下呂市の濁河温泉(にごりご温泉)から御嶽山の五の池小屋に泊まりで行ってきました。
同じコースで昨年の8月(2020年)に行ってみたら良かったので今回は妻を伴って小屋泊まりで訪れてみました。
天候は微妙な予報でしたが五の池小屋の雰囲気を味わうというスタンスで登って行きましたよ。
肝心の登る日の天気は下界では晴れ予報、しかし、SCWでは北アルプス沿いに岐阜と長野の県境が断続的に小雨の予報、かつ、windy.com(飛騨側の標高3000m)では風速15m前後の予測を出していました。
五の池小屋の標高は2800m。
樹林帯は約2550mまで続きます。
もし、本当に風でヤバそうだったら稜線直下で待機し様子見をし、それでも無理そうだったら引き返すという判断で行動開始。
条件の良い合間を縫えば森林限界を抜けてから1時間もあれば小屋に着けるという目論見もありました。
(行くことを大前提としていますが、五の池小屋も天候の影響で行けなかったとしても当日のキャンセル料を取らないをスタンスを取っています。)
結果的には軽い霧雨程度で行けたのですが。
もくじ
地図
このコースいい場所なんですよ。
標高は1800mから標高2550mのトラバース分岐の手前までは原生林の樹林帯が続きます。
トラバース分岐から五の池小屋からは森林限界を抜けます。
この間に斜面を横切る雪渓歩きが3箇所あります。
濁河温泉 登山口
濁河温泉から五の池の小屋までの標高差1000mは、スローペースで歩いても3時間30分あれば着くだろうという見込み(昨年ソロで行った時は2時間30分でした)で、10時から歩き始めることを目指して9時半頃に駐車場に着きました。
(寧ろ早く出発し過ぎると雨にやられてしまうということもあったし)
土曜日だったんですが、この時点で駐車場はガラガラでしたね。
コロナの緊急事態宣言のせいもあるのかな?
元々、入山する人は北アルプスの主要なコースと比較したら多くない印象です。
仮に首都圏から車でアクセスするなら多くの人は八ヶ岳や白馬、上高地方面に行っちゃいますよね。
やはり一番目に付くのが東海圏のナンバーですね(昨年の夏に行った時の印象的ですが)。
シラビソ・トウヒの原生林
登山道に入っていくとシラビソやトウヒの原生林が広がっています。
長野県側とは対照的ですね。
バイカオウレン(梅花黄蓮)。
フレッシュな感じでした。
原生林の中を歩いて行く。
北八ヶ岳や高天原峠を彷彿とさせる森ですね。
SCWの予報では雨のギリギリ降りそうな降らなそうな予報を出していたので、念のためにザックカバーをつけて歩いてます。
レインウェアも下だけ履いて上着はすぐに取り出せる場所に入れておいてます。
原生林の森なら晴れなくても雰囲気がありますよね。
湯の花峠(標高2100m)まで来ると谷を挟んで景色が見えます。
昨年の夏にも思いましたが、人がそれほど密集するコースでないため、じっくりと写真を撮りながら歩くことができるコースなんですよ。
大人気のコースってすれ違いがあったりしてゆっくりできないですもんね。
のぞき岩(標高2280m)には避難小屋があります。
更に15分ほど進んだ辺りから登山道にも残雪がちらほらと出始めました。
このくらいだったらアイゼンはまだ要らないですね。
八合目(お助け水)から30m手前で小休憩。
標高は2450m。
スマホに地図アプリ「ジオグラフィカ」を入れ、歩く時はスマホ端末を機内モードにしてます。
