今すぐにには必要ないけど「日常的なシーンでの撮影だったら是非とも使いたいな」と思うレンズがありました。
それは換算50mmの単焦点レンズです。
手にしたレンズはマニュアルフォーカス単焦点レンズ「Voigtlander(フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2」です。
XF35mmF1.4やTouit32mmF1.8など魅力的なレンズもあり迷っていたのですが、NOKTON35mmF1.2も気になってはいたんですよね。
NOKTONに関しては品薄でお取り寄せ状態(2022年4月時点)となっており、近々のGWに使いたいなと思っている身からすれば入手できないのではないかと思ってました。
そんな中、マップカメラの中古良品が1件だけ出ていたので「チャンスだ」と勢いづいてポチりました。このレンズ、品薄の為、出ても即SOLD OUTしちゃいますね。
NOKTON35mmは巡ってきたタイミングで入手できたのでご縁に恵まれたということにしておきましょう(笑)。
もくじ
求めていたレンズ
日常生活圏内でノスタルジックな表現ができるレンズを求めていました。
このブログを書いている2022年4月現在、手元にある単焦点レンズは、サムヤン12mmF2、XF16mmF1.4、XF23mmF1.4、XF50mmF2、XF90mmF2の5本です。
中でもXF23mmF2とXF50mmF2は、日常生活でよく使っていますね。
どちらも手頃なサイズで取り回しが良くAFも速くサクサクと写真が撮れるレンズです。
XF23mmF2にようにサクサク撮れるレンズもいいけど、もう少しじっくり構えて特定の被写体に寄り添って周囲の様子を入れた時に主体が浮かび上がってくるような絵が出てくるようなレンズがあればいいなと考えていたました。
XF50mmF2だと背景もボケて主体が浮かび上がってくれますが、換算76mmということもあり、日常生活の”雰囲気”と言うよりは日常生活の中で目についた特定の被写体そのものを程よい距離感で撮影するためのレンズという立ち位置なんですよね。
ふと思い返してみると、過去に手元にあったレンズで日常生活の”雰囲気”を取るのに相応しかったなと感じていたレンズがありました。
それは換算で40mm相当のレンズでした。
例えば、smc M28mmはオールドレンズですが、絞っても解像度が低く収差も目立ち、ゆるゆるな絵を出すことが多かったように思いますが、たまに「はっ」とする絵を出してくれるレンズでもありました。
現在はペンタックス機もマイクロフォーサーズ機も手放し、FUJIFILM Xシリーズ機へ1本化したこともあり標準域に相当する画角をカバーする単焦点レンズが手元にはありません。
私自身、日常生活圏内で周囲の様子を入れつつも主体をノスタルジックに写し出す画角として換算で40〜50mmのレンズがあればいいなと感じていました。
この標準域をカバーするFUJIFILMの単焦点レンズは、XF35mm F1.4 R、XF35mmF2 R WR、XC35mmF2、XF33mm F1.4 R LM WRの4本です。
中でも日常生活圏内で味がある表現ができる標準レンズと言えば、多くの方が口を揃えて神レンズと言われているXF35mmF1.4でしょう。
私もXF35mmF1.4が頭の中をかすめることが度々ありましたが、直ぐに必要というわけでもなかったので購入には至っておりませんでした。
しかし、いざレンズの導入を検討し始めるとサードパーティ品にも魅力的なレンズがあることに気付きます。
ツァイス、フォクトレンダー、XFレンズ、どれにする?
FUJIFILMのロングセラーレンズ「XF35mmF1.4 R」。
次世代レンズの高解像レンズ「XF33mmF1.4 R LM WR」。
コントラストが高く色乗りが良いという評判の「Zeiss Touit 32mm F1.8」。
大口径でコンパクトな標準レンズ「NOKTON 35mm F1.2 」。
スペックという観点だけで比較するとしたら、AFの有無、最短撮影距離、絞り値、サイズでしょうか。
XF35mmF1.4 | XF33mmF1.4 | Touit 32mm F1.8 | NOKTON 35mm F1.2 | |
重量 | 187g | 360g | 210g | 196g |
サイズ | ø65mm × 50mm | Ø67mm x 73.5mm | ø65mm × 58mm | φ60mm × 40mm |
フィルターサイズ | ø52mm | Ø58mm | ø52mm | φ46mm |
絞りリング | ○ | ○ | ○ | ○ |
フォーカス方式 | AF 全群繰り出し | AF | AF | MF 全群繰り出し |
被写界深度目盛 | – | – | – | ○ |
レンズ構成 | 6群8枚 非球面レンズ1枚 | 10群15枚 非球面レンズ2枚 EDレンズ3枚 | 5群8枚 | 6群8枚 EDレンズ1枚 |
絞り羽根枚数 | 7枚 | 9枚 | 9枚 | 12 枚 |
最短撮影距離 | 28cm | 30cm | 30cm | 30cm |
最大撮影倍率 | 0.17倍 | 0.15倍 | 0.11倍 | 約0.15倍 |
