印象が新鮮な内に「XF16-80mmF4 R OIS WR」を実践投入してみて感じたことを書いておきます。
これまでに単焦点レンズを使ってきた目で、最初に結論を言うと…
「悪くない」です。
先日、立山の大日岳まで登山をしてきました。
撮影はXF16-80mmF4 R OIS WRでこなしました。
(下山後、海でも撮影あり)
このレンズ、単焦点レンズと比較して画質面で劣っているのではないかと思い、撮影中に何度もカメラの液晶ディスプレイを拡大表示してました(落ち着きがない奴ですね)。
その落ち着きのなさは撮影した写真をPCで観た時に「お! 悪くないぞ」という感想と共に解消されました。
もくじ
画質は言われているほど悪くない
XF16-80mmF4 R OIS WRの評価は海外のフォーラムやレビューで二分しています。
それは広角端(16mm側)の周辺画質が甘い(特に絞り開放で)というもの。
しかし、絞って撮影した場合、それほど気にならないかなと個人的には思います。
それでは…
- JPEG撮って出し
- X-T3とXF16-80mmF4 R OIS WRの組み合わせ
- 手持ち撮影
- 但し電子シャッター(理由は後述します)
- リサイズしたデータ(ブログ掲載用のため。実際にはもっと解像度が高い)
の写真を掲載します。
風景での撮影が多いので絞りはf/8が多いです。
広角端 16mm
ウィークポイント言われている広角端で撮影したものです。
確かに同じ画角である単焦点レンズ「XF16mmF1.4 R WR」で撮影してきた目で、画像周辺部を観察すると甘く感じますが、パッと見、不満を感じるほどではありません。
20mm〜
20mm以降の画角も風景撮影として使うには問題ないですよ。
この焦点距離と競合する単焦点レンズにシャープに写るXF23mmF2 R WRがありますが、絞って遠景撮影をするだけならパッと見で区別つかないかも。
寧ろ、XF23mmF2は明るいF値を活かした樹林帯での撮影で役立ちます。
パンフォーカス撮影ならXF16-80mmF4 R OIS WRでもOK。
30mm〜
30mmくらいの焦点距離だと絞り開放f/4を使うことで、被写体を浮かび上がらせたような表現をすることも可能。
流石にXF16mmF1.4 R WRや、XF90mmF2 R LM WRのような迫力はありませんが、登山最中にこれだけ撮れれば文句ありませんね。
f/8に絞るとキリッとした絵が出てきます。
40mm〜
普段ならこの辺りの焦点距離からXF50mmF2 R WRを付けたカメラを出して切り取るところですが、ズームのお陰で簡単に被写体を引き寄せて撮影できます(便利やんか!)。
50mm〜
何気に50mm以上(換算75mm以上)の焦点距離で切り取りたい時ってあるんですよね。
特に遠景撮影をする時は。
望遠端 80mm
ズームレンズの弱点は望遠端。
一般的に画質が悪くなりがちですが、周辺部を吟味しなければよく写るレンズだと思います。
※掲載写真はリサイズしているため本来の画質より低下してます
という具合に、単焦点レンズをメインで使ってきた目で見ても風景として撮影するなら悪い画質だとは思わないですね。
逆光耐性はf/11以上で使える印象
XF16-80mmF4 R OIS WRの最大の弱点は逆光耐性だと感じました。
残念ながら、XF16mmF1.4 R WRや、XF10-24mmF4 R OISの逆光耐性には及びません。
太陽に向けて絞りf/8で撮影した画像を比較してみます。
左 :XF10-24mmF4
中央:XF16mm F1.4
右 :XF16-80mmF4
例えば上の写真の例では、XF16-80mmの絞りf/8で撮影すると光芒の下部分が割れたような形で表現されます。
バシッと決まった光芒を出すなら、下の写真のようにf/11以上に絞ってやる必要がありますね。
とは言え、条件によっては絞っても盛大にゴーストが出たりします。
下の写真では絞りをf/16まで絞っていますが…
ちょっと目も当てられないくらいゴーストが酷いですね。
基本的には絞りをf/11以上にすることで、光芒の形をコントールできるのですが…
朝日や夕陽を狙うんだったら、XF16mmF1.4 R WRや、XF10-24mmF4 R OISで撮影をした方が幸せになれると思います。
手ぶれ補正効果を実感できるシャッタースピード1/15秒が妥当
XF16-80mmF4 R OIS WRの売りの一つである光学手ブレ補正機(OIS:Optical Image Stabilizer)。
個人的にはよくできたモノだなと思っています。
他にもXF10-24mmやXF55-200mmにもOIS機能が付いてますが、更に補正効果を実感できるものになってますね。
FUJIFILMはメーカーとして6.0段の手ブレ補正効果(CIPA準拠)を謳っていますが、実質的には最大で4.5段分の効果という話もありますね。
感覚的に適当に撮影したとしても80mm側でシャッタースピードが1/15秒程度までならブレません。
私はXF90mmF2を使う時、あまり意識せずに手ブレを回避できるシャッタースピードとして1/250秒以上で切っています。
この写真はX-T2+XF90mmF2の組み合わせで手持ち撮影したものです。
絞りはf/2.8、ISOは3200、シャッタースピードは1/250です。
もし、これがXF16-80mmだったら?
