当記事は、PENTAXからFUJIFILMへの一部システム移行を想定し、2017年の11月にフジフイルム スクエア(六本木にあった頃)でX-T2を借りてレンズの検証をしてきた時の話です。
FUJIFILMへ完全移行したら登山用の便利ズームとしてXF16-55mmを候補に入れることを考慮するも、結果的にK-3とDA16-85mmの組み合わせの解像度も素晴らしいことが分かり、そのシステムを維持するという結論に至ったことについては触れました。
そこで、行き着くところはFUJIFILMの売りである広角単焦点レンズです。
もくじ
先ずはFUJIFILMの哲学を知るところから始める
FUJIFILMの単焦点レンズには2つのラインナップがあります。
一つはプレミアム単焦点レンズ。
高い光学性能と大口径が生む「キレ」と「ボケ」が魅力
歪曲収差の補正に電子補正を使わない。
なぜならば、デジタル補正は画像の劣化をもらたらすからだ。
光学性能のみだけで収差ゼロを目指す、という理念のもと、作られたシリーズです。
プレミアム単焦点レンズのラインナップは
- XF14mmF2.8 R(今回試した)
- XF16mmF1.4 R WR(今回試した)
- XF23mm F1.4
- XF35mm F1.4
- XF56mm F1.2 R
- XF56mm F1.2 R APD
- XF90mm F2 R LM WR
になります。
もう一つつは、コンパクト単焦点レンズ。
機動力に優れた小型軽量なシリーズ
コンパクト単焦点レンズのラインナップは
- XF18mm F2R
- XF23mmF2 R WR(今回試した)
- XF27mm F2.8
- XF35mm F2R WR
- XF50mm F2R WR
になります。
Xマウントレンズ ラインアップ コンセプトブックによると、センサーフォーマットにおいてこう説明されています。
APS-C というセンサーサイズを選んだのには 明確な理由がある。X シリーズが目指したのは 画質、機動力を両立させた「35mm フィルム カメラの思想」であり、36×24mm というフォ ーマットサイズではない。
あえてフルサイズを目指さないというスタンスですね。
多くのリソースをAPS-Cフォーマット機の開発に投下できる、だから小型軽量で高画質に適用できる製品がどんどんと生み出されるのだと理解しました。
APS-Cフォーマット機に力を入れているのは、ペンタックスとFUJIFILMだけです。
NikonやCanonもやってるけど、最後に行き着くところはフルサイズフォーマットというシナリオありきな印象。
その中でもFUJIFILMはAPS-Cフォーマット機の開発に全力投球している感がありますね。
開発の際に最も重視するのは、レンズがセンサーの持つ解像力をどれだけ引き出しているかを表す「解像効率」だ。約2430万画素のX-Trans CMOSセンサーとXマウントレンズの組み合わせは約95%という極めて高い解像効率を誇る。
開口部を大きく
取ったXマウントは、より垂直にセンサーに光
が入るようレンズの後玉をセンサーの至近に
まで潜り込ませることができ、高画質で小型な
レンズ設計が可能になっている。
なるほど!道理で小振りな単焦点レンズが多いわけだ。
XF16mm F1.4の解像度はXF16-55mm やDA16-85mmの広角端と変わらない。ただしパンフォーカスで撮影するなら
実は今回、一番試したっかったレンズが広角単焦点レンズのXF16mmF1.4 R WRです。
感想を言うと使っていて楽しいレンズのナンバーワンでした。
それでは、XF16mm F1.4とXF16-55mmの比較。
周辺画像の解像度を見てみますか。
どちらもJPEG撮って出しで絞りはF5.6です。
300%まで拡大しています。
どちらの解像度も変わりませんね。
パンフォーカスで撮るならXF16mm イコール XF16-55mmの広角端 イコール ペンタックスのDA16-85mmの広角端 です。
左:XF16mm
右:XF16-55mm
次にダイナミックレンジを見ます。
JPEG撮って出しで絞りはF8です。
次に周辺画像(右下)の拡大です。
バッチリ解像していますね。
影になっているレンガ部分も黒潰れせずに質感が写し出されています。
XF16mm F1.4は絞り開放から高い解像度を叩き出す
絞り開放の解像度はどうなのか。
これが全景。
