あなたはトレッキングが好きですか?
それとも登山が好きですか?
私は前者です。
稜線のトレッキングをしたいので登山をやっています。
ですからロングトレイルという言葉を聞くとつい反応していまいます(-_-)。
今回は2週間かけて歩いたエベレスト街道のトレッキングを振り返ってみて、
・現時点における現地までの行き方
・エベレスト街道の様子
・今の私なら必ず持って行くであろう撮影機材
の話を書いていきましょう。
ツアーではなく個人で入域をして歩くスタイルです。
*今回、掲載している写真はすべてコンデジで撮影したものとなります。
画角はフルサイズ換算で38〜114mmです。
もくじ
エベレスト街道・ルクラからカラパタールまでのトレッキング
ネパールのクンブ地方に位置する「サガルマータ国立公園」は、エベレストのベースキャンプまでの道のりをトレッキングできることで有名なコースです。
世界中からここのトレッキングを目的に人が集まってきます。
日本では旅行社がエベレスト街道のツアーを主催していますね。
が、エベレスト街道の途中(ナムチェバザール)で引き返す行程が組まれているものもあり価格もそれなり(約50万円)です。
これではエベレスト街道の真髄に触れることはできません。
エベレスト街道の真髄はナムチェバザール(標高3650m)から先にあります。
ここは個人で現地まで入ってエベレスト街道の真髄を味わい尽くしましょう。
それでは個人で入域する前提で話を進めていきます。
サガルマータ国立公園・エベレスト街道とはどんなところなのか
エベレスト街道は「ルクラ」から続くエベレストの麓へ至る道です。
この街道はエベレスト登頂を目指す登山隊が使う道でもあります。
多くのトレッカーが標高2850mの「ルクラ」から標高5550mの「カラパタール」を目指します。
カラパタールからは中国国境沿いにあるプリモ、目前には堂々とそびえ立つエベレストを臨むことができます。
ルクラからカラパタールまでは往復で80km弱あります。
私が行った時は片道10日かけてゆっくりと標高を上げて行き、帰りは3日かけて下ってきました。
エベレスト街道の周囲は6000〜7000m級の山々に囲まれているので、谷間を歩きながら徐々に標高を上げていくトレッキングになります。
尾根を登って稜線歩きをする日本の登山とは対照的ですね。
街道の途中にはレストラン、ロッジが点在しており、飲み食いや宿泊に困ることはありません。
そんなわけで日本の山でテント泊装備で縦走するよりも身軽な装備で歩くことができます。
エベレスト街道の魅力は景色だけじゃありません。
ここが面白いところで少数民族のシェルパ族の生活を垣間見ることができます。
トレッカーは彼らの生活圏内を歩かせてもらっているのです。
エベレスト街道の要所です。
ルクラ(2800m)
ナムチェバザール(3450m)
タンボチェ(3860m)
ペリチェ(4200m)
トゥクラ(4600m)
ロブチェ(4900m)
カラパタール(5550m)
エベレスト街道のスタート地点。ルクラまでの行き方
エベレスト街道のベストシーズンは10-12月、3-5月です。
3月に計画したとして、その時期に3週間から1ヶ月有効なLCC(格安航空券)を羽田からカトマンズのトリブバン国際空港までの往復で手配したとすると、経由便になりますが燃油サーチャージなどの諸税混みで6〜7万円で済みます。
次にカトマンズのトリブバン国際空港に着いたら、中心地区のタメル地区へ向かいましょう。
さて、どうやって移動するか?ですがここは大人しくタクシーを使いましょう。
トレッキング用の荷物があるのにバスでの移動なんて論外です。
相場は色々な方がブログで紹介されています。
タクシーの乗車以外でも英会話は必要です。
例えば、ルクラまで個人で行くにはカトマンズでルクラまでの空路を確保せねばなりません。
航空券を手配する際には英会話ができないと厳しいです。エベレスト街道に入ってからはロッジが沢山ありますが、やはりそこでも日常の英会話が必須です。
まぁ、中学3年生くらいまでの教科書の内容が理解できて簡単な会話ができればまず問題ないのですが、心配な方はラジオ英会話で基本的な英会話をマスターしていきましょう。
このテキスト、何気にストーリ性があるから飽きないかも。
その他の注意点。
TIMS (Trekkers’ Information Management Systems) card = 入域許可証が必要です。
前は取った覚えがないんだどな…
上記のDISCOVER NEPALのウェブサイト によると、カトマンズでTIMSを取得できる場所はTourist Service Center, Bhrikutimandapのようです。
マップは英語版のガイドブックLonely PlanetのWebサイトにも掲載されています。
営業時間は午前10時から夕方5時で週7日のようですね。
必要なもの
・パスポートのコピー
・パスポートサイズの写真
