「自分の感情や心を観察し意図を引き出す魔法の能力を秘めたレンズ」があったら手にしてみたいと思いませんか?
一つお聞きします。
あなたが登山に持って行くレンズは何ですか?
きっと換算24mm〜100mm程度の焦点距離をカバーした標準ズームレンズを持って行くのではないでしょうか。
あるいは、ダイナミックな風景撮影用の交換レンズとして広角ズームレンズもザックに忍ばせて持ち歩くのではないでしょうか。
そんな現状で、画角の自由度が低く不便な中望遠の単焦点レンズを登山用として持ち歩く人は滅多にいないのではないかと思います。
それでも、換算135mm程度の中望遠単焦点レンズを登山に持って行きたい、と考えている、あるいは、そんな人っているのだろうか?と疑問に持つ人もいるのではないかと思います。
当記事はそんな方へ向けて、山でも換算135mm程度の中望遠単焦点レンズ使って楽しめるんだよ、ということを、お伝えする内容です!
何を隠そうこの私が、登山で使うことを見越して中望遠単焦点レンズ XF90mm F2 R LM WR を導入しましたから。
夏に三俣の山小屋まで歩いた作例の一部をご紹介しますね。
掲載している写真は、すべて開放値 f/2で撮影した写真です。
もくじ
山には切り取りたくなるオブジェが多い。中望遠単焦点レンズで撮影した被写体には命が吹き込まれる
中望遠単焦点レンズの利点は特定の被写体を周囲から切り離すように浮かび上がらせ、被写体そのものの存在を強調することにあります。
そのため、中望遠単焦点レンズでポートレート撮影を連想することが方が多いのではないでしょうか。
しかし、中望遠単焦点レンズは、ポートレートだけでなく風景撮影にも使えるんですよ。
どんな点で活躍するのかというと自然の中に溶け込んでいる被写体をまるで生きているかのように息を吹き込むことです。
こうして被写体を強調することで意識しないストーリーが見えてきます。
例えば、この木道だって誰かが一生懸命、補修や設置したんだな、というストーリーが見えませんか?
この小屋だって、手拭いを頭に巻いた男たちが、資材を組み立て屋根にペンキを塗ってたんだな、という情景が思い浮かびませんか?(もしかしたら女性の可能性もありえますけど)
何と言っても中望遠単焦点レンズで面白いなと感じるのは立体感がある絵です。
普段なら見過ごしてしまうような被写体も意識して見るようになります。
モノを観察する能力が養えますよね。
登山道の目印なんて注意して観察することなんて滅多にありませんよね。
いつもなら、ただのランドマークにしか思ってない目印が中望遠単焦点レンズで撮影することによって命が吹き込まれたかのように引き立ちます。
この目印だって誰かが一つずつマーキングをしていったんでしょうね。
こんなストーリを想像させてくれるだけでも中望遠単焦点レンズを持つ価値がありますよね。
中望遠単焦点レンズは、お花畑の主役にしてくるように切り取ってくれる
中望遠単焦点レンズ XF90mm は、さすがに接写能力はマクロレンズには及びません。
PENTAXのDFA100mm Macroを使っています、がその差は歴然としています。
本気で接写するならマクロレンズ一択ですよね。
だからと言って、XF90mm F2 R LM WR がお花の撮影で使えないかと言うと、そうではありません。
寧ろ、積極的に使うべき理由があります。
XF90mm F2 R LM WR は、マクロレンズのように接写はできませんが、ちょっと離れた場所からお花畑の一部分を切り取るような撮影に向いています。
中望遠単焦点レンズ得意技でお花畑を際立たせるんですよ。
中望遠単焦点レンズはお花そのもがメインじゃないけど、お花が存在する山を撮りたいなという時に使えるんです。
お花と周囲の雰囲気を一緒に切り取りつつも、お花を主役にしたいみたいな。
もちろん中望遠単焦点レンズは山岳ポートレートにも威力を発揮する
便利な標準ズームレンズでも人物撮影ができないわけではありません。
凡庸なf/5.6の望遠端で撮影してもある程度ボケてくれますよね。
それでも中望遠単焦点レンズには勝てない領域があります。
それは人物を引き立たせる立体感です。
何気なく撮った1枚です。
特別なテクニックなんか使ってませんし、画像の加工もしてません。
こんな場面でも。
登山をしている人物が水辺に手を入れて、「あー、気持ちいい!」と叫んている姿が思い浮かびませんか?
中望遠単焦点レンズって意外と程良い距離感で撮影できるんですよ。
山で歩きながら撮影しているので、あっという間に、前方を歩いている人物と自分との距離が離れてしまうことがあります。
大体、15mくらい離れてしまうことってザラにありますよね。
ポートレンズの代表格として XF56mm F1.2 APD がありますが、山で人物を撮影するには、ちょっと焦点距離が短いなと思うんですよ。
そんな時、XF90mm F2 R LM WR(FUJIFILMの場合は換算137mm)はとても撮影しやすい画角だと思うんですよね。
中望遠単焦点レンズとあなたの心の相関関係
登山スタイルによっては、中望遠単焦点レンズは無用の長物になってしまいます。
例えば、遠景をf/8まで絞って切り取るならズームレンズでも十分です。
使用シーンを考えないと無駄に荷物を持って行く羽目になりますよ。
どんなシーンで中望遠単焦点レンズを使いたいのか?を考える必要がありますね。
つまり、自分の心と対話をする必要があります。
XF90mm は自分自身の行動を高次の目から客観的に観察できる人だけが使用を許される(独力で使っている意義を見出すことができる)レンズなのではないかと思います。
中望遠単焦点レンズ XF90mm は自分の感情や心を観察し意図を引き出す魔法の能力を秘めたレンズです。
是非、自分の心の中をよく観察してみてください。
それでもGO!サインが出るなら、ズームレンズだけでなく明るい中望遠レンズを登山に取り入れみてはいかがでしょうか。
きっと物事を見る視点が変わりますよ。
XF90mm F2 R LM WR はまさしく被写体に命を吹き込む魔法のレンズですから(笑)
XF90mmを入手し、今回の撮影をするまでに紆余曲折を経てきました。
そりゃもう悩みましたよ。
で、やっぱり思うのです。
XF90mmを手に入れてよかったなと。
それでは。
撮影で使った機材
もちろん、レンズにはフィルターをつけています。