに訊いて知ってしまった防塵防滴カメラの本当の実力」からの続きです。
※当記事は2017年12月に公開したものを加筆修正したものになります。
どこのメーカーの防塵防滴仕様のカメラを使っても内部結露が発生することは各メーカーに質問をして分かりました。
そして電子基板が腐食する可能性があることも分かりました(質問をしたすべてのメーカーが言及してくれたわけではないですが)。
大抵の人が防塵防滴=雪や霧雨に強いと思っています。
私もそう思っています。
ただし条件が付きます。
ボディ内部の湿気が結露しないこと
この大事な情報をユーザーが取りに行かなければカメラ内部の弱さに対する情報が入ってくることはありません。
つまり、メーカーは購入前のユーザーに対してこの情報をパンフレットなどに掲載してないのですよね。
もくじ
カメラメーカーが提示する内部結露から守る方法
各カメラメーカーが提示してきた結露に対する防止策です。
- 寒いところから暖かいところへ移動させるときは、結露の発生を防ぐため、カメラをビニール袋に入れて袋の口を閉じ、周囲の気温になじませてから袋から取り出し、使用する。
- 直接外気に触れないように、事前にカメラバッグなどにカメラを入れた状態で置いて(1~2時間ほど)から使用する。
- カメラ本体をビニール袋などで密閉し、袋の中には事前にシリカゲルなど入れ、徐々に温度を変えていく。
- 結露してしまった場合は、カメラを風通しの良い場所で乾燥剤などと一緒に乾燥することで結露した状態の改善が見込まれる。
- 雨の野外から暖かい場所に入る際には、機密性の高い袋やバッグに入れ、室温になじませてから取り出すこと。
- 結露が発生した場合は、電源スイッチをOFFにして2時間ほど周囲の温度になじませてから使用する。
- 結露対策は密封性の高いモノにカメラを入れてから移動する。
ここで言っているポイントは3点。
- 低温の環境下から気温が高い環境へ移動する時はカメラを密封性の高いものに入れよ。
- 密封性の高い入れ物の内側の温度が外温と差がなくなってきたら取り出してもOK 。
- 結露が発生したら絶対に電源を入れるな。
以上の3点を守らなかった場合、電子基板が腐食してしまう事態に陥る可能性がある、と私は解釈しています。
気温の低いところから高い場所へ移動する時の対策
気温が低いところから高いところへ移動することが想定されるのは
- 冬季の撮影(特に早朝や夜間)で車に戻る時
- 冬季の登山で休憩をするために山小屋に入る時
ではないでしょうか。
このような時、カメラやレンズの結露対策はどうしますか?
登山をするならあまり大きなケースは持ち歩きたくないですよね。
ですから、私はコンパクトにできる方法で2019年12月現在、以下の方法を実践してカメラの結露対策を実践しています。
Lサイズのジップロックにカメラのボディをレンズごと入れます。
次にシリカゲル乾燥剤をジップロックや小型のバッグに入れておきます。
最後にジップロックを入れたカメラをザックに入れます。
ただ、好天かつ無風の冬山の後は必ずしもジップロックに入れるわけではありません。
直接、小型のバッグにカメラを入れることも多々あります。
これまでは小型のチェストバッグ等は不要だと思っていたけど考え方が変わりました。
以前、登山中に素早くシャッターを切るためのカメラと交換レンズの持ち運び方でこんな見出しを書きました。
チェストバッグは利便性が高い。しかし夏場だと胸が暑苦しくてNG
しかし、厳冬期や小雨に限りトップローダー式のカメラバッグにカメラを閉まってしまったほうが結露対策という面で有効なのではないかと考えています。
特に厳冬期なら胸が暑苦しくなることもないし50 AWはAPS-C機+標準ズームレンズを収納するのに丁度いい大きさですね。
以上の施しをすることで、結露防止になります。
もし、ジップロックに入れる時が面倒(手袋とかしていて)だった場合はどうする?
そんな時はネックウォーマーやニット帽にカメラを包んで手元にあるカリマーのヒップバッグにカメラを入れることで急激な温度上昇に伴う結露対策を施しをする時もあります。
もちろん、ジップロックも忍ばせてますが。
そして、帰宅したらカメラやレンズをドライボックス に入れておくんですよ。
湿度は大体40〜60%になるように調整しています。
たかがドライボックス だと思って侮ることなかれ。
中に入れているシリカゲルについて説明しておきましょう。
通常、シリカゲル は使っていくうちに吸湿能力が低下します。
そこで、たまに500Wの電子レンジで2分間かけてやると驚くほど効果を発揮します。
電子レンジにかける頻度は月に1〜2回くらいでしょうかね。
少しサイズが大きめのシリカゲルが5〜6個あれば防湿ケース内の湿度が30%を切ってしまうこともあります。
さすがにこれでは湿度が低過ぎるので中に入れるシリカゲルの個数を減らして湿度を調整をしていますが、それだけの効力を発揮するんだよという一例として挙げておきます。
私はナカバヤシの11Lサイズのドライボックスを2つ使っています。
今のところこれで困ってないですね。
2021年12月15日追記:
ドライボックス2つで以下のレンズを収納できます。
サムヤン12mmF2、XF16mmF1.4、XF23mmF2、XF50mmF2、XF90mmF2、
XF10-24mmF4、XF16-55mm、XF16-80mm、XF70-300mm
それでも結露した場合の最終手段はズームレンズの焦点距離を何回か変えてボディ内部の空気を入れ替えてやる
こんな方法もあります。
ズームレンズの場合の話ですが、メーカーから訊いた話では、万が一、行動中に背面の液晶画面等が結露してきたらズームレンズを回してやるといいということです。
そうするとボディ内部の空気が循環して外部に出て行くそう。
ボディ内部の空気を外に出してやるには、SDスロットのカバーを開けておく必要があります。
ズームを動かせば本当に空気が出て行くのが分かります。
私が試したのは DA16-85mmのズームレンズです。
こんな手法があるならパンフレットや製品ページにも載せればいいのに。
ユーザーに事前に回避策を宣伝するのも重要だと思うんだけどねぇ。
ところで、単焦点レンズの場合はどうなんでしょう?
と思ってD FA100mmの単焦点マクロレンズの距離指標を0.3m〜1mに回してみましたが空気の流れは感じませんでした。
最後にFUJIFILM X-T2について言及しておきましょう。
Xシリーズを使い始めて2年間、雪・小雨の環境下で使っていますが今のところ内部結露が起きてエラー動作を起こしたことがありません。
2021年11月追記:実用上、問題はありませんがX-T2のバッテリーカバーのシーリングが一部剥離し始めました(つまり、防塵防滴としての機能を維持するパーツには賞味期限があるということです)。
それでは。
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