ここのところ色々と迷っていたのが増えていく写真データの管理方法です。
これまで外付けHDDや一部のクラウドにバックアップを置いていたのですが、もう少し手間が減らせないものかとNASの導入を考えていました。
そんなこともあり写真データをシームレスに管理することを考え2ベイのNASを導入しました。
RAIDは組まずにSeagateの8TB製HDD「Iron wolf」を1枚で運用することに。
- なぜ、RAIDを組まないのか?
- なぜ、2ベイにしたのか?
- そしてなぜ、巷では権威あるWD製のRedシリーズのHDDを使わないのか?
そこに至る思考と理由を書いていきましょう。
もくじ
RAIDはUPS(無停電装置)と組まなければ意味がない
NASを導入しRAIDを組み冗長性を確保するときに迷うのが4ベイのRAID6か、2ベイのRAID1ではないでしょうか。
私自身かなり迷いました。
RAIDはHDDに障害が起きた際、データを存続させるための手段です。
万が一、データをミラーリングしている際に電源が落ちたらミラーリングは中止されてしまいます。
これでは意味がありません…
RAIDを組むならHDDだけでなく電源も冗長化をしないと意味がありません。
そのためUPS(無停電装置)は必要だと考えます。
NASは作業スペースという位置付け
すべてのデータはNASで一元管理し、バックアップをクラウドと外付けのHDDに置く運用です。
- 写真:Amzon Photoと外付けHDDに二重でバックアップ
- 動画:外付けHDDにバックアップ
- その他:One Drive/Dropbox/Google Driveにバックアップ
写真に関してはクラウドとHDDに二重でバックアップですね。
何だかんだ言って復旧が楽なのは手元にあるHDDのデータですから。
NASはクラウドサービスや外部ストレージとの連携を図り利便性を高めるための手段でありデータを一元管理する場所であります。
NASに冗長化は求めてません。
バックアップを取ればいいだけの話ですから。
Seagate製NAS向けHDD Iron Wolfを導入した訳
私の想定しているNASの運用だと24時間稼働ではなく、平日の夜、そして週末に通しで電源ONという使い方です。
- 平日 4h×4day=16h
- 週末 50h
- 66h ×52week = 3432h/year
24時間365日の運用だと8760hになりますが、私の運用だと年間3000〜3500hで見込んでいます。
ですからNAS専用のHDDが必須でというわけではありません。
それでも8TBのまとまったストレージ容量は欲しいと考えた際、候補に入ってきたのがSeagate製のHDDでした。
前述した通りNAS専用のHDDは必須ではありませんが、あえて信頼性の高いNAS専用のIron wolfシリーズを導入しました。
巷はではWD(Western Digital)製がいいと言われています。
実際に私も外付けのWD製のポータブルハードディスクを使っていますし不具合は出たことがありません。
それでも私はSeagate製のNASを選びました。
決め手となったのはこの記事です。
我々は、ひとつの製品を出すために、本当に要求仕様を満たしているか実際に1000時間/1000台動作させる『ReliabilityDemonstrationTest』(信頼性実証試験)を行ない、不良率がスペックで保証している0.7%に入っているかどうかなどを見ています。また、OEMメーカー様には、信頼性のテストで得たエビデンスを必ず提示して、裏付けを持って訴求していますのでご安心ください
一般的なHDDとNAS用HDD『IronWolf』との違いが明らかに!主席技師に聞いたそのスゴさとは
品質には自信があると言っていますね。
ここまで自信があるなら使ってみようじゃないか、というのが理由です。
単一ストレージとしてWD製のRedを選択しなかった理由は故障率の高さ
オンラインバックアップサービスのBackblaze社は四半期毎にブログを通じて各HDDの故障率を発表しています。
その中にはSeagate製のHDDが含まれていおり故障率が低いのですよね。
Backblaze社は企業向け、個人向けにオンラインでバックアップサービスを有料で提供しています。
個人向けだと月額契約だと5USドル、年間契約だと50USドルでデータを無制限にオンラインバックアップすることができます。
このオンラインサービスを提供するためにデーターセンターでは膨大なHDDが導入され常時稼働し続けています。
HDDは複数のメーカー製品が使われています。HGST(日立製)、東芝、WD、Segateなど。
これが2018年第3四半期のデータです。
元記事:Hard Drive Stats for Q3 2018: Less is More
WDのWD60EFRXは383台の運用と母数が少なくデーターの信頼性に欠ける部分もありますが、年間故障率(AFS:Annualized Failure Rate)が4.64%です。
一方でSeagate製の8TB以上のHDDでは故障率が低いというのが一目瞭然です。
故障率の計算方法は以下の通りです。
Backblaze AFR (annualized failure rate)
Backblaze公式ブログより引用
