テレコンバーター「XF1.4X TC WR」を導入しました。
ほぼXF70-300mmに付けっぱなしです。
XF70-300mmとの組み合わせで使うと640mm相当の画角になります。
更にX-T3との組み合わせでスポーツファインダーモードで1.25倍クロップすると800mm相当の画角を得ることができます。
この画角をボディ(X-T3の場合)と合わせても僅か1300g台で持ち運べるというメリットは大きいなと感じますね。
これはAPS-Cの一眼レフ機と5倍の標準ズームの組み合わせと同等の重量に相当します。
加えて防塵防滴ですから登山で使うにはうってつけのシステムです。
とにかく可搬性がよくコンパクトなシステムです。
もくじ
XF70-300mm+1.4TCの外観、サイズ、重量
XF70-300mmとXF1.4X TC WRを組み合わせても違和感がありません。
640mm相当の画角をこのサイズ感で持ち運べます。
テレコン自体小さいですからね。
「WEATHER RESISTANT」の表記がありますね。
防塵防滴なので小雨程度の撮影でも問題ありません。
XF70-300mmとXF1.4X TC WR の組み合わせによる重量は785g。
前玉、後ろ玉のキャップ、フード込みの重量です。
保護プロテクターはしてません。
X-T3との組み合わせでは1340g程度の重量になります(三脚ねじ穴にはキャプチャーV3用のスタンダードプレートを装着)。
これって、XF100-400mm単体(1375g)よりも軽いんですよね〜。
要するにコンパクトで軽量だということですね。
さて、気になる写りはどうなのでしょうか?
一般的にレンズはサイズが大きいほど光学性能も高くなりますよね。
実際に見てみましょう。
雷鳥の親子を撮影
本命は雷鳥撮影ですね。
雷鳥は比較的近くまで行っても逃げることが少ないので200mm程度の画角でも撮影できます。
が、やはり640mm相当まで稼げると撮影が捗りますよ。
雷鳥を見つけたのは7月上旬の白馬大池です。
時間は19時頃。
次第に暗くなってくる時間帯です。
XF70-300mmにテレコンXF1.4X TC WRの組み合わせでは、テレ端である420mm側の絞り開放はf/8になります。
この絞りf/8で手ブレが回避できるシャッタースピードで撮影した時にノイズに対して、ご自身が許容できるISO感度が実用感度となります。
あくまでも私の例ですが、
- シャッタースピードを1/250に設定(XF70-300mmに手振れ補正がありますが念のために)
- テレコンを装着した時の絞り開放f/8
- その時のISO感度が3200
となります。
その設定で撮影したのが次の写真(JPEG撮って出し)になります。
夕方の19時を過ぎた条件でこれだけ撮れればいいんじゃないしょうか?
ちろん、XF50-140mmのようなレンズを使って、もっと至近距離で絞り開放f/2.8で撮れればそれに越したことはありません。
おそらく、もっと綺麗に撮れるでしょう。
しかし、機材の可搬性や稼げる焦点距離を考えると必要十分です。
ところで、近くで撮影されていた方がいたのですが、マイクロフォーサーズ規格のコンパクトな望遠レンズを使っておられました。
「レンズが暗い」と仰りながらも三脚を使って撮影されておりました。
明るくて重いレンズを持って行くか、コンパクトで可搬性が良いレンズを持って行く代わりに他の目的で持ってきた三脚でカバーするのか人ぞれぞれですね。
さてさて次は明るい時間帯での撮影です。
非常に撮れ高が高くXF70-300mmとテレコンの組み合わせによるポテンシャルを引き出せたと感じます。
以下の写真は翌朝の5時〜6時台にかけて撮影した雷鳥たちです。
こちらもすべてJPEG撮って出しとなっております。
雷鳥の雛と母親。
テレコンをつけていますが、解像度もバッチリですね。
お母さん雷鳥のお腹の下に雛がこんなにいたとは。
かわいい〜。
テレコンのおかげで640mm相当の画角まで稼げます。
雷鳥に刺激を与えないよう離れて撮影ができます。
人間が家族に何かやらかそうとしているのではいかと警戒して飛んできたオス雷鳥。
自分の方に注意を向けようとしています。
淡々と自分の方に注意を引き寄せるオス雷鳥。
実際に暫くの間はこっちに目が向いてました。
420mmで絞り開放f/8で撮ってますが、それなりに背景はボケています。
個人的には日中の撮影なら全然オッケーですね。
カッコいいですね。
このオス雷鳥はどこか余裕があるように感じられました。
人間がいても動じないし、過剰に反応するわけでもなく、在るがままの姿でその場に存在している感じでした。
でもやっぱり雛の雷鳥にも目がいってしまいます。
「オンドリャ〜、うちのガキんちょに手ぇ出すんじゃねーぞ」
と無言の風格を醸し出すオス雷鳥。
何も知らずに純粋にハイマツ帯を駆け回る雛雷鳥。
「おう! 俺が見張っててやるから安心しな!」
「うん! 分かったわ。あなた!」
「ほら〜、あんた達、自由に遊びなさい」
「うむ」
「さ〜て」
「大丈夫そうだな」
「よし!」
「お前ら、腕白に育てよ!」
「ピヨピヨ♪」
ヨチヨチ…
「あなた…」
「ピヨピヨ〜」
「バ〜イバ〜イ」
いかがでしたでしょうか。