歩く範囲の地図は予めネットが繋がる環境で読み込ませておく必要はありますが、一旦、スマホの電源が切れてもキャッシュが残っていれば詳細な等高線を表示させることができます。
肝心のGPS精度はまぁまぁかなぁ。
また、スマホ端末を機内モードにしておくとバッテリー消費が抑えられますね。
端末はFUJITSUのarrows M03で既に3年ほど使っています(この山行の直後に買い替えましたが)。
バッテリーが経年劣化しているはずですが、車を降りた時点から2時間30分経過した時点のバッテリー残量が100%→97%ですから、24時間経過してもバッテリー消費は30%程度で済む計算になりますね。
ただ、実際のところ、標高が高くになるにつれ気温が低下するのでバッテリー消費は大きくなります。
閑話休題。
八合目を過ぎた頃には完全に登山道が残雪になりました。
森林限界
森林限界を抜けるとちらほらと夏道も見えます。
風はそれほど影響はなさそうでした。
斜面を横切る雪渓もあります。
滑ったらイヤだなぁー。
ここはアイゼンを履いた方が精神衛生上いいですね。
私も妻も10本爪のアイゼン、それからワンタッチで脱着できる軽アイゼンを持って行きました。
荷物にはなりますが安心感はありますよね。
森林限界を抜けてからこんな感じの雪渓が3箇所ありましたが、結局、私自身はアイゼンを履きませんでした。
理由は雪渓を抜ける度に岩場の道になるからです(アイゼンの脱着をやりたくないだけなのよ…)。
雷鳥がいました。
ここぞとばかりにXF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WRをつけたX-T3をザックから取り出し、雷鳥の撮影を200枚ほどしました(行動中はX-T2にXF16mmF1.4 R WRの組み合わせで歩いてます)。
雷鳥も撮影し満足したので再び歩き始めます。
ここまで来ると五の池山小屋も近いですね。
本当は右手に摩利支天山が見えるんですけどガスガスで何も見えず…。
13:30に五の池小屋に到着しました。
想定通り3時間30分で来ましたね。
この辺りの感覚って自慢じゃありませんが ”大体当たる”んですよ。
今まで習性的にやってきた要所ごとに記録を取るという癖が感覚に反映されているのでしょうね。
このコースのいいところは小屋までのアプローチが比較的短いことなんです。
普段から登山をしている方なら体力的には楽なはず。
疲労困憊にならずに小屋まで行けるのでゆったりと過ごせる余裕を持てるんですよね。
道中は原生林の森を楽しめます。
人が殺到するようなコースでもないので自分の好きなペースで歩けますし。
無雪期で完全に夏道が出ていれば滑落してしまう場所もないし。
五の池小屋
雨にはやられずに辿り着くことができました。
(ヨカッタ、ヨカッタ)
先ずはここでのんびりと過ごします。
女性ウケしそうですよね。
ここに行きたい!!って人も多いはず。
そう、外の景色が見えなくてガスガスでもくつろげる宿!
これ大事ですよね。
だから来ました。
コロナ禍ですから。
ぱんだ屋の様子。
このシール頂きました。
2021年現在のメニューと価格。
(今回は緊急事態宣言もあり酒類の提供は不可と連絡を事前に頂きました)
チョコケーキを食べました。
次はシフォンケーキを食べたいなぁ。
小物や菓子類。
外は相変わらずガスガス!
しかし、ずーっと曇っていたわけではありません。
きちん空が微笑んでくれましたよ。
(わーい!)
30分だけ晴れた飛騨頂上
おや?
なんか雲が薄くなってきてないか?