( ( Drive Failures / ( Drive Days / 365 ) ) * 100 )
ちょっと補足。
Backblaze社のDrive Daysというのは、例えば7日間、毎日15台のHDDを稼働した場合、105 daysという計算をします。
さて、先ほどは四半期のデータを挙げましたが、HDDの寿命末期を迎えたものなどが集合的に故障する可能性もあるのでもう少し長い期間の統計も見てみましょう。
こちらは2013年4月から2018年9月までの4年6ヶ月分データから年間故障率を算出したものです。
この資料を見てもやはりWD製も故障率が際立ちます。
ワースト1位が2018 Q3と同様にWD60EFRXが4.13%、
ワースト2位がSeagateのST4000DM000が2.81%
ワースト3位がWD40EFRXが1.93%
上に挙げたWestern DigitalのHDD(60EFRX/40EFRX)はNASのブログ記事でもよく紹介されていますが、世界規模でオンラインストレージを運用している企業のデータからはWD製は故障率が高いHDDだということが分かります。
ここのデータでもやはりSeagate製の8TB以上のHDDの故障率が低さがうかがえますね。
Backblaze社では私が導入した型番(NAS向けのIron Wolf)とは違いEnter Prise向けのExosシリーズを使っていますが、これだけの信頼性が担保できているならIron Wolf (8TB)でも十分な信頼性があるだろうと判断しました。
私の場合はRAIDを組まないので単一ストレージで故障率が低いのは超大事です。
とは言え、RAID6を組むならWD redでの故障率は飛躍的に軽減できる
一つ「あくまでも」という言葉を付け足しておきましょう。
あくまでもWD製の故障率が高いというデータは、24時間365日稼働し続けた場合の話です。
その場合RAIDを組むでしょうから故障によりシステムが稼働できなくなる可能性が低くなります。
前述したWD RedのWD60EFRX(6TB)でRAID6を組んだ場合、かつ、24時間365日稼働するという条件なら、2台同時に故障する確率は0.16%まで軽減できます。
HDD1台が故障する確率は4%弱です。
HDD1台目の故障率4% × HDD2台目の故障率4% = 0.16%
よって、RAID6で組んだ場合、HDD2台が同時に故障する確率は0.16%になります。
24時間365日稼働をするという条件で、RAID6を組むなら、Western DigitalのRedを導入も視野に入れてもいいでしょう。
導入したNAS本体はSynology218+
色々と突き詰めていくと2ベイでHDDを自由に選択できるNAS本体ってSynologyかQNAPに集約されます。
レビューも多いですし。
ネットで情報を探すとブログが沢山出てきます。
とても有効な情報ですね。
日本語だけの情報だけでなく海外からの情報も参考にしました。
情報の母数が多いほど精度が高くなります。
結果的にSynologyのDS218+に決めました。
うーん、決め手となったのはメーカーのマーケティング手法(姿勢)ですかね?
何というかQNAP社は他社を叩いて自分の優位性を見出そうとしている印象です。
私の主観ですけどね。
引用部分の61.5%のリンクはYotubeの動画ですが、比較対象はSynology製品なんですよ。
Btrfsを使用している別のブランドのNASよりも61.5%高速でした。
QNAP社 NASアプリケーションにBtrfsを使用することでの問題点
企業向けのNAS製品に強いNETGEAR社のページでは暗にQNAP社のことを指している感じです。
富士通やBtrfsからの引用エビデンスを例に出しBtrfsファイルシステムを支持していますね。
「Btrfsは低速」「パフォーマンスがすべて」と言い、従来のファイルシステムEXT4にしがみついているNASメーカーがあります。
NETGEAR社:Btrfsの先進性 – ReadyNASが先進的なファイルシステムBtrfsを採用している理由
ちなみに今回導入したSynology DiskStation DS218+ではファイルシステムにもBtrfsが使われています。
この中には高頻度でバックアップ予約してくれる機能が付いています。
1ベイのDS119jだとこの機能はありません。
そのため1枚のHDD運用ですが2ベイを導入しています。
2枚目のHDDはどうする?
さて、せっかく2ベイのNASを導入したのに2つめのスロットを空にして勿体無くないのか、とも思わなくもありません。
2枚目のHDDはストライピング(RAID0)にすることになるだろうと思います。
その場合、16TBの大容量ストレージが出来上がります。
当然ですが、1枚のHDDが死んだらデータはお陀仏です。
よって、常日頃からクラウドへのバックアップをしておくことは大前提とし、4TBポータブルHDDへ分割バックアップを取ることも想定しています。
2020年11月現在、ポータブルHDDへバックアップを取っています。
HDDは2TBを3台、それから4TBを併用しています。
本当は8TBクラスのポータブルHDDが出てくれればバックアップも取りやすくなるんですけどね。
近い将来に密かに期待を寄せてます。
あなたはどんな手法でNASを運用しどのようにバックアップを取りますか?
それでは。