明る時間での撮影ならシャッタースピードも稼げますし、ISO感度によるノイズも気にする必要がありません。
解像度の面でもテレ端側の420mmでも破綻がなく安心して使えます。
XF70-300mmとテレコンの組み合わせでは、XF100-400mmと比較するとテレ端の絞り値が1段暗くなってf/8になりますが、重量が6割程度になり、2回りコンパクトになるというメリットがあります。
ちなみにホシガラスなどの動体撮影はちと厳しいかなと感じました(撮れないことはないですが)。
しかし雷鳥など動きが少ない動物が被写体ならXF70-300mm+1.4X TCの組み合わせのメリットを活かした撮影ができると思います。
遠景の風景撮影
640mm相当で遠景を撮る機会は多くはありませんが、これだけの焦点距離があると目の前に被写体を引き寄せることができますね。
テレコンをつけたとしても解像度は維持できてるように感じます。
寧ろ大気のゆらぎによるレンズ解像性能の低下の方が気になります。
大気のゆらぎの影響を受け難い標高の高い場所で撮影した写真の方がクッキリと写る傾向にあります。寒い場所も空気が澄んでいるので遠くの被写体を撮影してもゆらぎの影響を受け難いなと感じます。
というこで、幾つか作例をご紹介しますので参考にしてみてください。
なお、XF1.4X TC WRを導入したのは3月なのであまり寒い時期の写真は多くありません(笑)。
本領発揮できるのは晩秋以降からですね〜。
福地山から北アルプスを撮影(3月)
奥飛騨にある福池山は往復4時間で歩けるお手軽な山です。
ここにはよく厳冬期の季節に行きます。
ここからは穂高連峰や笠ヶ岳がよく見えるんですよ。
写真は笠ヶ岳。
420mm(640mm相当)で撮影しました。
槍ヶ岳です。
穂高岳と鞍部にある穂高岳山荘。
西鎌尾根です。
3月に入り日中の気温も緩み始め、空気のゆらぎを感じるもののよく写っているのではないでしょうか。
これが1月や2月のキリッした寒い朝ならもっとクリアに写ったと思います。
筑波山から都心を撮影(3月)
さすがに関東平野の3月は空気も霞んで景色を撮ってもゆらぎの影響をダイレクトに受けます。
というのを分かりつつも筑波山にテレコンをつけたXF70-300mmを持って行きました。
先ずは富士山。
霞んでますねぇ。
平野部。
超望遠域で撮影する距離感としては近めですがやはり空気のゆらぎの影響を感じます。
テレコン利用時のワイド端98mmで撮影すると空気のゆらぎが緩和されます。
筑波山からは都心が見えますね。
ワイド端の98mmで撮影した様子(写真が斜めってしまった)。
次にテレ端の420mmで撮影しました。
霞はさておき、これだけ近く見えるようになりました。
更にX-T3のスポーツファインダーモードで1.25倍クロップすると800mm相当の画角になります。
新宿の超高層ビルがいかに狭い範囲に林立しているのか分かります。
霞ヶ浦越しに見える太平洋。
3月の平野部だと遠景撮影は空気のゆらぎと霞がキツいですね。
しかし、XF70-300mmにテレコンをつけると遠くの景色が間近に見えるように撮影できて面白いですね。
大地山から初雪山や剱岳を撮影(3月)
再び雪山へ。
初雪山へ向かう途中にある大地山へ向かいました。
大地山から朝日岳と朝日平を撮影しました。
綺麗に撮れましたね。
初雪山へ向かう登山者たち。
雪庇から離れて歩いている様子が分かります。
同じ場所からワイド端の98mmで初雪山の全体像をフレームに収めました。
剱岳。
逆光と気温上昇の影響で少し霞んでますがよく見えます。
テレコン使ってまで撮るような被写体じゃありませんが、何となく撮ってみたかったので…。
絞り開放f/8で撮影しました。
朝日町と日本海。
関東平野よりも少し春が遅い感じがしますね。
という具合に空気が澄んでいる条件で撮影するとテレコンを組み合わせた遠景撮影でもいい感じの絵が出てくることが分かりました。
白馬大池から朝日小屋を撮影(7月)
雷鳥を撮る目的でXF70-300mmとテレコンを持って行ったのですが、望遠で切り取りたい景色があったので撮影してみました。
白馬大池周辺に咲いていたハクサンイチゲ。
テレコンを外すのが面倒だったので装着したまま撮りました。
もくもくと沸き立つ夏雲。
まだまだ残雪が多い7月上旬の朝日岳周辺。
朝日小屋越しにはうっすらと日本海が見えます。
夕日。
以上となります。
テレコンは、XF50-140mm、XF80mm、XF100-400mm、XF70-300mmが対応しています。
XF80mmにXF1.4X TC WRをつけて170mm相当でマクロ撮影できたら、登山道からお花撮影するのに便利だろうななんて思ってます(思ってるだけで買う予定なし)。
てことで、本記事で紹介したXF70-300mmとの組み合わせでも十分に使えることが伝われば幸いです。
それでは。
本記事で紹介したテレコン。
これ一つで撮影の幅が広がります。
軽量・コンパクトな望遠レンズ。
300mm側のテレ端でも画質がしっかりとしており解像度が高い印象です。
可搬性がよく防塵防滴仕様と相まって登山で雷鳥撮影するには取り回しがいいレンズですね。
テレコンと組み合わせれば640mm相当まで撮影ができます。
X-T3のスポーツファインダーモードを併用すれば800mm相当の世界まで手が届きます。