冬山と言えば皆さん、アイゼンを履いて斜面を登攀しますよね。太もも上げるの疲れません?
冬山に入って感じていることですが、大した標高差でもないのにバテ気味の人が散見されます。そういう方を見ていると心肺機能や脚力の問題というよりも、太ももが上に上がらなくなってきて疲れているような印象を受けます。
それって、太ももを上げる腸腰筋が弱いからなんですよね。
もくじ
あなたは冬山で足首に重りをつけて何千歩も歩いている
特に冬山シーズンの始めは、夏靴からアルパインブーツに履き替えますし、アイゼンを着用するため足にかかる重さに馴染まない人が少なくないです。
アルパインブーツと10本爪のアイゼンを合わせると片方の足だけで1.2kg〜1.4kgの重量になります。
加えて、アウターパンツを着用することによって、膝に摩擦負荷が掛かります。更に新雪の後だと足の甲に雪が乗っかり負荷が増します。
雪の状況にもよりますが、新雪の中を歩くときは体感的には片足2kg以上の重量がかかっていると思っていいでしょう。これって、足首にアンクルウェイトをつけて歩いているようなものです。
そんな状況で何千歩も歩くわけですよ。
それもただ歩くだけではありません。山では太ももをより高く上げなければ前に進めませんよね。
太ももを上げる動作を司っているのは脚力ではなく腸腰筋だ
太ももを上げる動作を司っているのが「腸腰筋」です。陸上選手、サッカー選手、ムエタイの選手などがをイメージすると分かりやすいですね。
そう、グリージーズンは平気でも冬山でバテる傾向にある人は腸腰筋が弱いからなんです。脚力や心肺機能がバテてしまう前に腸腰筋がバテちゃっているんですよね。
ちょっと経験談を。
数年前のグリーンシーズンに入る前の季節に、長野県大町市にある七倉ダムから湯俣温泉までトレラン?走ってきたことがあります。
片道15キロですから往復で30キロあります。七倉ダムから高瀬ダムまではアスファルトの緩い登りが続きますが、高瀬ダムから湯俣温泉は平坦な道が続きます。
ワークアウトで心肺機能も必然的に鍛えられていますが、私には走って鍛えるという習慣がありません。
ここである予測外の出来事が起こりました。
帰り道で走っている最中、太ももが上がらなくなってきたのです。心肺機能も脚の筋肉も全然辛くないのに、太ももを上げる動作が辛いという体験をしました。
原因は腸腰筋の持久力の不足です。走る動作では歩く動作と違って太ももを高く上げる必要があります。そのため歩く以上に腸腰筋が活動するわけです。
歩くのなら8時間でも9時間でもできちゃうんですが、走るのはまるでワケが違うんだな、って感じましたね。
腸腰筋の疲労感が抜けるまでに1週間ほど掛かりましたね。
冬山ではグリーンシーズン以上に腸腰筋の強さが問われる
冬山ではアルパインブーツを履き、アイゼンを着用して、太ももを上げた動作を反復させながら斜面を登って行かなければなりません。
「太ももを上げる動作」に慣れてないと腸腰筋が最初に悲鳴を上げてしまいます。
ラッセルをするときなんかは、特に必要となるインナーマッスルですね。
ということで、普段から太ももを上げる動作をやって腸腰筋を鍛えておく必要があるのですが、日常生活では階段を登るとき以外は、あまり使う機会がありません。
そこで必要となるが太ももを上げるワークアウトです。
太ももを上げて腸腰筋を強化するワークアウトのポイントは足の裏を宙に浮かせること!
太ももを上げる動作と言えば足踏みを思い浮かべますよね。やってみると分かりますが、何十回も簡単にできちゃいませんか?
なぜだか分かります?
足踏みをやる時は無意識にリズミカルな動作でやってしまいます。足の裏が床に接地するとバネのようにポーン、と跳ね返っちゃうんですよね。これだと腸腰筋を動員する割合が少なくなります。
もしやるなら、足の裏を地面に着けないで太ももを上げ下げすることです。足の裏が地面に着く直前に太ももを上げるんですよ。それを繰り返します。
理想は下半身を宙に浮かせることですね。
ここで私がやっているワークアウトをご紹介しましょう。
まず、チンニングスタンドにぶら下がりか、つかまるかして下半身を宙に浮かせます。
そのまま、太ももを上げ下げをする動作を繰り返します。遅い動作から早い動作までスピードに変化をつけます。これだけで腸腰筋が使われ疲労感を感じます。ついでに下腹部の腹筋にも刺激が入ります。
上の動画は15秒ほどの映像ですが、実際には1分近く反復動作を行なっています。回数を定めるよりも時間制でやったほうが効果を実感します。
私はチンニングスタンドの近くを通ったついでにやってますね。ですから日常的に腸腰筋を使う機会が増えましたよ。
このように反復動作を繰り返すのであれば自分の脚の重さだけでも十分な負荷がかかりますよ。
余裕があればアルパインブーツを履いてやるとより一層の効果が得られます。ブーツを履くのが面倒だったらアンクルウェイトをつけてやるといいかもしれませんね。ただし無理は禁物です。
レッグレイズ でも腸腰筋を鍛えることができますが、実際の動作に近いのは上でご紹介した太ももの上げ下げ(片足でやるニーレイズ)です。
脚力や心肺機能だけでなく腸腰筋も鍛えて冬山でもバテない体を作りましょう!そして冬景色を楽しむのです!
それでは。