あれよこれよと雲が取れ出してきて青空が姿を現しました。
摩利支天の方もガスが取れそう。
継母岳方面はすっかりと青空に。
山ではこういうことが突然起こるんですよね。
ドラゴンアイっぽい三ノ池。
三ノ池はSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSで撮影しました。
昨年は超広角レンズを置いていき後悔したくなかったので保険で持って行きました。
四ノ池と開田高原。
こっちは望遠レンズの出番。
三ノ池をアップで。
雪解けの水ってエメラルドグリーンになるんですよね。
ここの水路、シーカヤックで遊んでみたいなぁ。
うー、また雲が出てきたぞー。
僅か30分だけの青空でした。
この後は再びガスに覆われてしまいました。
夕焼けを期待したのですがダメでしたね。
小屋で山時間を過ごす
外がダメなら小屋で山時間を楽しく過ごすに限るです。
部屋の様子。
これで1人分のスペースです。
本当はこれで2人分のスペースなんでしょうね。
コロナ禍で収容人数をを絞った営業をしていることが窺えます。
(営業している方には申し訳なく思いますが、個人的には占有面積が広くて嬉しい)
時間にならないと使えませんが、電源のコンセントや電球が備え付けてあります。
また、消灯後もランプで廊下とトイレまでの通路を常時点灯してくれているので安心です。
コロナ禍で寝具の提供はなし。
マットと寝袋は持参が必要です。
コロナ禍でこういうスタイルの山小屋が増えてますね。
個人的には良い意味でこの方向性にシフトしていったらいいんじゃないかなぁと思ってます。
ふとんの管理のように手間のかかる雑事を減らし、食事や山小屋独自の雰囲気の提供にリソースを投下すると山小屋の価値も上がると思うんですよね。
食やホスピタリティの面でクオリティが高ければ山小屋の価格が上がったとしても納得しますよ。
反対に布団の提供がない代わりに素泊まりの価格は値下げするといいんじゃないですかね(収容可能人数の多い小屋の場合)。
マットと寝袋を持ち運ぶ体力が心配だと言う人もいるかもしれませんが、増えたとしても1〜1.5kgくらいです。
寧ろそのくらいの荷物を運ぶ体力くらいは備えておくべきだと思うのです。
体力がないならつければいいんですよ。
登山は基礎体力があってナンボ、体力があるほど楽しむ余裕を持てます。
で、気になる室温ですが朝方で5℃ちょいでした。
外の気温が0℃付近(ミゾレから雪が降ったので)なので気温差は5℃ですね。
夏場なら外の最低気温が10〜12℃だと想定すれば室内は15℃以上はあるのかなと思います。
ぱんだ屋の名物と言えばピザです。
最初はオーダしないつもり(夕食後に出すということなので)でしたが、結局、食べてみることにしました。
後になぜ限定10枚なのか理由が分かりました。
夕食までは本でも読みながらくつろぎます。
夕食は18時から。
ライス、かき揚げ、キャベツの千切り、鶏肉の鍋焼きうどんでした。
美味しかったですよ。
(私自身、日常生活ではプラントベース食を好んで食べてますが、山小屋だと選択肢として無理なこともあり基本的には提供されたものを食べるスタンスを取ってます)
外はうっすらと雪が積もりましたね。
下界の最高気温が25℃でも最低気温が15℃になれば標高2800mでは0℃付近まで気温が低下します。
標高3000m近い高山で雪が完全に降らないと確信できる時期って実は7月、8月くらいしかないのかも。
食後は本を読んでくつろぎます。
酒類の提供、持ち込みが緊急事態宣言の影響で無理なので…。
(ま、アルコールは弱いからいいんですけどね)
薪ストーブって雰囲気出ますよね。
ストーブのオーブンで焼いたピザが出てきました。
これ、オーダーした人たちの分を1枚づつ焼いてます。
そりゃ時間が掛かるわけで10枚限定というのも納得できます。
(これ、ベジタリアンVerも出したらいいと思うなぁ)
外はガスが取れて摩利支天山へ続く稜線が見えました。
生憎の月夜で天の川は今回のプランでは想定に入れてないのでパス。
いいですね。
翌朝。
ガスガスだし風も強い。
下界は晴れているんですけどね。
朝食は朝6時です。
味噌汁が美味し過ぎた!