・2000 ネパール・ルピー
※為替レートは下のバナーにネパール・ルピーの数値を入れるとUSドルで換算します。
他にはサガルマータ国立公園の入園料金がかかります。
これは以前にもありましね。
・外国人の入園料 3390ネパール・ルピー
(PARK ENTRY FEEのページより)
支払える場所は、センターの他、国立公園のエントリーポイントでもあるMonjoでも可能です。
Monjoはルクラからトレッキングを開始してから1日ほど歩いた距離にあるナムチェバザールの少し手前にある関所みたいなものです。
私もここで入園料を支払いました。
さて、順不同となってしまいましたが、カトマンズからルクラまでの国内線についてです。
タメル地区には旅行代理店があります。
ルクラまでの航空券をそこで手配しましょう。
フライト料金の目安ですが、幾つかの航空会社がありますのでホームページを参考にするといいでしょう。
Tara Air の料金表
KATHAMNDU (カトマンズ)→ LUKULA(ルクラ)までの片道USドルで180ドルとなっています。
Summit Air(元 Goma Airで2017年3月にブランド名を変更)
料金表は掲載されてないのですが、試しに2019年の3月で設定したところ同じく片道180ドルでした。
往復で大人一人で360ドルです。
が、価格はその時の時勢によって変動するものと思った方がいいですね。
あくまでも目安です。
さて、あなたは標高2800mのルクラまで飛んできました。
ここからトレッキングが始まるわけですが、ちょっと荷物のお話をしましょう。
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エベレスト街道・ルクラ(標高2800m)〜カラパタール(標高5545m)のトレッキングで必要な装備
必要な物を羅列していきます。
季節は乾季に入る3月後半の時のものです。
・ザック(60L〜)
・ストック
・トレッキングシューズ(必ずしも登山靴である必要はない)
・厚手のダウンジャケット
・レインウェア
・フリース
・アンダーウェア(上下3枚くらい)
・厚手の靴下(3足くらい)
・オーバーミトン
・ニット帽
・サングラス
・ヘッドライト(予備の電池)
・寝袋
・水入れ
・ロウソク(マストです!)
・マッチやライター
・行動食(チョコレートがオススメ!)
・トイレットペーパー
・洗濯バサミ
・撮影機材
以上、羅列しました。
では、ピックアップして補足説明します。
エベレスト街道のコース自体は難しいものではなく、トレッキングシューズで標高5550mのカラパタールまで行けます。
また、アイゼンやピッケルも不要です。
基本的にはストックがあれば十分です。
標高2850mのルクラを始めとし、標高4900mのゴラクシェプまでLodge(日本で言う山小屋です)やレストランがあり宿泊や飲み食いができます。
そのため調理器具や燃料は不要です。
持ち歩く荷物は寝袋、ダウンジャケット、レインウェアなどの防寒具が中心になります。
寝袋を持ち歩く理由はLodgeには毛布しなないからです。
ベッドの上で寝袋に入り、そこへ毛布をかける感じです。
日本で言う夏用の寝袋だと寒いです。
ダウンハガー#3を二枚枚重ねてなんとか耐えられる感じです。
ちなみに分厚い寝袋をタメル地区でもう一つレンタルして行きましたが、自前で準備するのが一番です。
さて、ここでももう一つ重要な物があります。
それは厚手のダウンジャケットです。
夜や早朝は寒いですよ。
タメル地区でレンタルすることも可能ですがやはり自前のものがいいですね。
私は随分、時間が経ってからマウンテンハードウェアのダウンを買いました。
日中の行動時はダウンジャケットを着用しなくても大丈夫です。
標高4500m付近で降雪の中を歩きましたが、その時の服装は、アンダーウェア、ソフトシェル(フリースでもいいかも)、レインウェアの順番の3枚を着用していました。
日本で言う厳冬期の稜線のように風に吹き曝されると言う環境でもないので意外と身軽な装備です。
それから3月後半というのは乾季になりますので、豪雪にはなりません。
この雪も快晴になると融けちゃうのですよ。
工夫さえすれば荷物の総重量を10〜12kg程度に抑えて2週間のトレッキングをすることが可能です。
あとは撮影機材の重量次第で左右されます。
唯一、気にすべき点は標高上昇に伴う高山病への対策です。
ポイントは急に標高を上げないこと、水分を多く摂取することです。
水分はレストランが街道に点在していますので、そこでチャイをポットでオーダーするといいですよ。
余ったら水筒に入れて歩けばいいんです。
こうして高度順応対策ををしっかりと行って標高さえ克服できれば、体力的に夏の北アルプスをテント泊装備で歩くよりずっと楽です。
そのため、撮影機材を持ち込んでをじっくりと撮影しながら歩くにはとても魅力的な場所です。
何が魅了的なのか?
