前回のLuminar3に引き続きSkylum社より11月18日にリリース予定のLuminar 4をご提供頂き使ってみました。
今回は特に新たに追加になったAI系の機能などについてご紹介していきます。
想定読者対象
- 現像に時間をかけたくない/かけられない人
- 直感的でシンプルな操作で写真編集をしたい人
- 自分が感じたように写真編集をしたい人
- 人工知能(AI)を導入してみたい人
- 風景だけでなくポートレート撮影をする人
基本となる機能はLumiar3から引き継いでます。
基本的な操作感についてはこちらの記事(Luminar3)をご参考ください。
なお、当記事では作例の画像を解像度高めで掲載しています。
そのため、PCやタブレット端末からお読みになることを奨励します。
もくじ
Luminar 4の編集で題材にした舞台とカメラ機材
APS-C機
・PENTAX K-3
・FUJIFILM X-T2
今回は以下のレンズで撮影したものを題材とします。
・換算27〜208mmの高倍率ズームレンズ
・換算24〜127mmの標準ズームレンズ
・換算137mmの中望遠単焦点レンズ
Luminar4の画面
Luminar4の画面です。
Lumiar3との大きな相違点は、右パネルの「編集」タブです。
ライブラリと情報タブはLuminar3からのUIをそのまま引き継いでいます。
それでは「編集」タブの機能について詳しく説明していきましょう。
Luminar4ではフィルター機能を直感的に操作ができる
Luminar3では「編集」タブから
・フィルターを束ねたプリセット(ワークスペース)を使う
・5つのカテゴリ別に束ねられているフィルターを使う
・単独のフィルター(計51種類)を個別で追加していく
というアプローチでした。
Luminr4では「編集」タブのUIが変わりました。
・5つのカテゴリが28種類のフィルターに統合
・個別でフィルターを追加する機能は廃止
上記の仕様変更により更に直感的な操作ができるようになったと言えましょう。
それでは各カテゴリのフィルター機能について触れていきましょう。
特に★がついているフィルターでは作例を載せてご紹介します。
エッセンシャル(8種類のフィルター)
エッセンシャルには以下のフィルターがあります。
- 弱い★
- AI Enhance★
- AI Strucure★
- カラー
- ディテール調整
- ノイズ低減
- Landscape Enhancer★
- ビネット
エッセンシャル – 弱い
フィルター「弱い」の機能です。
この辺りは他の現像ソフトでもお馴染みではないでしょうか。
Smart Contrastについて触れておきましょう。
Smart ContrastはFUJIFILM機で言うH ToneとS Toneと似たような機能です。
先ずは作例(PENTAX K3 + DA16-85mm/60mmで撮影)。
RAWオリジナル画像です。
Smart Contrastを-70にしてみました。
コントラストが下がり柔らかい絵になりましたね。
今度はSmart Contrastを+70にしてみました。
コントラストが高くなりエッジの効いた雰囲気になりましたね。
短時間でレタッチを済ませたい時の救世主 AI Enhance
Luinar3では個別のフィルターとして機能しておりましたが、AI Enhanceでは2つの機能があります。
・AI Accent(Luminar3ではAccent AI 2.0だった)
・AI スカイハンサー
機能としてはLuminar3と同じです。
作例を見てみましょう。
(PENTAX K3 + DA16-85mm/60mmで撮影)
AI Accentを70に適用してみます。
全体的に締りのある絵になりましたね。
更にAI スカイハンサーを70にしてみます。
空もキリッとした感じになりました。
AI AccentとAIスカイハンサーの2つを調整すればわずか15秒もあればできます。
しかし、一発で自分の好みの絵になるとは限りません。
そこで微調整が必要になります。
細かな表現はカテゴリとフィルターで調整しましょう。
質感をブーストさせるAI Structure
Luminar4で新たに追加になった目玉機能です。
AI Structureを使うことで、遠景の画像に締まりが出ます。
それでは広角レンズで撮影した作例を見てみましょう。
(FUJIFIM X-T2 + XF10-24mm/10mmで撮影)
AI Strucutureを使うことで山肌の質感が強調されましたね。
Lightroomで言うかすみ除去みたいな機能だなと思いました。
もう一つ作例を載せましょう。
春先で天気もはっきりしない日に富士山の遠景を狙ったものです。
見ての通り空気が霞んでいますね。
(K-3 + DA16-85mm/85mmで撮影)
