あなたは肉体労働者ですか? それとも頭脳労働者ですか? はたまた両方でしょうか?
まぁ、突き詰めるとサラリーマンは肉体労働者ですよね。会社に時間と共に、手・目・耳など体ごと拘束されていますからね。
さて、ここでいう肉体労働を定義しましょう。仕事をするうえで腕や背中などの筋肉を使って反復動作をする労働が伴うこと。
肉体労働をやっているというと、マッチョを思い浮かべますか?どうでしょうか? バリバリのマッチョというわけではありませんね。程よく筋肉が付いた体つきをしてるのではないでしょうか。
マッチョの定義には2種類あります。
1つ目は、筋肉のサイズがあって衣類の上からでも体を鍛えていることが判別できること。
2つ目は、衣類を脱いだら筋肉質の体であること。
肉体労働をやっている人は後者が多い気がします。
さて、もしあなたがバリバリ筋トレをしていて平均的な筋力を持つ日本人と比較して大きな大胸筋を持っているとしますよ。しかし、肉体労働では大胸筋はほぼ役立ちません。ベンチプレスだけ強くても肉体労働では使えません。何度か肉体労働をした経験から申し上げております。
さて、これまでに経験した肉体労働(主に単発のアルバイト)をご紹介しましょう。
・引越し屋
・デパート内テナントの撤去作業
・コンクリート練り
・荷物の仕分け
・解体屋
・タイヤ交換(プライベート)
・雪かき(プライベート)
大きく分けるとこんなものですかね? 大胸筋なんか使う要素がありません。持ち上げる、捻る動作が多いですね。
もくじ
肉体労働は脊柱起立筋を中心とした動作である
・下に置いてある物を腰の高さまで持ち上げる。
・腰の高さから頭上へ物を持ち上げる。
・物を腰の高さで保持したまま移動する。
・掘った土(雪)を特定の場所に盛り上げる。
・ネジを締める・ネジを外す
脚力と脊柱起立筋を使う動きが入ってますね。頭上まで両手を上げる動作。前腕を使った動き。段ボールの荷物を運ぶ時は、力こぶよりも前腕の腕橈骨筋を使います。
これらの動作はデッドリフト、ハイクリーン、スクワット、そしてオーバーヘッドプレスです。腕橈骨筋はパラレルハンドの懸垂で鍛えれます。
ここではベンチプレスの動作は一切出てきません。つまり肉体労働では役立たない。
肉体労働では前腕の強さが肝になる
前腕というとデッドリフトや懸垂でも使っているので、ワークアウトではスルーしがちです。実際に前腕専門のワークアウトをやらなくても前腕周りに筋肉がついてくるからです。でも、それだけでは肉体労働で使う動きを鍛えるには不足しています。
肉体労働では手首を内側に巻き込む力が問われます。どんな動作かというと、荷物を2人で運ぶような動作ですね。例えば大きなテーブルです。手の平を内側に巻き込むようにして運びます。何往復もするとだんだんと前腕の内側が張ってきます。
ネジを締める時には手首を捻る動作が加わります。握力が不足しているとドライバーを回し続けるのが辛くなってきます。
前腕をよく使う仕事をしている人は、鍛えてなくても腕相撲が強いですね。肉体労働の経験がない人であれば懸垂をやり込まないと強くなりませんね。詳しくは懸垂で手っ取り早く腕相撲(アームレスリング)を強くする方法に書きましたので読んでみてください。
私の父親は長年、肉体労働をやっておりました。いわゆる力仕事です。身長は160cmありません。体重も57kg〜60kgの間を行ったり来たりです。胸囲も90cmないくらいです。しかし、前腕は異常に発達していました。すでに定年退職をしていますが、未だに前腕の血管がボコっと浮いています。
鍛えている私(胸囲は106〜107)が、鍛えてない父親に腕相撲で勝負をつけることができません。懸垂も体重が10kg重い私ほどできないでしょう。引く力は断然、私のほうがあります。父親がベンチプレスなんか到底100kg上げられるとは思いません。腕立てすらやってないですからね。実際に全身のパワーは鍛えている私の方が圧倒的に強いです。
しかし、腕相撲では打ち負かすことができないということが起こります。ベンチプレス100kgで組める筋力があっても腕相撲では役立ってないことです。
その理由は父親は前腕を内側に巻き込む筋力が発達しているためです。仕事で最大筋力を出すようなシーンはあまりないですが、連続的な持続動作を長年やってきことで筋力の底上げがされているんですよね。長年かけて作ってきた筋肉というのはなかなか衰えないわけです。
