
これまでに見向きもしなかったFUJIFILM Xシリーズ最高性能を誇るRed Badge ズームレンズの一つ『XF16-55mmF2.8 R LM WR』 を購入しました。
噂通り解像度も高く逆光性能もお見事なものだなぁと感じました。
FUJIFILMのカメラで初めて撮影したに使用したレンズはバッテリーグリップをつけたX-T2とF16-55mmF2.8 R LM WRの組み合わせでした。
巡りに巡って同じセットを手にすることになろうとは。
(X-T3ではなく、基本的にX-T2で運用する予定なので)
どうやら私はXF16-55mmの実力を過小評価していたようです。
FUJIFILM機の導入を考え始めた頃、XF16-55mを借りて当時使っていたPENTAXのDA16-85mmF3.5-5.6ED DC WRと比較をしました。
当時は登山過程での風景撮影しか想定しておりませんでした。
そのため、風景でも使うであろう明るめの絞り値「f/5.6」で撮影した結果での比較を重点的に行いました。
結果的にXF16-55mmもDA16-85mmのどちらも16mm側で撮影した結果には大差がなかったという判断からFUJIFLM機では単焦点レンズから導入を始めたという経緯があります。
詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
もくじ
XF16-55mmF2.8 R LM WRに気持ちが傾いたキッカケ
今頃になってXF16-55mmの存在が気になり始めたキッカケ。
それは朝の光が差し込んで来る雲ノ平の木道の様子(昨年2020年の北アルプス最深部の縦走に引き続き今年も再訪)をXF16-80mmで撮影したことです。
利便性が高くパンフォーカス撮影で使う分には解像度の点でもそれほど不満がないレンズですが、唯一の弱点が逆光に弱いことなんです。
なぜ、逆光に強いXF16mmF1.4を使ってなかったのかというと、絞りリングの制御不具合で修理出しをしていたからです。
XF16mmF1.4を使えなかったことにより「ナノGIコーティング」の威力を改めて意識することとなります。
そして書いた記事がこれです。
手持ちのレンズでナノGIコーティングをしているのはXF16mmF1.4だけでした。
しかし、ズームでも逆光に強いレンズが欲しいなという気持ちが噴出し…『XF16-55mmF2.8 R LM WR』 をポチることになります。
引き金はNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sの発売発表だったんですけどね。
公式ページの作例を見ると「小三元なのにXF16-80mmより耐逆光性能が格段に上だわ」と感心しましたね。
と、同時に「Zマウント使ってる人が羨ましい」とも思いました。
(しかし、FUJIFILMの直感的な操作性が好きなのでZマウントに行く気はない)
この性能に匹敵するズームレンズ(カバーできる焦点域はさておき)はXF16-55mmF2.8 R LM WRしかないわ、と思ったわけです。
まぁ、この1ヶ月間、XF16-55mmに関するレビュー情報を漁って読んでましたからね。
自分で言うのもなんですが相当気になっていたのでしょうね。
作例は最後の方に掲載しますので、最初にFUJIFILMが謳っている
”その切れ味、唯一無二”
”単焦点と同等の画質”
”ズーム全域に渡って画面の隅々まで高い解像力を誇ります”
”ナノGIコーティングの採用によって斜めの入射光に対しても効果的にゴーストやフレアを低減します”
というキャッチフレーズに対して単焦点レンズとの比較を実施した結果の所感話を書こうと思います。
「単焦点と同等の画質」は本当です

2021年10月現在、私は5本の単焦点レンズを使っています。
- SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS
- XF16mmF1.4 R WR
- XF23mmF2 R WR
- XF50mm F2 R WR
- XF90mm F2 R LM WR
この中でXF16-55mmと比較するとしたら、XF16mmF1.4、XF23mmF2、XF50mmF2の3本になりますね。
どの単焦点レンズも遠景撮影をした際はシャープに写ります。
実際にXF16-55mmと比較をしてみました(但し室内で)。
どの絞り・どの焦点距離でも単焦点レンズに匹敵する「解像度」を叩き出してくれました。
幾つか実例を掲載します。
黄丸 → ピントを合わせた場所
青丸 → 画像を比較する場所

手動でトリミングしているので若干サイズが異なるのはご愛嬌というとこで。
XF16-55mm@16mm VS XF16mmF1.4
XF16-55mmはX-T2(2400万画素)にセットし、単焦点レンズはX-T3(2600万画素)にセットしました。
意図的に解像度の点でXF16-55mmを不利な立場に立たせています。
f/2.8