ボケ量 | 25 | 23.6 | 17.8 | 29.2 |
しかし、レンズとは一概にスペック表だけでは語れませんね。
実際に使っている人の感想をまとめると、メリットとデメリットが浮かび上がってきました。
メリット | デメリット | |
XF35mmF1.4 R | ・評価が高い ・買っておけば外すことはない | ・AFのモーター音がうるさい |
XF33mmF1.4 R LM WR | ・絞り開放から高い解像力 ・収差を無くしたクリアな絵 ・AFが速い ・防塵防滴仕様 | ・50mm相当の単焦点レンズとしては重い ・価格が高め |
Zeiss Touit 32mm F1.8 | ・色乗りがいい | ・作りが甘い(ラバーがベタつくなど) |
NOKTON 35mm F1.2 | ・絞りによる変化を楽しめる ・見た目がカッコいい | ・速写はMFのため無理 |
以下、個人的に感じていることです。
XF35mmF1.4は、球数も多くレビューを見ても好意的な意見が多いですね。
このレンズを手にしても外すことはないでしょうね。
設計は古いですが純正レンズですし今後のボディでも使えるようにファームウェアを提供してくれるだろうという点で心配は無用かなと思います。
一方で気になった点がありました。
それはAFの「ギューイン」という駆動音です。
XF23mmF2やXF90mmF2のように「スッ、スッ」と合焦する感覚に慣れていると「うーん」と思ったり。
XF33mmF1.4 R LM WRは、絞り開放から解像力も高く、防塵防滴仕様と向かうところ敵なしのレンズという印象です。
でも個人的には絞り開放がf/1.4〜f/2で撮影できない点を除けば、XF16-55mの30mm付近で撮影しても解像力を感じるという意味では、パッと見で同じ結果になるかなという気がします(XF16-55mmは単焦点に匹敵する解像力があります)。
XF33mmはノスタルジックな写真を撮るというよりはバリバリの解像力を絞り開放から発揮できクリアな写りをする標準レンズという立ち位置になるのかなと思います。
スペック的にはダントツ選手ですね。
しかし、今回の私の目的とは異なるので選択の対象外です。
Zeiss Touit 32mm F1.8はコントラストや色乗りが良いという点で魅力的ではあったものの気になるのは設計の古さです。
2013年発売ということもあり今後のカメラ展開によってはファームウェアなどで対応していかないとAF搭載レンズでありがらも使えるボディが限定的になるかもしれません。
純正じゃないだけあってⅡ型などのリニューアル版が出ないとちょっと手を出しにくいかなと。
もう一点気になったのがTouit 32mmの絞りリングとピントリングはラバー製でホコリが付着し易い、ベタつくという意見が散見されることです。
個人的には外の環境に晒されやすいラバーの経年劣化が気になりますね。
以上、それらしい理由をつけましたが、最終的にはNOKTON 35mm F1.2にした理由は、
- AFの音に悩まなくていい(マニュアルフォーカスレンズなので)
- 絞りによる描写の変化が楽しめる
- ノスタルジックな雰囲気の写真が撮れる
- デザインがかっこいい
- 工業製品としての精度の高さが窺える
- 物理的にコンパクトな形状
という点です。
マニュアルフォーカスレンズですが電子接点が実装されているのがいいですよね。
ファインダーにもきちんと絞り値と被写界深度の情報が表示されるので撮影がしやすいです。
また、EXIF情報もきちんと反映されましたよ!
(X-T2もX-T3も電気通信対応機種です)
NOKTON 35mm F1.2で撮影した作例
適当にスナップ撮影した写真をご紹介します。
普段は食卓の写真をXF50mmF2で撮っていますが、NOKTON35mmだと画角が広く感じました。
最大撮影倍率はXF50mmF2と同じ0.15倍ですが、最短撮影距離も30cmと近付けますね。
絞り開放f/1.2だとピント面が薄いのですが、f/2.8まで絞るとキリッと写ります。
こういうのをノスタルジックな写真と言うんですね。
竿にピントを合わせ、絞り開放f/1.2で撮影しました。
同じく絞り開放f/1.2で撮影しても、ピント面が浅く背景がボケ過ぎている写真だとノスタルジックというよりは、ピントを外した写真に見えることもありますね。
背景と被写体選びが大事ですね。
フィルムシミュレーションをVeviaに設定しf/8で撮影。
絞ることで全体がシャープに写るので風景撮影もできます。
これはノスタルジックな雰囲気だなと思います。
絞り開放f/1.2を使う時は強調したい主役(ストーブ)と、脇役(廊下の様子)を意識しないとあかんですね。
放飼いされているニワトリが走り回っていたので、すかさず撮影しました。
マニュアルフォーカスなのでピント合わせが難しいですねぇ。
Voigtlander(フォクトレンダー) のキャップ。
物撮りもイケます(でも個人的には適度な距離感が取れるXF50mmF2のほうが撮りやすいかな)。
出先のテーブルフォトもいい感じで撮れますね。
以上となります。
また、作例が出来たら追加したいと思います。
今回の撮影レンズです。
それでは。