- スローペースでじっくりと標高を上げて行くため、せかせかしなくても写真撮影に専念できる
- シェルパ族が住んでいる地域でもあり、文化という被写体がたくさんある
- 世界の頂点に立つ高峰群に圧倒され、写真に収めたくなる絶景がたくさんある
私が行った時はまだ本格的にカメラを始めてませんでした。
そのためコンデジでしたが、今だったらもっと本気で撮影したいですね!
そこでどんな機材を持って行ったらいいのだろう?と考えてみました。
エベレスト街道トレッキングに持って行きたい撮影用のカメラ機材
エベレスト街道はスケールの大きい標高6000〜7000m級の山々の景色があり、シェルパ族の文化圏でもあります。
トレッキング中に便利ズームで風景を撮影をしつつも、シェルパ族文化の被写体を単焦点で撮影したいシチュエーションも数多く存在します。
そのうえでシステムを組むならこうなります。
- 広角レンズ(換算15〜24mm)
- 中望遠単焦点レンズ(換算135mm)
- 望遠ズームレンズ(換算300mm)
- カメラ2台
- 予備バッテリー
- モバイルバッテリー
カメラは2台で運用します。
ボディの組み合わせは2通りのパターンです。
- パターン1:一眼レフ機 + ミラーレス一眼
- パターン2:ミラーレス一眼 × 2台
ポイントはシステム全体として軽量であること。
降雪時の備え防滴構造または防塵防滴構造の組み合わせで運用できることです。
パターン1:(一眼レフ機 + ミラーレス一眼)で組む場合
パターン1では、広角と中望遠を単焦点で組み、望遠側で画角の調整をできるようにしています。
カメラ1:一眼レフ機を望遠ズームレンズで運用
① PENTAX K-3II or K-3(バッテリー込みで790g)
②HD PENTAX-DA55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE (440g)
③ リチウムイオンバッテリー D-LI90P (予備 90g×2個)
望遠側をDA55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE で組む理由は、軽量であること、ヒマラヤの山肌を切り取る際に画角調整がしやすいこと、描写力に定評があることです。
F値は暗いですがペンタックスのボディには手ぶれ補正機構(SR:Shake Reduction)が備わっていますし、山肌を切り取りたい時間帯は明るい時間帯だからあまり重要じゃないかな、と考えています。
カメラ2:ミラーレス一眼を広角単焦点と中望遠単焦点レンズで運用
④ FUJIFILM ミラーレス一眼 X-T2(バッテリー込みで510g)
⑤ XF16mmF1.4 R WR(380g)
⑥ XF90mmF2 R LM WR(540g)
⑦ FUJIFILM 充電式バッテリー NP-W126S(予備 50g×5個)
X-T2は単焦点で運用することを想定した場合の組み合わせです。
接写して特定の被写体を撮影したい時や、ロッジの中など暗い場所ではXF16mmF1.4 R WRで撮影、ちょっと離れた場所から人物のポートレートや、マニ車など人間味に溢れる被写体にはXF90mmF2 R LM WRで撮影するイメージです。
更にXF16mmもXF90mmのどちらも防塵防滴レンズですので、降雪時には広角側のレンズとしてXF16mm F1.4をつけて歩くことを想定しています。
さて、パターン1で組み合わせた場合、スペック上での撮影可能枚数はK-3IIが予備バッテリーを含めて2100枚、同じくX-T2も2100枚、合計4200枚です。
しかし、標高が高くになるにつれ気温が低くなるとバッテリーの持ちが悪くなります。
撮影可能枚数は6割程度まで落ちることを考慮し、それぞれのカメラで1300枚づつ、合計2600枚程度の撮影と見積もっておきます。
なお、バッテリーの持続能力が60%程度まで低下するというのは、厳冬期の登山で経験的に得た感覚値です。
2週間のトレッキングで毎日300〜500枚づつ撮影したと仮定すれば、2台のカメラで4200〜7000枚の撮影ができる計算になります。
ということを考慮すると、手持ちのバッテリーだけでは不足します。
かと言ってバッテリーを何個も持って行っても嵩張りますし買い足したバッテリーを帰国してからフルに使うとは限りません。
じゃあ充電すればいいじゃん!とはなりません。
エベレスト街道のロッジは電気が通ってないので充電することは不可能です。
だからこうしてヘッドライトのバッテリーを節約するためにロウソクを持ち歩いています。
そこで役立つのがモバイルバッテリーです。