具材は、長ネギ、玉ねぎ、茄子、高野豆腐です。
手作りの赤味噌なそうですよ。
梅干し、昆布の佃煮、金時豆の甘煮、キュウリのサラダ、鮭と大根おろし、大葉、オレンジ。
個人的にはこういう食事が大変好みですね。
朝食後にアップルパイを焼いてくれました(別料金で600円です)。
これまたオーブンで焼きます。
ヤバい…。
焼きたてのアップルパイ、本気で美味しい!
という感じで外も天気が芳しくないことだし、朝もグダグダと過ごしましたね。
何やかんやで小屋を発ったのが9:30過ぎでした。
そりゃ、まったりすると下山したくないわ〜。
とは言え、下山しないわけにはいかないのでガスガスの天候の中にダイブしました。
鉛色の世界から木漏れ日の森へ
晴れそうにないし下ります。
次は快晴の時にテラスでゆったりと過ごしたいな。
朝方までは氷点下だったのが看板に氷が張り付いてました。
この頃は既に気温も上昇し始め少し雪が緩くなってました。
風がビュービュー吹いてました。
動画でご覧ください。
慎重に歩く。
登り以上に下山の時は気が緩みがちですからね。
樹林帯に突入!
ここまで来ると風に晒されるリスクがなくなります。
標高を下げるにつれガスが薄くなってきます。
やっぱり下界は晴れとるやんけ。
更に標高を下げると太陽の光が届くようになりました。
再びバイカオウレン(梅花黄蓮)。
木漏れ日が綺麗だな。
トウヒの森です。
12:20頃、駐車場(第一)に戻って来ました。
埋まってるっちゃ埋まってるけどビックリするほどではないですね。
遠くから御嶽山を眺める
少し車を走らせ御嶽山を眺めます。
うん、やっぱり上はガスがかかっているなぁ。
谷間の左側から下って来ました。
こちらはチャオ御岳スキー場から撮影。
同じ場所からアップで。
雲の中は継母岳ですね。
ランチはR361沿いの「風車」で。
蕎麦雑炊をオーダーしましたが、美味しかったですよ。
下山後はこういう消化のいい食べ物がいいですね。
運転もあるので消化で臓器に負担をかけて眠くなりたくないし。
稜線は相変わらず風が強そう。
やっぱガスガスだわ。
また行きたいな。
以上となります。
→2022年の5月にリベンジしました。
前回の反省をして超広角レンズを持って行きました
昨年2020年の8月に行った時は、XF16mmF1.4、XF23mmF2、XF55-200mmを持って行きました。
この3本で間に合うだろうと考えておりましたが、実際には三ノ池を撮影するには広角が16mm(換算24mm)では画角が足りない場面がありました。
詳しくはこちらの記事の最後をご覧ください。
私は単焦点レンズを好みますが、すり鉢状の地形に池がある場所では単焦点の利点を活かせないんですよね。
そこで今回は行動中のメインレンズをXF10-24mm(一型)を持って行こうと考えてました。
しかし終始晴れるという確信がなく防塵防滴に対応してないレンズをメインにするにはちょっと勇気が要ります。
ということで、持って行ったのがこの構成。
- X-T2 + XF16mmF1.4 R WR(行動中のメインレンズ、WR仕様のため雨天OK)
- X-T3 + XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR(雷鳥、遠景撮影用、WR仕様のため雨天OK)
- SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS(三ノ池、山小屋の中、夜景撮影用)
サムヤン12mmは防塵防滴ではありませんが、使わない可能が高いと想定しつつも使いたくなる可能性も捨てきれないなと思って持って行きました。
景色の撮影なら圧倒的にXF10-24mmの方が利便性が高いのですが、確実に使うという確信がないなら軽量コンパクトなサムヤン12mmを持って行きます。
そして撮ったのがこれです。
本当は翌日に晴れるかもという想定で三ノ池に近い距離で撮影しようと思ってたのですが、前述した通り翌日はガスガスだったので結局は超広角レンズの本呂を発揮できず…(ま、自然が相手だから仕方がない)。
また機会を狙って行こう。
追記:2022年5月にまた行きました。
それでは。