雪山登山をする人は車で登山口の近くまでアプローチすることが多いのではないでしょうか。
登山口へ至る山道では圧雪された路面が、アイスバーン化していることが多々あります。
このような道路ではスタッドレス(※)を履いていてもスリップすることがあります。
※スタッドレスタイヤを自分で交換する手順については別記事で解説しています。
もくじ
融雪剤(塩カル)が散布されても豪雪地帯ではさほど融雪効果を見込めない
雪が降ると一般の幹線道路には塩カルが撒布されます。
塩カルとは、塩化カルシウムの成分が入った白いあられのような形状をした融雪剤です。
塩カルが撒かれると、雪で覆われた道路の雪が融けます。
降雪があれど路面が雨上がりのような状態になるので、運転をしていてもさほど神経を使う場面がありません。
しかし、融雪剤(塩カル)の効果があるのは、あくまでも豪雪地帯でない地域で10〜15cm程度の雪が降ったうえで除雪が入った場合の話です。
例えば、新潟県の魚沼周辺や長野県の栄村などの豪雪地帯では、道路の雪が融けきらない場所もあります。
特に降雪の直後は。
雪の山道では本当に四駆(4DW)車は必要なのか?
豪雪地帯の一般道が危険か?と言うとそうでもありません。
急発進をしなければタイヤが空回りしてスリップすることがないからです。
ところが、山道での走行ともなると勾配が伴います。
勾配がある場所では、除雪はされているものの路面の雪が融けきらずに覆われていることも少なくありません。
よく雪道では4WD車がいいと言います。
事実、四駆のほうが雪道でも安定した走行ができます。
具体的には段差があるような場所です。
FF車ではちょっとした段差がある場所で、
- 後輪がその段差に引っ掛かり、前輪がスリップしてしまう
ことがあります。
これが四駆車だと楽々と抜けてしまいます。
軽自動車の四駆だとしてもです。
しかし、本当に四駆が必要かというとそうではありません。
本当に四駆が必要な場面は限られています。
ほとんどの日常生活圏内では二駆車で事足ります。
あえてを四駆車を選ぶ理由がありません。
四駆車は車体重量が重くなります。
ほとんどの車がフロントにエンジンを積んでいます。
前輪の駆動部から後輪へ動力を伝えるシャフトなどのパーツが積まれますので車体重量が増します。
ここでじわじわと差が出てくるのが燃費の問題です。
車体重量が重いことや、駆動パーツが多いことによる回転摩擦によるロスから二駆車よりも燃費効率が落ちます。
山道でも凹凸があるような悪路でも走行しない限り四駆車は必要ありません。
何故ならば山道とはいえど除雪が入れば圧雪されているからです。
多くの車はFFの2WD車ですが、凹凸がある場所で後輪が引っ掛かり前輪が空回りするようなシーンは圧雪されていれば無関係なのです。
本当に四駆(4DW)車が必要な場面は山林関係の仕事で山に入る人
一方で山林関係の仕事をやってる人は四駆車が必須になるでしょう。
アスファルトではなく凸凹した除雪されていない場所にもアプローチすることがあるからです。
FF車とはFront engine Front driveの略で前輪駆動車のことです。
例えば、自転車はペダルから後輪駆動に動力が伝えられます。
その動力が前輪になったのがFF車です。
前輪が駆動する力で車体をぐいぐい引っ張って走ると言ったら想像しやすいでしょう。
それが四駆になると前輪と後輪の両方の動力で車を前に推進させます。
除雪がほとんど入ってないような場所では、金属製のチェーンを装着させて走行します。
金属製のチェーンは絶大なグリップ力を発揮します。
アイスバーンの坂でも四駆にチェーンを履かせたらグイグイと登って行きます。
しかし、登山やスキーを目的に山道を走行する時はチェーンは必須ではありません。
大抵の登山口やスキー場はスタッドレスさえ履いていればFF車でも雪の坂道を登っていける
黒斑山の登山口である高峰高原は、標高2000mありますが冬でも車で入れます。
近くに「アサマ2000パークスキー場」があるため除雪されているからです。
早朝に車で入っていくと除雪はされているものの、場所によっては完全に路面の雪が融けているわけではありません。
圧雪されて固まった路面状態になっています。
そのような状態でもスタッドレスさえ履いていればFF車で登っていけます。
