今ほど体が出来ていなかった20代の頃、都内のゴールドジムへ行っていた時期がありました。
ゴールドジムと言ったら、一般人とは一線を画した筋肉の持ち主ばかりいる一流のジムというイメージを持っていましたが本当にその通りでした。
もうボディビルダーの猛者たちが集まる場所なんじゃないか、というくらい筋骨隆々の人たちがいました。
そんな場所ですから色々なトレーニングマシンやらダンベルがあります。
何もかもが目新しいものですから色々と試したくなります。
ある時、引くマシン(ローイング系の)をガチャガチャ触っていると、プロレスラーみたいな体つき(今思えば単に増量中のビルダーだった)をした年配の男性が「ベントオーバーローイングを3年間やりなさい」とアドバイスをくれました。
当時の私は
「え?何で?別にそんなのやらなくてもいいじゃん。このオッサンうざい。」
なんて思ってました。
もくじ
ワークアウトで筋肉を鍛える目的には2種類ある
筋肉を鍛えるという意味合いには2種類あると思います。
①筋肉を肥大(太く)させて筋骨隆々の体つきを目指す人
②競技上のパフォーマンスアップのために筋力アップ(結果的に副次的に筋肉は太くなる)を狙う人
私は後者です。
①の場合はとにかく体重を増やしてワークアウトをやる。
結果的に脂肪の増加と共に筋肉も大きくなっていく。
ある程度まで増量をしたら、なるべく筋肉を落とさずに脂肪だけを落とすための減量をする。
結果的に大きく発達した筋肉が浮き出てくる。
いわゆる一般人の目線ではムキムキの体です。
ゴールドジムで私に「ベントオーバーローイングを3年間やりなさい」とアドバイスをくれたオジさんは①のタイプでした。
いわゆるボディビルダーを意識した体を作っている人です。
このオジサンは、ベントオーバーローイングをやると広背筋を大きく発達させることができると同時に、脊柱起立筋も鍛えることができるという意味でローイングをオススメしてきたという背景があったのだろうと今更ながら思います。
しかし、当時の私はそんな背景事情など分かりませんでした。
②の場合は、スポーツ競技で多様される動作の中でワークアウトをやっていきます。
体重はあまり大きく増減させず(せいぜい±10%の範囲内)なるべく骨格に見合った体重の範囲内で筋力を高めたり、特定の筋出力での持続性を高めることに重点をおきます。
結果的に骨格と体重に見合った範囲内で筋肉は太くなります。
実用的な体を作るなら懸垂である理由
上から下へ引く動作。
いわゆるプル系の運動ですね。
引く系の動作で、世の中のあらゆる競技や訓練の中に懸垂ほど多用されている動作はないでしょう。
ところで、前から後ろに引く動作もありますよね。
ローイング系の動作です。
その代表例がボートやカヌーの競技です。
しかし、実用面で多くなされる動作は上から下へ引く垂直系の動作です。
つまり懸垂です。
シルク・ド・ソレイユに出てくるパフォーマー達の動きには彼らは上から下へ垂直方向の動作をします。
なぜ、自衛隊や消防署の訓練の中に懸垂があるのでしょうか。
実用的だからです。
アメリカのネイビーの訓練の中にベントオーバーローイングをやっているシーンはありますか?
自発的にウェイトトレーニングをやることを除けばロープを使った壁登りだったり懸垂がカリキュラムに組み込まれていますよね。
ロッククライマーは懸垂動作をします。
クライミングをやり込んでいる彼らの背中は、エラのように発達をしています。
登山をする時、鎖場を通過します。
下から上に登って行く時、上から下へ引く筋力が動作を助けてくれます。
このように懸垂動作に付随した動きを使うシチュエーションが少なくありません。
ワイドグリップの懸垂はローイング動作よりも筋肉痛になりやすい。筋肉の形を整えるという意味で役立つ
さて、ようやく本題です。
懸垂動作が実用的だというのは分かった。
でも、ワイドグリップの懸垂は実用面で役立つか?
実のところあまり役立たないと思っています。
先ほど挙げた実用動作の事例では、せいぜい肩幅程度でやる懸垂動作が多いです。
登山などの鎖場では脇を締めて引く動作が多いので、ワイドグリップだとちょっとかけ離れているかなって思います。
あ、クライマーはワイドグリップで体を引き上げるシーンがありますけどね。
じゃ、もっと広い範囲で考えた場合、どんな場面で役立つんだ?
ワイドグリップの懸垂が一番役立つのは、広背筋の外側を筋肉痛にする時だけかなって感じますね。
つまり広背筋の幅を広げるという目的を達するという点において役立ちます。
ちなみに、ワイドグリップの懸垂(肩幅の1.5倍程度の手幅)で懸垂をできる人は多くないです。
自重でワイドグリップの懸垂を20回もできれば、体重に対して広背筋が強いと言えるでしょう。
私の例ですと、通常の手幅の懸垂は35回前後(体重67kgの時)です。
ワイドグリップだと、調子がよく、フレッシュな状態の時でも24、5回まで回数が落ちます。
2セット目になると更にその半分(10〜12回)まで回数が落ちます。
実用面で使える体を作るには手幅を締めたナローハンドでの懸垂もやるべきです。
特にパラレルハンドでやる懸垂は実用面で多いに役立ちます。
懸垂のワークアウトは自宅にチンスタがあると捗りますよ。
それでは。