あなたは、現在、懸垂ができますか?
最後に懸垂をやったのは中学校や高校の体力測定、学生時代のサークルでやったのが最後という人って結構いますよね?
10数年ぶりに懸垂に挑戦したら4、5回しかできないなんてことも。
現役を引退し運動とは無縁になってしまった平均的な日本人の成人男性像です。
実際のところ、仕事、飲み会、子育て、家族サービスに追われていると懸垂をやる機会は皆無になりますよね。
自分で意識しない限り。
懸垂は腕立て伏せのようにどこでも気軽にできるというわけではありませんね。
ぶら下がる場所を拵えるか探すかしないと。
そんな状況に置かれている人でも、1年間、懸垂のワークアウトを習慣化し継続すると筋力が向上し自重で15回くらいはこなせるようになります。
もくじ
成人男性の懸垂力と回数・体重の関係
懸垂5回の最大筋力は、体重の112.5%です。
懸垂が15回できると最大筋力は、体重の137.5%です。
最大筋力を算出する計算式は (重量 / 40× 回数)+ 重量 です。
この計算式は「O’Conner式フォーミュラ」に基づくものです。
詳しくはベンチプレスのMAXを算出する7つの公式でも書いてますので読んでみてくださいね。
日本人男性の懸垂の回数から最大筋力を当てはめてみましょう。
平均体重は65kgくらいですので、懸垂力のMAXは75kg前後あると考えられます。
- 5回:73kg(日本人の平均回数)
- 8回:78kg(これも日本人の平均回数)
- 12回:84kg(ちょっと運動をやっている人)
- 15回:89kg(ワークアウト習慣がある人)
5回しかできない懸垂が15回できるようになると、最大筋力が22%強くなります。
これってすごくないですか?
日々のちょっとした習慣で20%もの筋力が伸びるとしたら、どんな未来が垣間見れるのでしょうか?
懸垂力がプレス力より弱い人は意外と多い。でも鍛えるとグングンと伸びる
筋力がピークであるはずの成人男性(20代前半〜半ば)でも
- 懸垂の平均回数は6〜8回
- 平均体重が65kgですから最大筋力は75〜78kg
です。
メタボになって体重が増えたら1回しかできない筋力しか持ち合わせてないと考えればイメージしやすいですね。
体重70kgでベンチプレス100kgを軽々と上げれる人でも懸垂をやると10回ちょっとしかできなかったりします。
例えば、この人が100kgのベンチプレスを5回、懸垂が12回できたとしても筋力のバランスが悪いですよね。
- 押す力の最大筋力は112kg
- 引く力の最大筋力は91kg
になります。
これではバランスが悪い。
引く力が押す力の80%くらいしかないということになりますからね。
そりゃそのはず懸垂をやる環境も少ないうえに日本人は背中の筋肉があまり強くありません。
だからと言って悲観的になる必要はありません。
鍛えると、ぐんぐんと回数が伸びていきます。
そして、最大筋力の底上げにもつながります。
そういえば、私は15歳の頃、体重が54kgで懸垂が5回しかできませんでした。
そんな私でしたが、特訓をしたおかげで1年後には57kgの体重で17回の懸垂ができるようになりました。
2年後には体重が58kgで懸垂30回まで伸びました。
現在は67kgの体重で35回できます。
筋力のバランスは
- 押す力(ベンチプレス最大値120kg)
- 引く力(最大値125kg)
で、96%:100%です。
とてもバランスがいいです。
懸垂の回数を増やすために体重を減らすのはナンセンス
極端な例を出しますね。
例えば、肥満レベルの体型でBMIが35くらいあるなら、BMIを25くらいまで体重を減らすのはアリです。
具体例を挙げましょう。
BMI35なら身長170cmで100kg弱の体重ですね。
ラガーマンのように激しい運動をしてなければ単なる肥満体ですよね。
この人が72kgまで減量をするとBMIは25になります。
もし、懸垂をほとんどできないという段階にいるなら減量は取っ掛かりとして有効な手段になります。
クライミング力を向上させる目的で
- 今現在の筋力をキープしたまま体重を減らす
のもアリです。
体重に対する相対的筋力が高まり体を引き上げやすくなるでしょう。
例えば、身長170cm、体重65kgのクライマーが筋力を落とさずに体重を58kgまで減量したらパフォーマンスが上がりますよね。
すでに懸垂力が備わったうえで競技力向上をするための戦略として減量という手法を採用しているからです。
肥満でも何でもない普通の体型の人が単に懸垂の回数を増やしたいからと体重を減らすのはナンセンスです。
懸垂の回数が少ない理由は、
- 体重に対する相対筋力が不足
しているからです。
本来の目的は現在の体重に対して相対筋力を向上させることですよね?