実際に走行しているシーンです。
カーブがあまりない道路では40km/h前後で走行しています。
カーブがある道路ではスピードを落とします。
しかし、ストップはしないように運転しています。
下の動画のような道路では停止しても再発進はできますが、勾配があり路面がアイスバーンだと難しいこともあります。
もう一つの例は美ヶ原です。
実は美ヶ原へ至るビーナスラインは冬季になると全面閉鎖されるのですが、長野県の長和町和田庁舎前の長野県道178号(美ヶ原和田線)からアプローチできます。
178号線の最大勾配は13%ですが、スタッドレスを履いたFF車で行けるんです。
ただし条件があります。
スタッドレスが雪面に食い込む雪質であることです。
新雪なら問題ないのですが、アイスバーンだと金属製のチェーンが必要になるでしょう。
チェーンスパイクがどのくらい強力なのかというと、4DW車に限った話になりますが、15cmくらいの積雪で除雪されていないアスファルトの坂道、かつ雪面の下がアイスバーンの状態でもをぐいぐい登って行けるくらい効果を発揮します。
アイスバーンの坂道をFF車で登り切るポイント
自家用車はFF車ですがチェーンは履かせていません。
日常生活で必要性を感じないからです。
スタッドレスのみで冬季の季節を乗り切っていますが、私がアイスバーンの坂道ではどのように運転しているのか、ポイントをお伝えしましょう。
坂道ではなるべくスピードを落とさずに通過する
のです。
日中なら気温も上がって太陽光で雪面も少し緩くなり、スタッドレスが雪面に食い込みやすくなるのでグリップが効きますが、早朝だと雪面が固くスタッドレスのグリップ力が低下するとがあります。
坂道では一旦停止してしまうとアクセルを踏んだ瞬間にスリップして登れなくなってしまうことがあります。
スリップを回避するには斜度の緩い地点までゆっくりバックをしていき、そこから徐々に加速してスリップポイントを切り抜けるしかありません。
しかし、注意点があります。
路肩に寄りすぎると、うっかりと路肩でタイヤがハマって抜けられなくなることもあります。
周囲に人がいれば助けてもらえますが、いなければ自力で切り抜けるしかありません。
そんな時に役立つのがスコップです。
携帯スコップは車に積んでおこう
登山用の携帯スコップ(ブラックダイヤモンドの「デュプロイ」は携帯性もよく、いざという時に使えます。
デュプロイは、残雪期の山でテント場を整地するために使っていますが、車がスリップしたときにも路面の雪を搔き上げるために使っています。
とても便利ですよ。
このスコップさえあれば・・・と思った出来事に遭遇したことがあります。
ちょっとした集落の先にある林道を走行していたときのことです。
坂道を勢いで上れるように一定速度を保ったまま走行していたのですが、前方から車が来ました。
その車は待っていてくれたのですが、私のほうで停止してしまいました。
そこで停止したのが運の尽きです。
発進しようとすると前輪がスリップするのです。
そこで、頑張らずにバックすればよかったのですが、すでに手遅れでした。
タイヤがどんどん深みにハマっていきバックすらできなくなりました。
もう手のつけようがありません。
前方の車のドライバーも高齢の女性でしたし、助けの申し出がありましたが丁重にお断りしました。
私は、スニーカ姿でバンパーが干渉している路肩の側面の雪の壁を崩していきました。
そりゃ手も足も雪でずぶ濡れですよ。
こんな原始的な方法でしたが、ハマった車はすんなりとスリップから抜け出すことができました。
この時ほどスコップさえ積んでおけばよかったな…..としみじみ思います。
それ以来、冬になると登山用の携帯スコップ(ブラックダイヤモンドの「デュプロイ」は車から手放さないことにしています。
道具も大事ですが、やはりポイントを押さえることも大事です。
坂道を登っているときのポイントはなるべくスピードを落とさない。
急発進をしない。
ということを心がけています。
スピードを落とさないのは慣性の法則を想像してもらえればイメージしやすいと思います。
バリバリの山道ではありませんが他にも雪道の運転の様子を載せた(動画もあります)記事も書いていますので雰囲気を参考にしてみてくださいね。
それでは。