「軽さは正義」ではない。「基礎体力こそ正義」だ。
私の持論です。
一言断っておきましょう。重い物を背負って歩けばいい、ということではありません!!
軽量化に気を取られるのではなく大前提となる基礎体力を備えよ、というメッセージです。体力は登山をするうえで最重要な能力となります。
こんなことがありました。
夏の上高地のバス停で・・・
私のザックの左肩にはコットンキャリアに装着したK-3 +DA16-85mmが付いていました。重量は約1.3kgです。コンデジやスマホを使っている人から見たら大きいでしょうね。
※コットンキャリアの詳細については登山中に素早くシャッターを切るためのカメラと交換レンズの持ち運び方をご覧下さい。
とある男性が私の姿を見て声をかけてきたのですが、こんな趣旨のことを言っておられました。「わざわざそんな重い物を持ち歩かなくても・・。まぁ、写真を撮るのが楽しみなんでしょうからねぇ。」
んなもん、こっちの勝手だ!というやつです。
APS-C機と標準レンズの組み合わせは、基礎体力が備わっている私にとってさほどの重量ではありません。フルサイズ機のカメラを使っている方からしたら軽い部類でしょう。
もくじ
「軽量化は正義」と言う言葉にダンスさせられ過ぎ
軽量化は正義!それは当たっています。
なぜ、軽量化が正義なのか。
行動が楽になるからです。
なぜ、行動が楽になるのか。
体力の消耗を抑えれるからです。
荷物が軽くなるだけで筋力不足による転倒リスクが減ります。
行動が楽になると
景色を見るゆとりが出てきます。
行動時間を短縮できます。
物事には色々な側面があります。その一つの側面として、軽量化の流れになった背景には「手持ち時間で山の奥まで行きたい」という深層心理があるのではないですか?
人にどこに行ってどんな景色を見たのか自慢したい。結果、週末の時間でどれだけ自分が広い範囲で行動できるのかをアピールする方も散見されます。そのために過度な軽量化に走る..なんてことも垣間見えるわけです.
でもさぁ、ぶっちゃけ、基礎体力あれば過度に軽量化しなくてもいいんじゃいのぉ?「軽量化は正義」に踊らされる前に前に基礎体力を備えよ!
体力があれば好きな食べ物を持っていけます。
体力があれば時間内に行動できる範囲が広がります。
体力があれば景色を見るゆとりがあります。
そりゃ、荷物は軽い方がいいですよ。当たり前。私も目的によっては軽量化をします。しかし、体力があればもっと山を楽しめますよね。
さて、体力つけろや、と言われても具体的に何をしたらいいのか分からない方もいらっしゃるのではないかと思います。テント泊装備寄りの内容ですが、下記の記事が参考になります。↓
テント泊装備で山の風景写真を撮影するための基礎体力と必要なワークアウト
手持ちの時間で自分がどれだけ広い範囲で行動できるのかをアピールするのは筋違い
ちょっと心理的な側面からアプローチしてみましょう。マズローの欲求5段階説を例に出します。
山に行くのは楽しむため(Self-actualization)ですよね?
山に行くのは人にアピールして承認欲求(Esteem)を満たすためですか?
自分が楽しんでいれば他人からの承認なんて不要ですよね?
自分が楽しんでいれば思い切り自己肯定しますよね?
人に自慢するために行くならちょっと考え直そう。そのために過度な軽量化をして行動しているなら危険です。
山に行くのは自分の絶対的価値観(自己実現欲求)を満たすためであるべきです。詳細は「登山の世界から考えるマズローの自己実現論」にも書いたので読んでみてください。
軽量化が通用するのは営業している山小屋があるから。人力でしか行けない場所では通用しない
さて、外の世界に目を向けて、話は日本から海外に飛びます。
ケニア山には一般人が登頂できるレナナ峰(4895m)と、クライマーだけが登れる本当の山頂(5200m)があります。クライミングを案内するガイドは35kgもの荷物を背負って歩きます。(ガイドの本人談)
そこを登るためには35kgの荷物を運べる基礎体力がなければ行くことができません。なぜならば、そこを登り切るのに必須の装備を持っていかなければならないからです。ロバや馬なんていません。人力で運ぶしかありません。
登頂するには35kgの荷物を運べる体力を備えていることが大前提です。軽量化など歯が立ちません。軽量化したら必要な装備を持って行けません。
こんなことを書くと、さぞかしケニア人の登山ガイドは筋骨隆々なんだろうと思ってしまいます。しかし、実際には一般的な日本人と比較して筋骨隆々かと言えばそうでもない。体格的には日本人と大差ありません。ただ、彼らは基礎体力と荷物を持ち歩けるだけの筋力を備えています。
日本の山で軽量化が実現できるのは、営業している山小屋が点在しているからだ、ということを認識しておくべきですね。
軽量化のために本質的からズレた行動に走らぬよう体力をつけよう
例えば、山小屋で水が入手できるからと言って、軽量化のためにギリギリの水分にまで削って行動するとしますよ。これってイケてないと思っています。何か起きたら?天気が急変して身動き取れなくなったらその水分で凌げる?
軽量化のためにこういう本質からズレた行動に至ってしまうことになります。リスクまで加味した最大限の水分を持って行くことが正しい行動になります。不要だったらそのリスクの懸念がなくなった時点で水を処分すればいいだけの話です。
たかが数百g分を軽量化するなら、その分の体力をつけた方が手っ取り早いです。その分の体力をつけよう!
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それでは。