この夏にインド北部のLadakh地域にあるへミス国立公園で標高5000m近くのトレッキングを堪能してきました。
トレッキング自体は3日間だけだったのですが濃い時間を過ごせたと思います。
今回の記事は、実際に私が歩いた「ストク・トレック」と「マルカバレー・トレック」の一部をベースに8月のラダックにおけるトレッキング事情や一般情報についての内容になります。
歩いた区間は、ジンチェン 〜 ユルツェ村 〜 ガンダ・ラ峠 〜 ルンバク村 〜 ストク・ラ峠 〜 ストク村です。
(詳しいトレッキングの様子は別記事で書きます。)
夏のラダックでトレッキングを考えている方は是非、ご参考ください。
もくじ
ラダックのトレッキングはどんな感じ?
ラダックには代表的なトレッキングコースがいくつかあります。
詳細はこちらの本が詳しいです。
実際に歩いた私の感想です。
一文で表現をすると「荒涼な谷間地形から徐々に標高を上げて峠に至る荒涼とした美しい風景」です。
樹林帯から山腹を歩き、やがて尾根に乗り、最後は稜線を縦走する日本の山とは対照的です。
ラダックのトレッキングでは標高3500m前後の谷間地形からスタートをして、徐々に標高を上げて行き標高5000m前後の峠を越えるという歩き方になります。
スタート標高が高いので森林限界を抜けており、樹林帯を歩くなんてことはありません。
荒涼とした岩肌と青い空を眺めながら歩きます。
緩やかなトレイルが多く急峻な地形を歩く場面は限られています。
鎖場やハシゴなんてありません。
技術的には日本の山(穂高連峰など)よりも遥かに難易度が低いです。
強引に例えると霧ケ峰や、月山の8合目ルートや、秋田駒ケ岳のムーミン谷レベル並みと言った感じです。
荒涼とした風景の中にも川があり、緑があり、お花が咲きます。
とても標高5000m近くある世界とは思えません。
川がありますから一部のコースでは渡渉をすることもあります。
全体的に登山をするというよりは、風景を眺めながらゆったりと歩くスタイルになります。
トレッキングはどうやってやるのか?
これまで経験した高地トレッキングや登山の大半はガイドなしで歩いてきました。
自分たちで調べて自力で入山し、自力で荷物を運び、自力で行程のすべてを遂行してきました。
自力で出来たのは手持ち時間があったこと、衣食住や交通機関を自力で解決できる環境にあったからです。
今回は事情が違います。
エージェントを通してガイドを手配したトレッキングになります。
私が歩いたストク ・トレックやマルカバレー・トレック(一部)は、技術的に決して難しくなく、ガイドが必要な場所というわけではありません。
寧ろいなくても余裕で歩けちゃいます。
それでもガイドをつける理由
ラダック地域では公共交通機関が限定的になります。
確実にトレッキング口に行けるという確証はありません。
タクシーをつかまえて、というのもなかなか難しいですよね。
持ち時間が限られている旅行だからこそガイドが必要になります。
エージェントを通してトレッキングを手配すれば、始めから終わりまで面倒を見てくれます。
宿泊地からトレッキング口までの車によるピックアップ、トレッキング中のすべての食事、宿泊(テントだったり現地の村だったり)まですべて完結できます。
トレッキング中のガイドはレーにある代理店(ツアーやトレッキングを扱っている)を通じて手配をします。
今回は日本からコンタクトを取って手配をしましたが、レーにある代理店に直で行っても手配できるのでは?と感じました。
レーの中心地には代理店が幾つもあります。
一つ肝に命じておくべきことがあります。
エージェントはあくまでもトレッキングの手配をするプロであって、山を歩くプロではないし、歩くスキルも日本で山をやり込んでいる人間ほどあるわけではない、ということを覚えておくことです。
トレッキングガイドについて
トレッキングガイドは英語を話します。
例えば、エベレスト街道だと日本語ができるガイドがゴロゴロといますが、ラダックでは期待できないでしょう。
せめて英語の日常会話くらいできるようになっておきましょう。
文法的には中学3年生くらいまでの教科書の内容レベルをスムーズに会話ができればまず問題ありません。
心配な方はラジオ英会話で基本的な英会話をマスターしていきましょう。
何気にストーリ性があるので飽きないと思いますよ。
エージェントを通じてトレッキングを申し込むと、トレッキングガイドが派遣されてくる仕組みなのかな?と感じる節がありました。