絞りf/2.8ではXF16mmF1.4の方が解像してますね。
XF16-55mmにとっては絞り開放、XF16mmF1.4では絞り開放から2段絞っているので、特段、ビックリするほどものでもないかなと思います。
XF16-55mmも絞り開放でこれだけ解像していれば十分ですね。
普通はここまで拡大して見ないですし。
f/4


絞りf/4ではどちらも同等の解像度になります。
XF16-55mmは一段絞っただけで解像度が一気に上がりますね。
f/5.6


絞りf/5.6でもいい勝負です。
f/4よりも僅かに解像度が上がった感じでしょうか。
f/8


f/5.6 → f/8ではどちらもほぼ変化なしですね。
f/11


f/5.6 → f/8 → f/11ではどちらもほぼ変化なしですね。
絞りf/16では若干、解像度が落ちます。
とは言ってもf/4と同程度です。
16mm側比較のまとめ
- f/2.8ではXF16mmF1.4の解像度が上
- f/4ではどちらも同程度の解像度
- f/5.6〜f/11では解像度のピークに達し、この間の絞り値による変化はなく、どちらのレンズも同程度の解像度
- f/16ではどちらもf/4程度までの解像度まで落ちる
- XF16-55mmの絞り開放f/2.8の周辺画質は若干甘さもあるが実用的には問題なく使える
ついでなのでXF10-24mmとの比較にも触れておきますね。
f/8以降の絞りであれば、XF10-24mmの周辺画質はXF16mmF1.4に匹敵します。
すなわち、焦点距離16mmでの撮影であればXF10-24mmから得られる解像度はXF16-55mと同等だと言えます。
XF16-55mm@23mm VS XF23mmF2
f/2.8


XF16-55mmは23mm側でも絞り開放f/2.8から解像してますね。
若干、像の流れは確認できますが実用範囲です。
一方でXF23mmF2は絞り開放f/2から一段絞っていますが緩々ですね…。
このレンズ、絞り開放付近で近くの被写体を撮影すると画質が甘くなる癖がありますが、もう少し遠距離の被写体を撮影していたら結果は異なっていたかもしれませんね。
f/4


XF16-55mmは絞り開放から一段絞っただけで画質が更に安定しました。
XF23mmF2はf/4でもま画質が甘いですね…(マジかよ)。
f/5.6


XF16-55mmはf/5.6まで絞ると画質がピークに達する印象です。
XF23mmF2も画質が安定し出してきました。
感覚的にはXF16-55mmの絞り開放f/2.8と同等の画質かなと思います。
f/8


XF16-55mmはf/5.6 → f/8ではどちらもほぼ変化なしです。
XF23mmF2は若干、画質が改善されたかなという程度です。
いずれにせよ、f/8でもXF16-55mmの方が画質が上です。
f/11


XF16-55mmはf/5.6 → f/8 → f/11でほぼ変化なしですね。
ここでやっとXF23mmF2の画質がXF16-55mmに追い付いた感じです。
光学性能はXF16-55mmの圧勝と言えます。
絞りf/16では回折現象によりf/11より解像度が若干低下します。
ただ、拡大しないと確認できませんので、逆光と光芒をしっかりと出したい時は積極的に使っても大丈夫な絞り値です。
23mm側比較のまとめ
- XF16-55mmは絞り開放f/2.8から実用範囲の解像度を叩き出す
- XF16-55mmの画質のピークはf/5.6に達しf/11まで同等である
- XF23mmF2の絞りf/5.6の画質はXF16-55mmのf/2.8と同等である
- XF23mmF2の解像度はf/11でXF16-55mmの画質に追い付く
こう考えると、XF23mmF2はスナップレンズなんだぁと思いますね。
風景を撮るならf/5.6から実用範囲って言ったところでしょうか。
XF16-55mm@50mm VS XF50mmF2
では50mmの比較をしてみましょう。
ピントはコンセントの辺りに合わせています。
比較画像はX-T2のバッテリーグリップです。
(余談ですが、翌日にXF16-80mmと比較をする際に使うためのバッテリーを充電中なのでありました)

この距離感の中望遠の焦点域で撮影するとピント面から離れてしまうとボケてしまうので、なるべく近距離でトリミングすることとします。
f/2.8


XF16-55mmは絞り開放f/2.8からXF50mmF2(しかも一段絞っている)に勝っていますね。
”BOOST”という文字を見て頂ければ分かりやすいですよ。
実用にも耐えうる解像度だと感じます。
f/4