F1.4で撮影しています。
JPEG撮って出しの写真データを全体の約1/4左下だけトリミングしました。
これはスゴイです!これでF1.4ですよ!看板の文字も解像していますね。
夜景撮りに力を発揮しそうですね。
ちなみにF8で撮影したのがこれです。
こっちは暗く写り過ぎたのでRAWから露出を補正しています。
それ以外はノータッチ。
XF16mm F1.4は逆光に強い
この通りです。
F11で撮影。
JPEG撮って出しです。
暗部も黒潰れしないですね、すげぇ。
XF16mmの利点はやっぱりF1.4の破壊力。被写体を浮き出す力が凄まじい
広角レンズと思えないですねぇ。
XF16mmF1.4は本当にスゴいレンズだ!歩道で絞り開放(F1.4)で撮影をしたのですが、指先の前は道路です。
雑多な道路、車、ビル群をボカし見事に指先だけを浮かび上がらせています。
これはXF14mmの絞り開放(F2.8)。
これ以上の接写は無理でした。
XF16mm F1.4の接写能力に脱帽です。
ちなみにですけど、SIGMA10-20mm F4-5.6の広角端側で撮影した絞り開放(F4)はこんな感じです。
これでも広角マクロのつもりで一生懸命、被写体に近づいたんですよ。
レベルが違い過ぎ。
もう一発、XF16mm の絞り開放F1.4で撮影した作例を。
Lightroomで露出とシャドーだけ持ち上げています。
道端の花壇で撮影をしました。
レンズの前面が葉っぱに触れるくらい接写ができるんですよ。
スペックを見て頭では理解しているつもりでしたが、実際に使ってみると、ただただ驚くばかりです。
森タワーが見事に雑多な風景から切り離されています。
XF16mmF1.4 R WRはパンフォーカス撮影用の機材として使うにはあまりにも勿体無いレンズです。
このレンズの使い所は、山での広角マクロを利用した花の撮影、薄暗い森での撮影として使えますね。
絞り開放から高い解像度を叩き出すレンズですが、残念ながら星景撮影には向かないですね。
個人的には画角が狭いように感じるし、作例しか見てませんがサジタルコマフレが発生しています。
星景撮影を求めるんだったらSAMYANG 12mm F2かなって思います。
XF14mm F2.8とXF23mmF2はオールマイティータイプスナップのレンズ
XF14mmも高い解像度を出しますね。
しかしXF16mm 1.4ほどクローズアップ撮影ができませんね。
うーん、このレンズを使うとしたら星景か建物の撮影になるような気がします。
これと言った特徴はないのですが、軽快にスナップ写真や風景を撮影するシーンで力を発揮するレンズだと感じました。
XF14mmF2.8は重量が230gしかないですから。
それでいてF2.8の明るさを確保できるのは冒頭に挙げたX シリーズが目指したのは 画質、機動力を両立させた「35mm フィルム カメラの思想」によるところですね。
XF23mmF2も同様です。
メチャクチャ軽快に動けます。
XF23mmに交換したらパシャパシャ写真を撮る自分に気づきましたよ。
23mm(フルサイズで35mm相当)という画角は意識して使ったことがありませんが、街中ではとても使いやすい画角だなって思いました。
旅行に持って行きたい画角です。
今、手元にはGX7 +20mmのパンケーキレンズ(過去記事参照)(40mm相当)がありますが、これといい勝負ですよ。
カメラに単焦点1つだけしか使えないという制約があるという前提で1ヶ月間の旅行(国内ね)に行くとした23mm(35mm相当)を選びますよ。
風景でも街中でも使いやすい画角ですからね。
XF23mm F2はオールマイティーも使えるレンズだと確信しました。
防塵防滴だし。
広角的に景色を収めるのもよし。
スナップ撮影をするのもよし。
もちろん、マクロ的な撮影もできます。
てことで、ペンタックスとのデュアルシステムを組むとこんな感じになるかな。
K-3+DA16-85mm存続決定。
登山での稜線撮影専用。
FUJIFILM機に以下の単焦点。
- XF16mm F1.4(花や木の広角マクロ専用。森の中で活躍)
- XF23mm F2(旅行や動画で使えそう)
今回紹介したレンズたち
防塵防滴。最短撮影距離15cm。375g。
軽くて描写力も高い。重量235g。
オールマイティーに使えるレンズ。
重量180gで軽快に動けます。
防塵防滴なので旅行にも気軽にお供できそう。
それでは。