今まで星景撮影は広角レンズや標準画角のレンズでやるものだと思っておりました。
しかし、望遠レンズで天の川を撮影されている方もいらっしゃるんですね。
きっかけはtamugon_blogさんの「春の天の川」の記事です。
tamugon_blogさんは、剣岳をバックに望遠レンズを使って比較明合成をすることでスタートレイルを作っています。
画角は135mm?くらいかと思われ、私の持っている D FA MACRO 100mmF2.8 WRでも似たような表現ができるのかも、と考え私も試してみることにしました。
ペンタックスのレンズを使っていますがどこのメーカーのレンズでもOK。
撮影は長野県の戸隠山の麓にある鏡池でやりました。
撮影地からこの山までの直線距離は約2.6kmです。
これを100mmのレンズで切り取ったものが今回の作例になります。
もくじ
100mm(換算150mm)の中望遠マクロレンズでスタートレイルの撮影に挑戦
私が今回試したのはインターバル撮影で比較明合成をする手法ではなくバルブ撮影で露光時間を長くする方法です。
今回はスタートレイル(星の軌跡)を作るのが目的ですので、500のルールに従って星を点像として撮影をする必要がありません。
星を流すわけですから明るいレンズも高感度のセンサーも不要です。
ですからAPS-C機でも十分に撮影することが可能です。
以下は撮影時の設定です。
絞り:f/5.6
露光時間:1127秒(約19分)
ISO:400
この設定には私なりの明確な根拠があります。
テキトーにやっているわけではありません。
現場で外の明るさを確認してからその場で計算して決めています。
明るさの確認は感覚です。
これはフィールドで遊んできた強みですねw
星を点像として撮影したい。焦点距離から適正露出を算出する500ルールとは?で書いた通り基準があります。
これは星を点像として撮影した場合の基準値ですが、実は適正な露出(明るさ)を得るための指標でもあります。
適正基準値です。
フルサイズで15mm(APS-Cなら10mm)、F2.8、ISO3200、シャッター速度30秒
シャッタースピード30秒というのは正確に言うと、500のルールに当てはめた場合、 500/15mm = 33.3秒 ≒ 30秒ということです。
この3.3秒のズレですが露光時間が長くなるほどブレ幅が大きくなり精度が低くなります。
ですので、露光時間を長くする時はこの3.3秒を端折らずに計算します。
以上のことを拠り所として個別の要素を噛み砕いていきます。
絞りの設定からシャッタースピードを算出する
f/4まで絞るとシャッタースピードは66秒
f/5.6まで絞るとシャッタースピードは132秒
になります。
次にISO感度を調整してシャッタースピードを割り出す
絞りはf/5.6を基準にします。
ISO感度を1600まで落とすとシャッタースピードは264秒
ISO感度を 800まで落とすとシャッタースピードは528秒
ISO感度を 400まで落とすとシャッタースピードは1056秒
つまり17分36秒ですね。
バルブ撮影している最中はX-T2で天の川のインターバル撮影をしていたので、そちらの様子を見つつ20分くらいの撮影で切り上げればいっか、と考えておりました。
結果的にバルブ撮影をしていたペンタックスK-3のシャッターを1127秒(約19分)で切ったというわけです。
まずは自分が立っている地点から超広角レンズ(SAMYANG 12mm F2.0)で撮影した様子です。
ここから100mmの画角で切り取り撮影をします。
同じ地点からD FA 100mmでバルブ撮影をした結果どんな写真になったのか?
↑ こんな写真になりました。JPEGを無加工で書き出したものです。
暗いでしょ?でも、これって適正露出かなって思います。
月が沈んだ後に撮影しているので条件は新月と同じです。
実際に人間の目で見てもこの程度の明るさでしか認識できません。
まぁ、世に出ているほとんどの星景写真は加工ありきものなので、ナチュラルという視点ではこれも悪くないかなって思います。
それでは、バリバリ加工してファンタジーな世界観を作り上げてみます。
Adobe LightoomでRAWデータを加工してファンタジーな世界観を作ってみる
↑こんな感じで編集しました。この画像自体、解像度落としてるのでちょっとエッジが効いてない画像ですが、Lightroomで加工しただけでだいぶ雰囲気が変わりましたね。
本気で満点の星空を見に行くには、8時間も9時間もかけて歩いて光害のない山奥に入らないと見られないかもしれません。
例えば黒部源流辺りとかですね。
で、やっぱり実際の目で見たもの以上のモノを表現しようとすると、データを加工することが前提になります。
そんなことを思いながらLightroomで遊んでみました。
ちなみにLightroomはオンラインコード版を使っています。
Adobe Creative Cloud フォトプラン(Photoshop+Lightroom)
この写真を撮るために使った撮影機材
Velbon 三脚 ウルトラロック ULTREK 45L 6段
それでは。