縦走をしていて困るなと感じるのがタンパク質の補給方法です。
プロテインパウダーを持って行ってもいいのですが、スムージーなどにしないと美味しくありません。
行動中でも美味しいものを摂取したいものです。
当記事では山の中に入ったらどうやってタンパク質を美味しく補給できるのか、について書いています。
もくじ
体重50kgの女性が5時間の登山をすると1日に必要なカロリーを消費してしまう
30代の女性。
職業は事務職。
身長は160cm、体重50kg。
平日は特に運動しない。
この女性が1日に必要とするべきカロリーはいくらでしょう?
筋肉量にもよりますが、この女性が必要なカロリーは1日あたり1800~2000Kcalです。
このカロリーが一体どれくらいなのかというと、コンビニで売っているオニギリ9〜10個相当です。
アンパンだと5〜6個と言ったところですね。
いつの時代でもダイエットが流行っています。
うたい文句は「摂取カロリーを抑えましょう」です。
しかし登山においては高カロリーの食べ物を摂取する必要があります。
登山をやっていると体重が増えることよりも低下してまうことがないように気遣うべきです。
その理由。
一度の登山で下界で1日中過ごしている間に必要とされるカロリー以上のエネルギーを消費するからです。
例え話を出しましょう。
先ほどの女性が富士山の山頂へ行くまでに消費するカロリーはいくつでしょう?
前提条件
・テント35Lのザックに10kgの荷物を背負っている
・登山ペースは300m/h
・吉田ルートを使う(スタート標高2300m)
・標高差は1400mである
以上の条件から、この女性は富士山の頂上に到達するまでに4時間40分かかります。
答えは・・・・
2350Kcalです!!!
計算方法は以下の通りです。
1.05 ✖️ 体重+荷物(50kg+10kg) ✖️ 8メッツ ✖️ 行動時間 (5時間)
※メッツ(METs)については下記を参考に設定しております。
国立健康・栄養研究所『身体活動のメッツ(METs)表』 P32を参照
いかに登山はカロリーを消費するかお分かりいただけたかと思います。
登りだけでなく下山の分もカロリーを加えて下さいね。
この女性が富士山に登頂し下山するまでに、トータルで3000Kcal以上は必要になります。
実際には最低でも行動中に消費するカロリーの50%程度を摂取できればいいと言われております。
これは私自身が実感することでもあります。
私が縦走登山をする時は、自重+荷物の総重量が90±3kg程度になります。
長くて10時間近く行動することもありますが、ずっと登り続けるわけではありません。
休憩時間も含まれているためです。
それでも5000Kcal以上消費してしまいます。
そのカロリーを行動中に補給するのは困難です。
内臓の処理能力にも限界があります。
そのため10時間にも及ぶ登山をする時は、行動中に3000Kal摂れればいいというスタンスでエネルギー源を補給しています。
不足分のカロリーは体脂肪を燃焼することで凌ぐわけですよ。
登山ではタンパク質が不足気味になる
行動中のカロリー補給については、オニギリや菓子パンなどの炭水化物を摂取したうえで、自分の体脂肪を燃焼させることで何とかなります。
でも困るのはタンパク質なんですよ。冒頭で書いたようにプロテインパウダーを持って行ってもいいのですが、スムージーにしないと美味しくありません。肉を持って行くのもいいけど持ち運びが面倒ですよね。それから私自身ここ数年、赤身の肉はなるべく食べないようにしています。
じゃー何を持って行きますかね。
そば粉と全粒粉のパンケーキは行動中のタンパク源になる
私が縦走の行動食として持っていくもの。
それはそば粉と全粒粉、ナッツを混ぜたパンケーキです。
そば粉には良質なタンパク質が含まれています。
全粒粉には食物繊維と糖質をエネルギーに変えるビタミンB1が含まれています。