もやーっとした遠景もAI Strucutureを使うことでクリアさが増しましたね。
Landscape Enhancer
Landscape Enhancerには以下のフィルターがあります。
・霧低減
・ゴールデンアワー
・緑樹の増強
Luminar3では霧低減とゴールデンアワーはクリエティブ、緑樹の増強はフィクサーのカテゴリでしたが、Lumiar4ではLandscape Enhancerの中に統合されました。
また、Landscape Enhancerは70種類ものプリセット(Luminar Looks)の1つでもあるんですね。
ここでは、Looksとしてではなく、個別でパラメータを調整できるフィルター機能としてご紹介します。
それでは作例にいきましょう。
撮影場所は梅雨が明ける前の大天井岳、時刻は朝の4時30分になる前です。
(PENTAX K-3 + DA18-135mm/18mmで撮影)
霧低減を適用してみます。
遠くの山の輪郭がハッキリとしてきましたね。
朝の時間帯は寒色系で青味がかった色合いを感じるのですが、折角ですからゴールデンアワーも適用してみましょう。
空が暖色系の雰囲気に変わりましたね。
ゴールデンアワーは晩秋や冬の午後の淡い日差しや、夕方の時間帯に使うとより効力を発揮するのではないかと思いますね。
では、緑樹の増強を適用してみます。
あえてシャドーを暗めで現像していますが、手前のハイマツの緑色が強調されていますね。
それも、ハイマツ以外の画像を維持したままです。
「緑樹の増強」はPLフィルターを使えない、カメラのパラメータだけでは設定が難しいなどといった場面で手助けになる機能ではないでしょうか。
クリエイティブ(10種類のフィルター)
クリエティブには以下のフィルターがあります。
- AI Sky Replacement★
- 太陽光
- ドラマチック
- マット
- Mystical
- Color Styles(LUT)★→ Luminar3ではLUTマッピングでした。
- テクスチャーオーバーレイ
- グロー
- Film Grain
- 霧
空の雰囲気を変える26種類のプリセット AI Sky Replacement
AI Sky Replacementは、Luminar 4で新規に追加になったフィルターです。
Sky Selectionの中には26種類ものプリセットが用意されており、好みに応じて空の雰囲気をガラッと変えることができます。
裏を返せば如何様にも絵を作れてしまうということです。
Sky Selectionに入っているプリセットは
・Blue Sky 6種類
・Bright Blue Sky 4種類
・Dramatic Sky 3種類
・Dramatic Sunset Sky 7種類
・Sunset 4種類
・Sunset Clouds 1種類
です。
それではプリセットを適用してみましょう。
撮影場所は夏の笠新道から新穂高越しに眺めた焼岳方面です。
(PENTAX K-3 + DA16-85mm/21mmで撮影)
Blue Skyを適用してみます。
もともとの風景がブルースカイなのであまり違いはありませんが、雲の模様が変わりましたね。
Bright Blue Skyを適用してみました。
空の雰囲気が明るくなりましたね。
Dramatic Skyを適用してみましょう。
ここまで来てお気づきでしょうか?
空以外の絵は変わってないんですよね。
Dramatic Sunsetを適用してみました。
ここであれ?谷間の光の辺り具合がおかしいじゃないか!
と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最後にSunsetを適用してみましょう。
いい感じのサンセットですね。
しかし、明らかに現実離れした絵になってしまいましたね。
だって、サンセットの方角からして谷間の日の辺り具合がおかしいですもん。
そこで使うのが各種パラメータです。
そこで
Horizon Blending 20 → 170
Horizon Position 0 → 60
Relight Scene 20 → 100
に設定してみました。
そして、こんな絵になりました。
AIが空の部分だけを認識してここまで変わるんですね。
もう一度、オリジナルの画像です。
このように、AI Sky Replacementを使うと自分の好みの絵に作り上げることができます。
したがって、写真コンテストなどに応募される際にはモラルが問われる諸刃の機能でもあります。
つまり、使い手を選ぶ機能と言っても過言ではありません。
更なる選択肢が増えたColor Styles(LUT)
Luminar3ではLUTマッピングフィルターとして実装されていたLUT (Look Up Table) ですが、なんと17種類から41種類に!