ガイドさんは「今回は初めてのエージェントだ」と言っていました。
そしてエージェントから今回の私たちのことについて何も聞かされてなかったんです。
どこの国の人間なのか、年齢はどのくらいなのか、どんな装備で臨んでるのか、高地の経験はどのくらいあるのか、トレッキングの最終日はどこでどんな風に終わるのか?などなど。
ちょっと酷いよなー、って思いました。
悪く言えばガイドに丸投げです。
なんだか日雇いのアルバイトっぽい扱いをしてますよね。
エージェントから電話が来て「今日はどこそこの現場行ってくれ。後は頼むぞ」みたいな。
一応きちんと手配はして頂きましたので、今回の記事ではエージェントの名誉の為にも名は伏せておきます。
トレッキングガイドの質について
ガイドに何を求めるのかによって基準は変わる、ガイド個人の裁量にもよるところが大きいという側面もあることを前提に書きます。
自分たちのガイドだけでなく、他にも歩いている人たちがいて彼らにもガイドがついてますので総合的に観察した観点で。
諸々の面倒をみてくれるという意味ではよくやってくれたかなと思います。
要所ごとの休憩所でお茶を入れてクッキーを出してくる、ランチや夕食の準備をしてくるなど至れり尽くせりでした。
この辺りのスキルは非常に高いなと思いました。
ただ、ガイドとしてのリスクヘッジが甘いかなと感じる場面もありました。
それは防寒対策です。
ストク・トレック界隈は、日本で言う夏山装備で臨める時期でもあるのですが、今回のトレッキングではストク ・ラ峠(標高4800m)で見事に雨→雪にやられたんですよ。
夏のラダックは雨が降ったとしても小雨で終わることが前提で、まさか雪になるなんてことは想定してないのかもしれませんが、ガイドはレインウェアを持ってなかったですからね。
実際に私自身もレインウェアを着用してましたが、自分の身が濡れ始めており、このままではマズイのではなかろうか?と感じたくらいですし。
山の場数を踏んでなかったり、スキルが低い人がうっかりとトレッキングに参加をすると思わぬ巻き添えを食らっちゃう可能性はゼロではありません。
やはり自分の身は自分で守るしかないなぁ、と感じましたね。
(総じて楽しかったんですど、危険を感じたのも事実)
トレッキングの費用はどのくらい?
今回の2泊3日のトレッキングで支払った金額は2人分で合計28000ルピー(2019年現在)です。
ソロ参加だと一人当たりの価格も高くなります。
インドの物価を考えたらとんでもなく高額に思えてしまいますが、こんなもんでしょう。
支払った費用に含まれるものです。
・レーの滞在ホテルからトレッキングのスタート地点までのピックアップ(チャータータクシー)
・トレッキングコースにおける要所ごとのブレイクティー
・1日目のランチ、夕食、宿泊(村 or ベースキャンプ)
・2日目の朝食、ランチ、夕食、宿泊(村)
・3日目の朝食、ランチ
水は沢沿いから汲めますが、頼めばベースキャンプや村で煮沸したお湯をくれます。
その際、熱に強いナルゲンボトルがあると大変重宝しますよ。
トイレットペーパーや行動食は費用に含まれませんので、自前で事前準備が必要です。
タクシーでピックアップしてもらったら、レーの中心地で雑貨屋さんに寄ってもらって入手するといいです。(私はそうしました)
ちなみに私が歩いたルンバク村の下にある簡易ベースキャンプや、ガンダラ峠の途中にあるベースキャンプでは、ペーパーやクッキー、水を販売していました。
10ルピー札や20ルピー札を多めに持ち歩いた方がいいでしょう。
女性の方へ。生理用品は最大日数分+予備を持ち歩こう
標高を上げるという行為は気圧が低い場所に身を置くことこです。
女性の生理には定期性がありますが、普段よりも気圧が低くなることで生理の周期が狂ってしまうことがあります。(てか妻がそうなった)
予定日がまだだとしても、生理用品は「最大日数分+予備」を見越して準備していくべきです。
生理用品を準備して行ったのですが、予定よりも1週間ほど早く来てしまい手持ち分では不足してしまうという事態に陥りました。
冗談抜きで窮地に陥りそうになったのですが、ルンバク村のステイ先の女性に何とか頼み込んで必要な個数を確保してもらいました。
(ありがたや…。)
女性の皆さん、使わない可能性が高いとしても、必ず行動しうる最大日数分+予備の生理用品をザックに入れておきましょう。
高度順応はどうやった?