仮に1/15秒でシャッターを切れるならf/11まで絞り込んでも同じ露出を得られることになります。
つまり、適当に撮影したとしても手持ちで4段(f2.8、f/4、f/5.6、f/11)までなら効果を実感できると言えます。
(実際にはf/5.6やf/8を使うでしょうからISOを下げてノイズ感を減らすことが可能になりますね)
この手ぶれ補正機能がXF16-80mmによるアドバンテージです。
夕方に手持ちで遠景を撮影するなら明るい単焦点よりも歩留まりも良いと断言できます。
では、実際に撮った写真をご覧いただきましょう。
水が流れる様子を表現するのも手持ちで実現できちゃいます。
特に手ブレ補正効果を実感できるのは、作例のような曇り空の下で樹林帯を歩くような時ですね。
ISOを上げに撮影ができますよ。
(但し、個人的には樹林帯の撮影がメインなら単焦点レンズを使いたい)
微ブレ問題に遭遇する(回避策あり)
しかし、手振れ補正効果を実感できるからと言っても手放しで喜べる話でもないんです….
実は微ブレ問題があります。
1/125秒でメカシャッター撮影をするとこの現象が起こるらしいんです。
ここでは2つのブログ記事を参考にさせていただきました。
- 一つは「カメラとブログ」を運営されている「かめらと」さんの記事。
XF16-80mmF4 R OIS WRの手ブレ補正ON、メカシャッター時の微ブレ問題についてまとめてみる
- もう一つは「RIP FLAP」を運営されている「reno」さんの記事。
XF16-80mmのファームウェア1.02へアップデートするついでに微ブレを検証してみた。
どちらの記事もとても参考になりました。
で、私自身でも実際に試したらその通りでした。
私の場合はXF16-80mmのファームウェアを最新のVer.1.05に更新してますが、メカシャッターで微ブレ問題が発生しました。
さて、この2つに並べた写真、実は左の画像で微ブレが発生しています。
シャッターはどちらも1/100秒で切っています。
しかし、このくらいの大きさの画像なら15インチ程度のPCで見ても分からないでしょう(スマホなら尚更)。
では、滝の流れている部分(画面のほぼ中央)を拡大してみましょう。
微妙にトリミングがズレていますが(ゴメン)、ブレの差が判別できますね。
左はメカシャッター、右は電子シャッターで撮影したものです。
本当にこれだけのサンプルで正しいのか?
実は、本格運用する前に何度も試し撮りしたんですよね。
やっぱりメカシャッターだと画像が緩い。
「もしかして検証の仕方が悪いのかも?」
なんて思って、実際に登山の当日にメカシャッターを使ってみたら、やっぱり「なんか画像が緩いな…」と感じたんですよね。
で、カメラの背面LCDで画像を拡大をするとやっぱり緩かった。
そういう事情で電子シャッターで運用することにしたのです。
(もっとファームウェアを出してくれ)
因みにもう一度、登山を終えてから検証をしたのですが、X-T3でもX-T2でも結果は同じでした。
メカシャッターだと微ブレが発生し、電子シャッターだと発生しない!!!
少なくとも2020年10月現在、最新のファームウェアVer.1.05まで更新しても微ブレ問題は解消されてません。
追記:FUJIFILMのサービスに確認しましたが、今のところ、次のファームの予定はなさそうな雰囲気でした。
(問題は認識しているようなので、内部で動いてるのかもしれませんが。希望的観測だけど)
世にリリースされる前の評判(期待感)が良かっただけに、この微ブレ問題を把握してない人が回避策を知らずにレビューをしているとしたら、反動で悪い方に評価がブレる可能性があると考えられます。
という背景事情も含めて考えると、とりあえず回避策を講じて使えば悪い方の評価にブレることはないだろうと思います。
但し…電子シャッターを使った撮影で問題ない人が対象ですが。
こんな時に使えば幸せになれます
- レンズを交換したくない登山(つまりカメラ1台がメイン)
- 広角に関してはf/8程度での撮影を想定している
という感じ。
だって単焦点と比べても風景をパパッと撮影するだけなら遜色ないし。
私としては、XF16-80mmF4 R OIS WRを単焦点レンズで狙うべき被写体がない登山でのWalk around lensと位置付けることにしました。
よって、今後XF16-80mmが活躍する場面を想定すると以下のようになります。
- 厳冬期の登山(単焦点で狙うべき被写体が少ない)
- 荒天が予想される登山(レンズ交換をしたくない。カメラ2台出したくない)
- 歩くのがメインの登山(花、雷鳥、人物、星景撮影を狙わない)
今回の登山でXF16-80mmの性格を掴んだので、今度は厳冬期の登山で使ってみて感想を追加したいと思います!
→ 厳冬期の山の記事も書きました。
それでは。