XF16-55mmの方はf/2.8より結果が悪くなってるように見えますが、これは撮影に失敗したと思います…。
XF50mmF2はf/4に絞ったことで解像度が上がってきましたね。
f/5.6


絞りf/5.6ではXF50mmF2の解像度が飛躍的に向上しピークに達する印象を受けます。
そして、XF16-55mmの解像度を追い抜きましたね。
f/8


絞りf/8ではほんの少しだけXF16-55mmの解像度が上がりました。
しかし、XF50mmF2の解像度には勝てませんね。
XF50mmF2はf/5.6 → f/8と同程度の解像度です。
f/11


絞りf/11でXF16-55mmの解像度がXF50mmF2の解像度に追い付いてきたかなという感じですね。
それでもXF50mmF2に解像度の方が優っています。
絞りf/16はXF16-55mmもXF50mmF2にもf/11と同等でした。
50mm側比較のまとめ
- f/2.8ではXF16-55mmの解像度が勝っている(とりあえあず実用範囲内)
- f/5.6からf/8はXF50mmF2の解像度が勝っている
- f/11でXF16-55mmの解像度がXF50mmF2に再び追い付いてくる
という具合に50mm側ではf/5.6以降の絞りでXF50mmF2がリードしているものの「迫った画質」という点においてはXF16-55mmを十分に評価できますね。
それにしてもXF50mmF2はXF23mmF2と対照的ですね。
このレンズ、解像度という点において非常に優秀です。
単焦点レンズに勝てないもの
XF16-55mmが状況によっては単焦点レンズを上回る解像度を叩き出す能力があることはお分かり頂けたのではないでしょうか?(私が一番ビックリしてます)。
さすがにFUJIFILMが「単焦点並みの画質」と謳うだけのことはあるなと思いますね。
偽りなき自信だと思います。
しかし、そんな万能なXF16-55mmが単焦点レンズに勝てない領域があります。
単焦点レンズでしか撮れない世界があるわけです。
近接撮影能力
この写真はXF16mmF1.4 R WRでビーチに落ちていたガラスの破片を撮影したものです。

XF16mmF1.4の最短撮影距離は撮像センサーから15cmです。
ほぼレンズのフードが触れるくらいまで被写体に寄って撮影ができます。
一方でXF16-55mmの最短撮影距離は16mm側で30cmです。
残念ながらこのレンズでは上のような表現はできません。
他の単焦点レンズの最短距離近もXF16-55mmより短いですよ。
XF16mmF2.8 R WRが17cm。
XF18mmF1.4 R LM WRが20cm。
XF23mmF2 R WRが22cm。
ボケ量
こちらはXF16mmF1.4 R WRの絞り開放f/1.4で撮った写真です。
広角レンズながら背景の山や雲がいい感じボケて石積みの上の亡骸が引き立っています。

XF16-55mmだと広角端でここまでボカすのは無理ですね。
こちらはXF50mmF2 R WRの絞り開放f/2で撮った写真です。
XF16-55mmも絞りf/2.8で似たような写真が撮れますね。

ただ、絞りが一段違いますのでこうした店内の中でも同じISO感度なら2倍のシャッタースピードが稼げます。
コンパクトさ
これは書くまでもないんですが、当たり前ですけどXF16-55mmより単焦点レンズの方がコンパクトです。
特定の目的があるなら単焦点レンズを持っていきますね。
単焦点レンズより優位な「逆光耐性」

XF16-55mmの逆光耐性は素晴らしいですね。
さすがに「ナノGIコーティング」を施しているだけあります。
この性能が欲しくて手にしました。

単焦点レンズで唯一「ナノGIコーティング」を施しているレンズは「XF16mmF1.4 R WR」だけになります。
新型の広角単焦点レンズ「XF18mmF1.4 R LM WR」ですら実装されておりません。

作例















以上となります。
次回はXF16-55mmとXF16-80mmの比較や、使い分け方について、私が考えていることを書こうと思います。
追記:使い分けについての記事を追加しました。
それでは。
基本性能が高くていい意味でびっくりしています。
後日、保護フィルターも購入済み。
XF10-24mm、XF16mmF1.4、XF16-80mmなど行動中によく使うレンズにはMARUMIのEXUSを装着していますが、今回は気分を変えてZeta Quintにしてみました。