こちら↓がLuminar4のColor Styles(LUT)の種類です。
ちなみにこちら↓が、Lumiar3で紹介したLUTマッピングです。
いかにLuminar4でプリセットの種類が豊富になったのかお分かり頂けるのではないかと思います。
これだけバラエティ富んだプリセットがあると飽きないですね。
Color Styles(LUT)は、個人的にとても気に入りましたので改めて別記事で紹介したいと思います(→こちらに書きました)。
1枚だけ作例を載せましょう。
たまんないですねぇ、このシネマチックな雰囲気。
ポートレート
Luminar4で新たに追加になった目玉機能と言ったらポートレートのカテゴリでしょう。
- AI Skin Enhancer★
- Portrait Enhancer★
- ハイキー
- オートン効果
Lumiar4ではオートン効果がポートレートとして追加されていますが、Lumiar3ではクリエティブのカテゴリだったものです。
それでは目玉機能であるAI Skin EnhancerとPortrait Enhancerがどんな機能なのか見ていきましょう。
被写体は人物を使いたいところですが、今回はワンちゃんにしましょう。
撮影レンズはポートレートに定評があるFUJINONレンズ「XF90mmF2 R LM WR」です。
先ずはRAWのオリジナル画像です。
それでは、AI Skin Enhancerを適用してみましょう。
上の画像のパラメータの量を100に設定した画像が下の写真。
毛並みがふんわりとしましたが、ブログ画像の掲載だとわかりにくいかもしれないですね。
ですので、比較画像を見てみましょう。
RAWオリジナル AI Skin Enhancer 100
トリミングした画像の比較です。
※容量の関係上、少し解像度落としています。
ちなみにAI Skin Defects Removalにチェックを入れると、人物の肌で目立つホクロが消えますよ。
Portrait Enhancerでは12ものパラメータを使ってポートレート写真の調整ができます。
この機能もよくできていますね。
人物の特定部位だけをピンポイントで調整ができるんですよ。
それも他の部位の画像を維持したままです!
賢いですね。
ここでは機能の特徴をピックアップして説明します。
(作例は掲載しませんが、実際に試しました。)
Face Light:
顔だけ明るくする機能です。
逆光などで顔が暗く写った際に適正な明るさに補正が簡単にできます。
Eye Whitening:
瞳の白目部分を白くします。
例えば、花粉症の季節などに人物撮影をした際、その人の目が充血してしまった!なんて時に本来の白目の色に近づける、なんて使い方ができると思います。
Eye Enhancer:
すごーく簡単に言うと瞳をキラキラさせる機能と言えましょう。
順光の中で人物を撮影すると瞳は鏡のように何かが写ります。
その瞳の中に写っている被写体をハッキリとさせる機能なんですね。
Dark Circle Removal:
目の窪み辺りを明るくする機能です。
順光で人物を撮影したとしても、目の周りは窪んでいるため、どうしても露出が暗くなってしまいます。
そこで、Dark Circle Removalを使うことで目の下のクマ感を取り除けます。
Slim Face:
その名の通り顔の輪郭をスマートにする機能です。
よくできている機能で太っている人でも痩せたように見えてしまいます。
Slim Faceはレンズ特有の歪み解消をする際に使うといいのではないかと思います。
Enlarge Eyes:
目を大きくする機能です。
例えば、撮影した瞬間に目を閉じ気味で写ったしまった!なんて時に補正用として使うと良いと思います。
Eyebrow Improve:
眉毛を力強く補正する機能です。
男性のポートレートに使うといいではないかと。
と言った具合にPortrait Enhancerは、ポートレートに関することならきめ細かくレタッチできる機能が盛り沢山です。
この機能は実際に使ってみないと実感しないかもしれませんね。
Pro
ProカテゴリのフィルターはLumiar3のカテゴリ「プロフェショナル」と「ユーティリティ」から統合されたものが基本となっております。
機能の内容は画像の通りです。
結論:Luminar3 or Luminar4?
私はLuminar4は編集タブのUIが変わり、更にきめ細やかに調整できるポートレートのカテゴリが加わりました。
ポートレート撮影なども考慮される方にはとても強力な機能ですので、迷いなくLuminar4を入手した方がいいでしょう。
風景撮影をメインに撮影をする方であればLuminar3でも必要十分な機能を実装していますので、今後も多機能なソフトとしてお使い頂けること間違いありません。
一方でフィルターに関するUIについてはLuminar3よりも使い易く感じたこともまた事実です。
UI周りの更なる改善をアップデートなどで期待してLuminar4にいくというのもありです。
そして極め付けは、この記事の途中で紹介した41種類のプリセットColor Styles(LUT)です!
このプリセットの選択肢が増えただけでも導入する価値があるのではないかと思いますね。
是非この機会に導入してみてください(ちなみに買い切りソフトです)。
※なお、Lumiar3とLumiar4を同時購入した場合、「プロモーションコードを入力」に 「drasworld」 を入力すると割引が適用されます。
それでは。