「野辺山で星景撮影。X-T2とK-3でインターバル撮影をした比較明合成を比べてみた」からの続きです。
星景撮影をするにはまとまった時間を確保する必要があります。
今回、実際にインターバル撮影をした時間は1時間ほどです。
K-3で50分間、X-T2で60分間です。
たった1時間の撮影のために裏では何倍もの時間をかけています。
今回は裏でどんな行動をして何を準備したのかを書きますね。
もくじ
月入りの時間を事前に確認しておこう
太陽・月・星のこよみによると撮影した日の月齢は12.2でした。
満月の月齢が14とか15ですから月明かりの影響をモロに受けます。
星撮りをするうえで月の動きは事前に把握しておく必要はありますね。
とは言っても、12月後半から1月頭における東京の日の出は6:50頃ですので、朝の6:00くらいまでだったら星景撮影ができます。
この時間までに月の入りをしてから最低1時間の撮影時間を確保できればOKと踏んでいました。
私が撮影した日の月の入りは「月の出・月の入りマップ」によると4:20でした。チャンスは4:30から6:00までの間の90分間です。
で、実際のところ月の入りは八ヶ岳・硫黄岳方面に4:50頃にしました。
30分間も誤算がありました。
月よ早く沈め!なんて思ってましたよ。
ただ一つ肝に命じておいたことは撮影は朝方になるだろう、撮影時間のチャンスは限られているということです。
カメラの設定は頭に叩き込んでおこう
私が星景撮影をする時の係数です。今までF4のレンズを基準で撮影してきましたのでその値が頭に入ってます。
撮影現場に行っても月の入り時間までは他の被写体も撮影するので、結局、撮影を開始する少し前に全ての設定をやっていく感じです。
以下は係数と設定です。
・レンズの焦点距離は16mm(換算24mm以上)
・シャッタースピードは20秒から30秒
・ISO感度は3200
・中央測光
・ノイズリダクションOFF
・レンズ補正OFF
・シャドー、ハイライト補正OFF
・手ブレ補正OFF
・WBは晴れ
シャッタースピードは条件によって変わります。
今回は朝方でうっすらと東方向の空が明るみがあったこと、月の入り直後で残照が少し残っていたことから13秒に設定しています。
今回はX-T2に明るい広角単焦点レンズ XF16mm F1.4の組み合わせでも撮影しています。
絞りはF2に設定しています。
F4よりも2段、シャッタースピードが稼げます。
理論上、ISO感度が同じならシャッタースピードは3.2秒ほどになります。
そこで今回はX-T2側のシャッタースピードは4秒に設定しました。
基準となる係数さえ頭に叩き込んでおけば、レンズが変わってもカメラが変わってもすぐに設定できます。
撮影を開始する3時間前には現地入りをしてロケハンをしておこう
実際に撮影を開始したのは4:50。
現地入りしたのは1:30です。
この間の時間を利用してロケハンをしておきます。
野辺山には飯盛山の登山で来ていますが周囲の土地勘はありません。
先ずは野辺山の土地勘を掴むことから始めていきます。
真夜中の野辺山を車で何度か周遊して地形の様子を把握していきます。
今回は「やまなしの木」を被写体に星景撮影をしたかったのでこの木を探し回りました。
人に訊いても「土地勘がない人は夜に見つけられません」と言われちょっと「ムッ」としましたね。
だから訊いてだんろうに・・。
ってことで自力で探すことにしました。
一応事前に野辺山・南牧村観光協会のホームページの地図を確認はしてはいるんですけどね。
大体1時間ほども車で周遊すると土地勘が掴めてきます。
その中でなるべく開けてそうな場所に目星をつけて道を走り回って見つけました。
見つけるまでに1時間半走り回っています。
「やまなしの木」が探し出せなかったり、先行撮影者が多かった場合のことも考えて他の撮影場所にも目星をつけておきます。
ということを考えて早めに現地入りしてロケハンをしました。
冬の野辺山は寒い。思考力が低下しないための対策
冬の野辺山は朝方になると−10℃を切ります。
星景撮影は寒さと格闘です。
星が見える場所は光害が少なくて晴天率が高い場所になります。
晴天率が高い場所は放射冷却で気温が低下しやすくなります。
防寒対策をきちんとやって行かないと撮影をすることが困難になります。
いいカメラ、いいレンズ、いい三脚があっても撮影どころか寒さにやられて退散するのがオチです。
寒さ対策はどうすればいいのか?
3つの方法があります。
すべて実施すればその場に滞在できる確率が高くなります。
イコール撮影を成功させる確率が高くなることを意味します。
1つ目は体を外の寒さから守る防寒対策
インナーは薄手のメリノウールを着用しました。
その上に速乾性の半袖Tシャツを着ています。
ミドルレイヤーはティートン・ブロスの伸縮性があるフリース素材のアフトン・ジャケットを着ました。
アウターはマウンテンハードウェアの厚手のダウンジャケット(650FP)を羽織っています。
アンダーのメリノウールは薄手にも関わらず温かく感触も良くて動きやすい素材です。アフトンジャケットも同様に伸縮性があるので動きやすいです。
更に上にダウンを着ているので上半身の防寒はバッチリです。
忘れてはいけないのが末端を覆うことです。
指先、頭、足などですね。
ここで手を抜くと大変ですよ。
頭部はチューヨ(chullo)と言われるタイプの耳あてがついた帽子をかぶっています。
特に耳は冷えやすいので耳あてがある帽子があると重宝します。
手袋は適当です。ポーラーテック素材の手袋の指先を切ったものを使用しています。
あまり分厚い手袋だとカメラを操作するのが面倒になってしまうのでこうしています。
撮影場所に滞在中はダウンジャケットのポケットに手を入れているのでこれで間に合っています。
靴下は登山用の厚手のものを履きブーツはTEVAのウインターブーツ「Bormio Rip Stop」を履いています。
軽量で防水でグリップも効くとてもいい長靴タイプのアウトドアブーツです。
ちょっとした雪がある里山の写真撮影ではすごく重宝します。
15cmくらいの積雪ならサクサク歩けますからね。
ただ、-10℃以下の環境下で滞在型の靴として使うには厳しかったです。
とにかく足の指先が寒くて寒くてどうしょもなかったですね。
今回は心底からカリブーのブーツがあればな、と思いましたよ。
足先は大事。
2つ目は体を内側から温める
体を内側から温める一番いい方法は白湯を飲むことです。
そんな時に役立つ魔法の入れ物は山専ボトルです。
沸騰をしたお湯を入れてから6時間経過しても熱々の白湯を飲めるんですよ。
実にシンプルです。
3つ目は軽い運動をやって体を発熱させる
こんな時はスクワットをやるといいですね。下
半身は大きな筋肉が集まってますから発熱作用も大きいです。
私はゆっくりとフルスクワットを連続300回やりました。
縦走装備の登山に比べたら楽なものです。
負荷は自分の体重だけですから。
インターバル撮影中は基本的に待ち時間ですから、この時間を利用してワークアウトもやってしまいましょう。
撮影は体力や筋力が不足しているだけで不利になることもありますから鍛えておいて損はありません。
まとめると、星景撮影を成功させるためには、事前に月入り情報を入手して撮影の2、3時間前には現地に行ってロケハンをやる。
そして、防寒対策はしっかりやりましょう!ということです。
それでは。