肉体労働をするなら脊柱起立筋を鍛えおくべき
肉体労働をしていれば筋肉が自然につくと思ったら大間違い。前腕を除けば事前に強化しておくべき部位があります。それは脊柱起立筋です。
特に運送会社などで荷物を運ぶ機会が多い人は、体に故障を抱えていることが多いのが実態です。特に腰回り。コルセットを巻いてたり定期的に病院で注射を打ってもらったりしている人もいるんですよ。
なぜ、事前に脊柱起立筋を強化しておく必要があるのか。荷物の上げ下げをすれば勝手に強くなるじゃないか!と思うでしょう?それ、 違うんですよね。
肉体労働を伴った仕事でも脊柱起立筋を使います。しかし強靭な脊柱起立筋が強化できるとは限りません。脊柱起立筋は疲労すると回復するまでに96時間(4日)かかると言われています。実際には体感的に1週間から10日かかりますね。デッドリフトをやり込むとよく分かります。
仕事では毎日、脊柱起立筋を使います。疲労が蓄積しているのに回復する時間がありません。反復動作ごとの負荷はワークアウトほど高くありませんが回数を重ねると疲労が溜まります。仕事という特性上ワークアウトの感覚で回復期間を設けるということができません。
回復しないまま脊柱起立筋を使うものですから最後には故障します。これでは体を強化する暇もありません。これが肉体労働における実態です。実際にやれば体感できますよ。
これを回避する方法はただ一つ。
最大筋力を高めることによって仕事における反復動作上での負荷を相対的に下げる、です。
例えば、デッドリフトでMAX100kgできる人が20kgの荷物をトラックの荷台に上げ下げするよりも、デッドリフトMAX160kg上げれる人のほうが疲労の溜まり具合は軽いですよね。筋力のバッファが大事。
これが体を使った仕事に就く前に最大筋力を伸ばしておいた方がいい理由です。仕事に就いてからでは回復する期間がない。そのため最大値を伸ばしていくのが難しい。故障してからでは遅いのですよ。
使える体にするためのBIG4
・ハイクリーンを60kgのバーベルでやるか、20kgのケトルベル(片手づつ)でやる
・逆立ち腕立てをやる
・ゴムチューブでリスト力を鍛える
・腕橈骨筋を鍛えるためにパラレルハンドの懸垂をやる
これだけやっておけば、肉体労働で十分に通用するでしょう。ハイクリーンは荷物を床から上げる動作。逆立ち腕立ては荷物を頭上に上げる動作です。
荷物を上げ下げする動作にはデッドリフトやスクワットの動作も含まれていますが、実際の仕事では100kgも150kgもの力を出すシーンはありません。全身の連動性を強化する意味でもハイクリーンをやり込んだ方がいいです。
リスト力はネジを締めたり荷物を保持したりするのに使います。ゴムチューブを使う理由は、腱を傷めないようにするためです。それから負荷調整がし易いですね。
ハンマーカールでも腕橈骨筋を鍛えれますが、できる環境にあるならパラレルハンドの懸垂をオススメします。使える体というのは単一部位だけの動作ではないからです。連動性が大事なのです。懸垂には連動性があります。
肉体労働では、最大筋力よりも持続力が重要です。ミドルパワーで持続できる筋力です。ということで最低限、必要な環境は・・・
・雲梯がある公園
・ゴムチューブ
・ケトルベル
となります。
最後に
肉体労働の現場では生理学的な観点で仕事を進めようという人は皆無です。未だに根性論者を唱えるアホもいます。上に立つ人もが生理学的な知識は持っていないとうのが実態です。まずは運動生理学を学ぶべきですね。
特に筋肉を使った労働は長年続けていると、腱にガタが来たりします。筋肉は回復できても一度腱を傷めると回復するまでに時間がかかります。
そういった意味でも筋肉労働は若いうちだけですね。
そうそう。年配になったらワークアウトだけやればいいんですよ。自分のペースで筋肉を鍛えれますからね。仕事だとそうはいかないです。
アルバイトでもいいから一度くらい肉体労働は経験しておいた方がいいですね。デスクワークしかやったことがない人は、肉体労働で疲労が蓄積するとはどんなことか?というこが分かりませんから。一度体感しておくといいですよ。
それでは。