きっとこの記事を読んでいるあなたは懸垂力に自信がないのではないでしょうか。
目的は
- 今の体重のまま筋力の底上げをすること
です。
1日5分、体重を減らさなくても1年後に15回懸垂ができる方法
懸垂の回数を伸ばすことを目的にするなら、5セットも10セットもやる必要はありません。
もうできなくなるくらいまで追い込む必要もありません。
- 筋肉を太くすることよりも筋力を強くすること
が最優先事項です。
では、なるべく無駄な努力をせずに筋力を強くするためにはどうしたらいいのでしょうか?
- 低セット高頻度
で懸垂をやります。
日々の持ち時間は有限です。
レバレッジを効かせたワークアウト手法を取り入れましょう。
具体的には、ほぼ毎日1〜2セットのボリュームで懸垂をやります。
面倒だったら1セットでも大丈夫ですよ。
週7日間みっちりやる必要はありません。
週4、5日の感じでやってみて下さい。
この方法なら1日5分あればできますよね?
私はこの方法で5回しかできなかった懸垂を17回まで伸ばしました。
毎日、数十分もやる必要なんてないですよ。
懸垂だけの日を作って懸垂ばかりやる、みたいなワークアウトは筋力が十分に備わってからでいいと
さて、そこで必要になるのが懸垂ができる環境です。
可能なら部屋の中の余計な物を断捨離してチンニングスタンドを導入するのが手っ取り早いです。
近くに公園があればそれでもOK。
私は何年も公園で懸垂をやってきました。
懸垂が5回できる筋力があれば、自分の体を引き上げた時に顎が鉄棒より高く出るハズです。
ここから腕を伸ばし切らずに肘の角度が90度くらいになるまで体を下ろします
ちょうど鉄棒のバーが額くらいの位置にくる感じです。
可動域を狭くしたハーフ懸垂ですね。
パーシャル・レンジとも言います。
この方法でやれば5回より多く回数をこなせるハズです。
まさしく我が家の相棒も懸垂を習慣化しており、パーシャルレンジで8回できるようになりました。
元々は自重を引き上げる筋力がなくてゴムバンドで補助してやってたのですが、徐々に筋力がついてきたんですよ。
ワークアウト頻度は平日の週5日で毎日1セットのみです。
これでも筋力が伸びるんです。
こうして、パーシャルレンジで毎日少しずつ回数を増やしていきます。
フルレンジでやらなくてもOKです。
これで15回以上できるようになったら徐々に可動範囲を広くしていきます。
懸垂が15回できるようになるまでのステップです。
STEP1:鉄棒が頭と同じくらい高さになる程度まで体を下ろし15回を目指す
STEP2:肘の角度が45度くらいになる高さまで体を下ろし15回を目指す
STEP3:フルレンジで15回を目指す
懸垂が15回を越えてくると出来ることの幅が広がる
もし、現在5回の懸垂ができるなら、上記で紹介した感じで継続すると減量をしなくても1年後には懸垂が15回できるようになります。
- 懸垂が15回できるようになると20回まで伸ばしやすくなる
- 懸垂20回は体重の150%の筋力に相当する
- 懸垂が20回を超えてくると様々なバリエーション動作を組めるようになる
例えば、15回の懸垂力が更にブーストすると、
- ワイドグリップで顎を鉄棒の上まで出し切った時に体を左右に振る動作
が出来るようになり、より上背部の広背筋により強い刺激を入れることが実現できます。
加えて、引きつける基礎筋力も強くなっていますから
- 胸からみぞおちにかけての部位をバーに引きつけるスターナム懸垂
が出来るようになり、可動域を広くした動作を実現できます。
広背筋に負荷がかかりますから更に背中の筋肉が発達するワークアウトを実践できるようになる感じですね。
このように懸垂力がつくと自重を使ったワークアウトのバリエーションが広がります。
ますます体のパフォーマンスを上げるためのワークアウトへとスパイラルアップを図っていけるようになるんですよ。
そこまでのレベルに到達すると、どんなことが起こるのか?
「懸垂を続けてきたら胸囲が9cm増えていた」で触れた通り、いつの間にか背中で胸囲が増えそれに伴い上腕や前腕の筋肉量も増えてくるんですよ。
先ずは自重で懸垂が連続で15回できる筋力を養ってみて下さいね〜。
あなたは、1年後の自分が成長している姿を想像したことがありますか?
それでは。