星空を撮影するとき、星が流れるように撮影をするスタートレイルと星と点像として撮影する方法があります。
スタートレイルはインターバル撮影をした画像を重ね合わせて作ることができます。
バルブ撮影の長時間露光でもスタートレイルの撮影を実現することができます。この場合、明るいレンズは不要です。
理由はf/4やf/5.6まで絞っても露光時間を長くすることで露出を確保できるからです。
星を点像として撮影したい場合、ペンタックスのアストロレーサー(O-GPS1)などで星を追尾する方法もありますが景色が流れてしまいます。
では、景色を流さずに星を点像として撮影するためにはどの焦点距離でどの程度の明るさで何秒のシャッター速度にすればいいのでしょうか?
もくじ
フルサイズ換算で15mm、f/2.8、ISO3200、シャッタースピード30秒が景色を流さずに星を点像として撮影できる限界値
見出し通りですが新月の場合でフルサイズで15mm(APS-Cなら10mm)、F2.8、ISO3200、シャッター速度30秒が星を点像として撮影できる適正露出の基準になります。
その理由は、私のこれまでの実体験に加え、プロの体験談によるもの(CP+ 2018 横浜での講演)で500ルールに適用するとほぼその通りだからです。
(※500のルールについては後述)
CP+2018横浜で聴いた講演者のお話を要約すると、
- 撮影地は北アルプスの涸沢カール
- 使用レンズの画角は24mm(フルサイズ)
- 絞りはf/2.8
- ISOは3200
- シャッター速度は25秒
です。
しかし、この設定だと少し星が流れてしまうので、ISOを6400まであげて13秒のシャッター速度で撮影したそうです。
レンズは24mmです。
500ルールを当てはめると20秒が星が流れない最大の露光時間(シャッター速度)になります。
もし、15mmのレンズを使っていたら最大で30秒まで露光時間まで伸ばしISO3200で適正な露出を得られます。
星が流れない露出時間の限界値を算出する「500ルール」
500ルールを使うと今手元にあるレンズが何秒のシャッター速度まで星が流れずに撮影できるのか?ということが把握できるようになります。
500ルールの計算
適正露出を得るための最大露光時間 = 500 / レンズの焦点距離(フルサイズ相当)
まとめると、こうなります。
露光時間 | フルサイズ | APS-C | マイクロフォーサーズ |
---|---|---|---|
33秒 | 15mm | 10mm | 7mm |
28秒 | 18mm | 12mm | 9mm |
24秒 | 20mm | 14mm | 10mm |
20秒 | 24mm | 16mm | 12mm |
17秒 | 28mm | 18mm | 14mm |
広角になればなるほど露光時間を長くしても星を点像として撮影しやすくなりますね。
APS-C機なら16mmでf/2まで設定できるレンズが適正
先ほどシャッター速度が30秒の場合、ISO3200が適正と書きました。
ISO6400や8000まで上げて露光時間を短くして星を流さないという方法もありますが、APS-C機やマイクロフォーサーズを使っている人にとってはノイズの問題が出てきます。
(一応、Lightroomでノイズ除去もできます。)
やはり30秒の露光時間でISO3200が限度でしょう。
(FUJIFILMのX–Trans CMOSⅢ搭載機やペンタックスのアクセラレーター搭載機をお使いの人はISO6400でも粘れるかも)
新月の条件でF2.8で30秒の露光時間まで点像撮影として耐えられるレンズの選択肢は限られています。
適正基準値です。
・フルサイズで15mm(APS-Cなら10mm)
・f/2.8
・ISO3200
・シャッター速度30秒
10mmのレンズの場合、星が流れない最大露光時間は33秒です。
12mmのレンズの場合、星が流れない最大露光時間は28秒です。
F2.8以下のレンズとしてはサムヤンの12mm F2がSONY、Canon、FUJIFILMのミラーレスAPS-C用としてあります。
f/2で撮影をすれば、ISO3200の時、適正シャッター速度を15秒まで短縮する事ができます。
開放f/2でもシャープに写るという評判からもAPS-C機の星撮りレンズとしては一番最適なレンズだと言えます。
SAMYANG 単焦点広角レンズ 12mm F2.0 ブラック ソニー αE用
SAMYANG 単焦点広角レンズ 12mm F2.0 ブラック キヤノン EOS M用
14mmのレンズならペンタックス、FUJIFILMでそれぞれ純正品のF2.8のレンズを出しています。
また、サムヤン14mmのレンズもあります。
星が流れない最大露光時間が24秒ですので、ISO3200の限界ですね。
SAMYANG 単焦点広角レンズ 14mm F2.8 ペンタックス K用
FUJIFILM 単焦点超広角レンズ XF14mmF2.8 R
16mmのレンズならFUJIFILMのXF16mm F1.4があります。
明るいレンズではありますが実用絞り値はF2.8、或いはF2.0になります。
詳しくは下記の記事をご参考ください。
XF16mm F1.4を仮にf/2で運用した場合、やはり露光時間を15秒まで短縮することができます。
16mmで星が流れない最大露光時間は20秒ですので新月の場合はどの道、f/2より明るい絞りで運用しなかればなりません。
なお、新月でなければある程度の露出を確保できるのでXF16mmを使う場合、F2.8でも運用できます。
ということで、APS-C機なら16mmでf/2まで設定できるレンズが適正かなって思います。
実際にサムヤン 12mm F2で天の川を検証したので「やっぱりサムヤン12mm f/2は星景撮影でハイクオリティな絵を叩き出す」も併せてご参考ください。
参考
それでは。