モバイルバッテリーなら日本の山でも使う機会が何かと多いですよね。
スマホの充電にも使えますし。
容量も確保し持ち運びを考慮するならAnker PowerCore 13000がベストな選択肢かなと思います。
重量もケーブルと合わせて260g程度と軽量です。
X-T2ならモバイルバッテリー経由でUSB給電ができます。
私なら常にフル充電したバッテリーを予備で2つキープしておきます。
ロッジに着いてくつろいでいる最中に給電するイメージです。
給電できる時間を考えると1日に充電できるバッテリーは1〜2個くらいかなと想定しています。
以上の条件でカメラとレンズの総重量は3090gです。これに保護フィルター、フード、モバイルバッテリーなどの重量が加わり、機材の総重量は3600g前後になります。
パターン2:(ミラーレス一眼 × 2台)で組む場合
私がこのパターンで組むなら同じボディを2台準備しますね。
理由は同時運用の他、バックアップ機材としても使えるからです。
カメラ&レンズ
① FUJIFILM ミラーレス一眼 X-T2 (バッテリー込みで510g を2台 )
② XF10-24mmF4 R OIS(410g)
③ XF55-200mmF3.5-4.8RLMOIS(580g)
④ XF16mmF1.4 R WR(380g)
⑥ XF90mmF2 R LM WR(540g)
バッテリー
⑦ FUJIFILM 充電式バッテリー NP-W126S(予備 50g×4個)
トレッキング最中は便利なズームXF10-24mm、XF55-200mmをそれぞれのボデイに組み合わせて歩きます。
風景の撮影であればフルサイズ換算で15〜300mmの画角に対応できます。
どちらも光学式手振れ補正(OIS)機能がついているので、歩きながら撮影をしても手ぶれを気にする必要がありません。
この2つのレンズの唯一の弱点は防滴構造でないことですね。
降雪があったら防塵防滴対応レンズのそれぞでのボディにXF16mm F1.4、XF90mm F2に切り替えます。
また、パターン1と同様にXF16mm F1.4とXF90mm F2の組み合わせは特定の被写体を単焦点で撮影したいときに使います。
このパターンで行く場合は、モバイルバッテリーAnker PowerCore 13000を2台準備します。
以上の条件でカメラとレンズの総重量は3130gです。
これに保護フィルター、フード、モバイルバッテリーなどの重量が加わり、機材の総重量は3900g前後になります。
撮影機材は4kg近くになりますが、持って行くべきベースの荷物が日本の山でテント泊縦走をするよりも軽量化できるため、高度順応さえしっかりやりながら歩けば持ち込めない重量ではありません。
以上となります。
気付いた点があったら、逐次、追記していきます。
それでは。
2019年3月:今の私ならこの撮影機材を持って行く
カメラボディは最新式である必要はありません。
FUJIFILMからX-T3が出ていますがX-T2でOK。
私ならX-T2をもう1台買い増すかな。
エベレスト街道では谷間歩きが基本となり、標高6000〜7000mクラスの山々が目前に迫っています。
そこで必要なのが超広角レンズです。
XF16mm F1.4はオールマイティな広角単焦点レンズ。
F値が明るく接写能力も高いです。
魅力あるシェルパ族の文化圏を撮影するにはもってこいのレンズです。
また、防塵防滴仕様なので降雪時の広角レンズとしても使えます。
XF16mm F1.4を岩場などにガンガン置くなら金属製のフードがあると安心です。
一般的に風景は広角レンズでの撮影が多くなりますが、エベレスト街道は望遠系被写体も魅力があります。
それって足だけでは画角が稼げない場所に高峰が連なっているからなんですよね。
例えば標高4900mのゴラクシェプを過ぎるとエベレストのピークが見えます。
こんな時に望遠レンズがあると重宝します。
シェルパ族の文化圏には魅力あるオブジェがたくさんあります。
そんな時は中望遠単焦点レンズが大活躍です。
XF90mm F2は驚愕の解像度を持つレンズですよ。
是非持ち歩きたいですね。
XF16mm F1.4と同じく防塵防滴です。
降雪時の望遠系としても活躍を期待できます。
もちろんモバイルバッテリーも。
ストレージは重要です。
動画を取るならUHS-ⅱ規格の物を持っておきたいところ。
静止画ならこちら。
RAW+JPEGなら64GBのカード1枚で1000枚ほどの写真撮影データが入ります。上記のUHS-ⅱ規格のカードの他、このカードを6,7枚持って行くかな。
三脚、レリーズ類は持ってかないですねぇ。