書店に行くと山岳雑誌の種類の多さに感心します。「山と渓谷」、「岳人」、「ランドネ」、「JOY」、「PEAKS」、「ワンダフォーゲル」などなど盛大に並んでいます。今や20代半ば〜40代の女性たちが山の主役なんじゃないかと思えるくらい明るいイメージになりました。
山の中でも単独行の女性がテントを担いで歩いている姿を見かけるようになりました。価値観が変わりましたね。
もくじ
登山は駐車場の確保から始まっている
登山は、もはや汗くさいオジサン達の趣味ではなくなりました。そんな最近の登山の人気具合の様子が登山口にも窺えます。
場所によっては朝6:00に駐車場に着いたんじゃ車を停められず、1kmや2km離れた場所から歩くハメになります。わざわざ車道なんか歩きたくないですよね。時間をロスするだけだし景色も単調ですし。
みんな同じことを考えます。少しでもラクをしようと。面倒なプロセスは省こうと。だから路駐が発生します。強引に車を路肩に停めます。縦列駐車のオンパレード。よくまぁそんな場所にまで停めるもんだなと。
そうでもしないと、登山口に車を停めれないのが現状です。
こんな状況に巻き込まれたくないから前夜から現地入りする人も数多くいます。私もその一人です。前夜入りすることで、登山口に近い駐車場を確保できますからね。
登山口に前夜入りするイコール必然的に車中泊となります。夜中にもひっきりなしに車が入ってきますので深い眠り落ちることができません。結局はうたた寝で終わってしまいます。
こうして寝不足のまま登山を開始することになります。
テント場でいい場所を確保するには早朝の早立ちが基本
テントの設営場所の確保も悩ましい問題です。テント場に遅く着いた人はテントを張る場所の選択肢が無くなりますからね。残念ながら美味しくない場所にテントを張らざる得ません。
いい場所を確保したい理由は景色です。テント泊の醍醐味は移り変わる景色をゆっくりと堪能することにあります。テント泊だからこそできるんです。
昨今の登山の人気ぶりが山小屋に限らずテント場にも反映されています。2015年のシルバーウィークの北アルプスはどこのテント場もキャパオーバーでした。
ですから、毎朝2:00前に起きて3:00に出発、9:00頃には次のテント場には到着し美味しい場所をできるように行動をしていました。
寝不足で歩くとバテる
さて寝不足で登山をやるとどんなことが起こるのでしょうか。
歩き始めは睡眠不足の影響はあまり感じません。夏場なら涼しい時間に早く標高を稼いでしまおうと考えます。実際に早立ちすることである程度の標高を稼げます。
問題は樹林帯を抜けてからやってきます。灼熱の太陽がジリジリと登山者を照りつけます。たとえ水分補給をしていても食べ物を入れてもどんどんと体力を奪っていきます。
ここで睡眠の差が顕著にあらわれます。普段なら軽快に動けるレベルの登山でも体が重くなってきます。たとえ基礎体力を備えていたとしてもです。
睡眠を確保したAさん。うたた寝のBさん
良質な睡眠を確保したAさんは6時間寝ました。
前日は仕事を定時で切り上げました。
20:00には布団に入り2:00に起床。
睡眠時間は4時間でした。
駐車場入りをしたのは6:00です。
登山口付近の駐車場は満車だったので2km下の広場に車を停めました。
ここから登山口まで徒歩で30分かかります。
実際に登山を開始したのは6:30。
そんなAさんの力は100です。
樹林帯を抜けたのは10:30でした。
一方、仕事を終えそのまま車を運転してきて前夜に現地入りをしたBさん。
車の中で3時間うたた寝しただけでした。
BさんもAさんと同時に6:30に登山口を出発しました。
樹林帯を抜けたのは9:50 でした。
寝不足感なんてありませんでした。
そんなBさんの力は120です。
二人とも単調な樹林帯を抜け景色が開ける登山道を歩きます。
Aさんはペースダウンすることなく14:00にテント場に到着しました。樹林帯に出てからテント場までは3時間30分で着きました。
樹林帯を抜けたBさんは睡眠不足の影響でどんどんペースが落ちていきます。灼熱の太陽と暑さにどんどん体力が奪われていきます。睡眠不足のツケが出てきます。Bさんは普段、対Aさん比で120の力が出せるのに、今は80しか出ません。テント場に着いたのは14:10過ぎでした。樹林帯からは4時間20分かかりました。
Aさんが全行程に対して100%の力を発揮したのに対しBさんは樹林帯を抜けてからのパフォーマンスは約33%低下し、途中で自分よりも力量が低いAさんに追い抜かれました。
上記の例を書いた理由。
私の体験を統計的に見ると、本来の力よりも30%ほど出力が低下してしまうポイントがあるからです。それは登山の後半戦でやってきます。
長い行程の登山では睡眠を確保したほうが楽しめる
登山口から1kmや2kmの距離に車を停めたとしても長い登山行程の中では大して影響は受けません。車道を歩くだけですからせいぜいロスをする時間は30分です。
睡眠を確保して100%の力を発揮しながら登山をしたほうが景色を見るゆとりもあります。
せっかくカメラを持ち歩いているのに疲労困憊で、きれいな景色を撮れないなんてことが起こらないように睡眠だけはきちんと確保してから登山に臨みたいものです。
それでは。
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