ナッツには脂質とタンパク質やミネラルがあります。
それから保存が効く有力なタンパク質でもあります。
このパンケーキは2、3日の夏山縦くらいなら悪くなることはありません。
これが肉とは違う利点ですね。
行動中にも食べれるし。
ここで一つ体験談を語りましょう。
北アルプスのおへそ、鷲羽岳の麓にある三俣のキャンプ場から片道20キロ離れている新穂高へ向かって歩いていた時のことです。
この日は、まだ暗い時間の2時台にテント場を出発しました。
服装は、短パン、Tシャツ、それからその上にフリースを着ていました。
小雨が降っていましたが、そのうち晴れるだろうと腹をくくっていました。
でも雨脚は弱くなる気配がありません。
周囲は深くガスがかかり景色がよく見えません。
そんな中私は歩いていました。
何度もこのコースを歩いていたので迷う心配はなかったのですが、それよりも衣類が濡れたことによって体温が低下してしまうことに恐怖感を感じておりました。
夏場とはいえど標高2500m以上あります。
気温は10度台です。
レインウェアに着替えたものの、Tシャツや下着まで濡れていたので、レインウェアの効果を実感できておりませんでした。
風も吹いていたので尚更です。
ここで私ができたことはただ一つ。
なるべく動くこと。
とにかく止まらない。
休憩はしない。
動くにはエネルギーを補給し続ける必要があります。
ここで役だったのがパンケーキ(とは言っても形状はホットケーキ)なんですよ。
袋に小分けして置いたパンケーキをレインウェアのポケットに突っ込んで歩いていました。
行動中、30分に一度のペースでこのパンケーキを口にしていきました。
ポケットに袋ごと突っ込んでいたので、袋の中が温度差で結露してしまいました。
その結果、パンケーキにも水分が浸透していましたが食べれることには変わりありません。
一番大事なのは、行動中に即座にエネルギーを補給できることです。
このパンケーキがこの時の行動に絶大な効果を発揮したのは間違いありません。
パンケーキのおかげで体温を落とすことなく行動し続けることができました。
好天とは言えない状況下、通常なら三俣蓮華岳から4時間近くかかる弓折乗越の分岐まで2時間40分で通過することができました。
それも20kg以上の荷物を背負った状態でです。
ここまで行動できたのは普通のパンケーキじゃないからです。
スーパーに売っている添加物まみれの精製された砂糖だらけのパンケーキと一緒にするなよ!というお話ですね。
きちんと栄養を考えて作ったパンケーキだからこそ、体がきちんと動き、このピンチを乗り越えられたのだと確信しております。
さて、このパンケーキにどのような材料を使っているかというと・・・
・全粒粉
・そば粉
・きな粉
・麩、ライ麦を加えることもあり
・ミルで砕いたアーモンドやクルミ、ゴマ
・卵(入れない時もある)
・豆乳
・蜂蜜や甜菜糖
・オリーブオイル
以上!という感じですね。
粉類は大体400g程度。
麩、きな粉を除くと、どの粉を使ってもタンパク質の含有量は100gあたり13~14gなのでトータルでタンパク質の含有量は40g強ですね。
ナッツも100g以上使います。
他に卵や豆乳も含めると、このパンケーキに含まれる総タンパク質は100数十gにもなります。
カロリーも脂質も炭水化物もバッチリですね。
GI も低いからゆっくり吸収されて腹持ちもいいんですよ。
夕食には高野豆腐を使う
テント泊での夕食はマルタイラーメンか麻婆パスタが多いんですけど、毎回、高野豆腐を入れてタンパク質を補給しています。
以前は缶詰を持ち歩いてたんですけど、ゴミと化した缶を持ち歩くのが面倒になったのでやめました。
以上、行動中はホールグレイ製品にナッツを混ぜたパンケーキを、夕食には高野豆腐を使うことで手軽にタンパク質が補給でき、ミネラルや資質も手軽に摂れるよ!というお話でした。
それでは。