日本から飛んでいきなり標高4000m以上の世界に入り込むのは高山病のリスクが伴います。
この旅が始まる前に富士山登山をし標高4000mに近い世界で体慣らしをしました。
それでもレーに着いた直後からトレッキングをやる、なんてことは避けました。
標高3500mのレーですら富士山より酸素が薄く感じます。
その理由としては、植物が少ないことが挙げられます。
荒涼とした土地ですから緑が日本よりも少ないんですよね。
レーの酸素濃度はこれまでの経験による感覚値で言うと、赤道付近やその近くにある山岳地帯(ケニア山やアンデス山脈)の標高4700〜4800m、エベレスト街道ならペリチェ(標高4200m)と言ったところです。
そんな場所ですから最初の4日間を観光に費やし体を慣らしてから5日目からトレッキングに入りました。
高山病に対する予防薬としてダイアモックスがありますが、私(妻も)は使いませんでしたねぇ。
これまでに一度も手を出したことがありません。
薬って無理やり人間の体を騙している側面もありますから、なるべくナチュラルな方法をとることにしています。
高地に関する知識を得たいなら一度、この本を手にしてみるといいかもしれません。
8月のラダック山域は雨と雪のリスクも考慮に入れよう
ラダックと言えば青空で快晴のイメージがありますよね。
大体はその通りなのですが。
インド気象局( India Meteorological Department)の8月における30年間のレーの気象データ(1951〜1980年)を見てみましょう。
・平均最高気温が25℃
India Meteorological Department:Climatological Table
・平均最低気温が10℃
・湿度が34〜40%
・月間降水量が15mm(過去には最大51mm/Day)
・月間降雨日数が1.9日
更に細分化されたデータはWeather Sparkで確認できます。
単純にこのデータを見れば、レーよりも標高が高い山域でも最低気温は、5℃くらいで雨にもまずやられる可能性が低いと考えてしまいますよね。
最低気温に関して言えば、実際に標高4300mの最低気温が10℃でしたからね。
しかし、あくまでもデータはデータです。
実際にはブレるリスクも考慮しなければなりません。
青い空が広がっていても…。
山には雲が掛かっていたりします。
トレッキングの最終日は朝から夕方まで雨と雪にやられました。
高地で雨が降ると標高の高い場所ではやがてみぞれになり最終的には雪になります。
北アルプスで言う秋の早朝における稜線歩きを想定した装備を考えた方がいいかもしれませんね。
衣類はどんな装備で行った?
ざっくり言うと日本の夏山で歩く格好です。
日中は短パンと半袖で歩きました。
朝夕はロングパンツにフリース類を羽織りました。
雨(雪も)が降った際はレインウェアを着用しました。
基本、これで大丈夫なのですが雪が降った時はちょっと焦りましたね。
靴は登山靴ではなくローカットのアプローチシューズを履いて行動していました。
トレッキング中に提供される食事はプラントベース食である
ランチはガイドが持たせてくれます。
メニューはパンやチャパティ、ゆで卵、バナナ、じゃがいも、フルーツジュースでした。
肉はありません。
卵を除けばすべてプラントベース食です。
ラダックでは菜食中心の食事が一般的なんですよ。
こちらはガンダラ峠のベースキャンプで食べた夕食。
ダール(レンズ豆を煮込んだもの)です。
ですから、肉がないからと言ってタンパク質が不足するなんてことはありませんね。
トレッキング道中のトイレ施設はほぼない
トイレ事情は日本の山と同じです。
村やベースキャンプにしかありません。
大体はその辺りで用を足すしかありません。
森林限界を抜けているため展望が利きますが、日本の山のように激混みではないので、まず人に見られることはなかろうかと思います。
トイレのシステムについても触れておきましょう。
昔ながらのボットン式で、こういう場所にしゃがみこんで用を足します。
お尻は紙で拭きます。
ボットン便所の下は丸見えなのですが、標高が高く乾燥しているせいか、虫が大量に湧くとか、においがキツいなんてことはありませんでした。
撮影機材について
ラダックでのトレッキングの特徴は、谷間地形から徐々に標高を上げて峠に至ることです。
谷間歩きとは言っても自分が歩いている標高が4000〜5000m近いわけですから、上を見上げるという感じにはなりません。(最高でもストクカングリの6100m強)
ですから、換算で24m〜70mmくらいのレンズがあれば撮影の95%は対応できます。
詳しくは別記事で解説しますが、ざっくりと持って行った機材のご紹介をしましょう。
カメラは私がX-T2、妻がLUMIX GX8を持って行きました。
私の撮影機材
・FUJIFILM X-T2
・F10-24mmF4 R OIS
・XF16mmF1.4 R WR
・XF50mmF2 R WR
妻の撮影機材
・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
・LUMIX G 20mm/F1.7 ASPH.
アクセサリー類
・ソーラーチャージャー
・モバイルバッテリー
・予備バッテリー
・NDフィルター
・三脚
・清掃セット
以上となります。
気付いた点があったら逐次、追記しますね。
それでは。
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