
中望遠単焦点レンズ XF50mmF2 R WR を登山の樹林帯歩きの撮影用に導入しました。
単調に感じる樹林帯も楽しく歩きたいからです。
このレンズを導入をするまではオールドレンズ smc PENTAX M50mm F1.7をマウントアダプターPK-FXをかませてX-T2で使っていました。
写りもなかなかよく特定の条件下では、最新のズームレンズを上回る描写力を発揮するレンズでした。
ただ難点もあります。
マニュアルレンズですので撮影時にはピント合わせをする作業が伴います。
人と一緒に行動していると、その僅かな時間の積み重ねが相手に「待たせる」というストレスを与えてしまいます。
そんな背景事情もあり写りの評判が良く防塵防滴の純正レンズXF50mm F2を手にすることにしたというわけです。
撮影で50mm(換算76mm)という距離感は、ここ半年ほどでの撮影で使いやすいという感覚値を得ていたので大丈夫だろうと。
それでは詳しく見ていきましょう。
もくじ
XF50mm F2はポケットサイズで重量は僅か200g強。軽っ!
以前に広角単焦点の試し撮りをした時にも感じたのですが、XシリーズのF2レンズは軽いですね。
見てくださいよ、この重量!
後ろ玉のキャップは外していますがレンズとフード込みで220gですよ。

防塵防滴ですから後ろ玉の外縁には黒いラバーが施されています。
このレンズは稜線よりも樹林帯での使用を想定しています。
朝露などがあっても気兼ねなく撮影できるのがいいですね。

他のXシリーズ用のレンズと比較してみました。
XF50mm F2 (左から四番目)が圧倒的にコンパクトなのが一目瞭然。
アウターのポケットや、サイドポケット付きのトレッキングパンツにも余裕で入ります。
フードを逆付けするともっとコンパクトになります。

レンズは左からXF10-24mm、サムヤン 12mm、XF16mm、XF50mm、XF90mmとなります。
想定している使用シーン
換算76mmという微妙な距離感ですが、私は使いやすいと感じています。
想定している使用シーンは、
- 樹林帯の雰囲気撮影
- 数m先にいる人物の撮影
- 樹林帯越しから見える尾根などの遠景撮影
です。
つまり稜線に出るまでの間に使いたいレンズなんですね。
稜線より上は広角レンズがメインです。
XF50mm F2の作例
すべてJPEG撮って出しです。
使ったフィルムシミュレーションはプロビア(PROVIA)です。
まずは近距離からの作例です。
被写体は何かを象徴するようなオブジェ的なものです。

防塵防滴仕様なので、水飛沫も気兼ねなく撮影できます。







XF50mm F2 R WRはちょっとした距離感にある被写体を狙い撃ちするのに適したレンズだなと感じます。
ここからはf/4で撮影しました。
f/2だと背景がボケ過ぎて背景の世界観が伝わらないだろうと考えたからです。


最短撮影距離39cm(最大撮影倍率は0.15倍)ですから最短撮影距離が45cmのsmc PENTAX M50mm F1.7よりも近づけます。
お花の全体像をいい感じで撮影するには程よい距離感かなと感じました。
XF50mmの位置付けとしては、持っていたらお花もいい感じに撮れるレンズと言ったところでしょうか。(これについては後述)
次に遠景的なものです。
f/5.6かf/8まで絞っています。






ブログ掲載用に解像度を落としていますが遠景解像度もいいです。
XF90mm同様に絞り開放f/2からイケちゃうタイプのレンズです。
XF90mm F2 R LM WRとの使い分け
さすがに焦点距離が長いXF90mmのボケ量には及びません。
FUJIFILMの単焦点レンズで立体感がある絵を得ようと思ったらXF90mmがナンバーワンでしょう。
XF90mmとXF50mmの立体感を比較してみましょう。
(なお、個別の撮影シーンでの比較です)
XF90mm F2の絞り開放で撮影した写真です。
中央部下から3分の1くらいのところにピントを合わせています。

次にXF50mm F2の絞り開放で撮影した写真です。
ピントは左下から3分の1くらいの位置にある轍に合わせました。
場所、被写体、色合いなどが違っていますが、どれだけ立体感(ボケ量)に差があるのかお分かりいただけると思います。

じゃあ、XF50mmが劣っているのか?というとそんなことありません。
先ほど用水路や喫茶店の作例で出したように、ちょっとした距離感での撮影なら十分にボケるし立体感もいい感じに出てくれるんです。
その距離感でXF90mmというレンズがうまくハマるか?と言われるとちょっと難しい。
焦点距離が長過ぎるんですよ。
被写体から離れなければなりません。
じゃ、毎回後ろに引けるのか?というとフィールドでは難しい場面もあります。
特に登山道が決まっている山では。
ですから、使い分けが肝心です。
被写体まで距離がある場合は、XF90mmをチョイスします。
例えばこんな被写体です。

被写体まで距離がある場所というのは見通しが利く場所が多いんです。
ですから、明るい場所が多いように感じますね。
そんな場所で本領発揮できるレンズがXF90mmなんです。
望遠になるほど手ブレがシビアになりますから、シャッタースピードを稼げるという利点もあります。(XF90mmはOISがついてない)
逆に樹林帯の中ではXF50mmをチョイスします。
例えばこんな感じの場所です。
(作例のレンズはsmc PENTAX M50mm 1.7)

手ブレも90mmほどシビアじゃありませんから、シャッタースピードが落ちてもリスクを取れます。
言い換えると、
- 樹林帯ではXF50mmを多用
- 開けた場所ではXF90mmを多用する
という使い分けストーリーが描けます。
XF50mmもXF90mmのどちらも遠景解像度が高いレンズです。
距離別(行く山域別)で使い分けですね。
では、お花がメインの山行撮影ならどうなのか?
先ほど「XF50mmを持っていたらお花もいい感じに撮れるレンズ」と書きました。
撮影していて感じたのは、XF50mmを持っていけばついでにお花も撮れるという位置づけかなと。
お花がメインの山(例えば北アルプスの朝日岳)ならXF90mmを持っていきますね。
お花の群生まで距離がある場合が多いからです。
後はボケ量などの表現力の差はXF90mmが上ってのもあります。(お花単体の撮影がメインならマクロレンズ持っていきます。)

XF50mm F2 R WR を使ってみた感触
XF50mmを使ってみた感じたことです。
- 絞り開放F2から隅々までシャープに写る
- 遠景解像度が高い。風景撮影に向いている
- コンパクトなので取り回しが楽。持っていてもストレスにならない
- AFの合焦スピードはXF16mmやXF90mmより若干もたつき感がある
AFスピードですが、風景撮影ですから致命的な遅さってわけではありません。個人的な比較体験では、ペンタックスの DFA100mm Macro F2.8(ジーコジーコ音が鳴る)と比較すると格段に早いのであまり気にならないかな。
XF50mm F2 R WR を持つメリット
- 防塵防滴なのでしっとりする樹林帯で大活躍
- 樹林帯の間から見える近隣の尾根を撮影するのに程よい距離感
- 縦走などで広角レンズと組み合わせて使うのに絶妙な画角を手にできる
あまり話題に上がらないレンズですが、風景撮影やスナップ撮影に向いたレンズだと思います。
XF56mm 1.2やXF90mmと比較したらボケ量は少ないのかもしれませんが、風景がメインの山では十分なスペックを持ち合わせていると言えるでしょう。
これからどんどん使い倒していきますよー。
それでは。
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