単焦点レンズを中心に撮影している人物の目から見たM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mmF2.8 PROの利点。
12-40mm Proはどれほどの実力が備わっているレンズなのか?
FUJIFIMLの単焦点を使っている私の視点からご紹介したいと思います。
結論から言うと12-40mm Proレンズは、山の風景撮影において高い実力を発揮するレンズだなって感じました。
(もし、そうでなければ、記事になんかしないですね)
もくじ
12-40mm F2.8 PROとFUJIFILM単焦点レンズの組み合わせ
今回は妻のメイン行動用として新たに導入したオリンパスの M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、そしてFUJIFILM・Xマウント用の単焦点レンズ3本を持って新穂高から雲ノ平までソロ・テント泊装備で足を伸ばしてきました。
山に持ち込んだ機材です。
- LUMIX GX7
12-40mmF2.8 Pro(行動全般)
- FUJIFILM X-T2
サムヤン 12mmF2(星景/稜線の広い風景)
XF16mm F1.4(行動全般/小雨用のバックアップ)
XF90mm F2(山のオブジェ/岩肌/小屋/圧縮狙い)
X-T2と単焦点の組み合わせは純粋に撮影を楽しむため。
GX7と M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROの組み合わせは、ペンタックス・APS-C機の代表的な標準ズームレンズであるDA16-85mmとのクオリティを比較するために持ち出してみました。
今回はザックの左右にコットンキャリアを2つ装着して行きました。
普段はFUJIFILM X-T2をザックの左に、PENTAX K-3をタスキがけにして歩くことが多いのですが今回はソロなので妻用のコットンキャリアを拝借。
左右にCOTTON CARRIER(コットンキャリア)をつけて運用すると、どんな感じになるのか?という検証も兼ねています。
左のコットンキャリアにはX-T2とXF90mm。
右側にはGX7とED12-40mmを付けて行動していました。
この組み合わせはとても使い勝手が良かったです。
右側は小ぶりなGX7でしたので、右手で左側につけているX-T2を取り外して撮影体制に入るの際にも邪魔になりませんでした。
そんな具合に行動中のスナップ的撮影はED12-40mmをここぞ!という時にXF90mmで撮影するスタンスで今回の縦走に臨みました。
12-40mm F2.8 PROに秘められた可能性1:日中の撮影ならASP-C機・2400万画素に匹敵する解像度の絵を出す
12-40mm Proレンズで撮影して感じたこと。
それは M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROとGX7(1600万画素)の組み合わせは、ペンタックスのDA16-85mmとK-3(2400万画素)との組み合わせに匹敵する解像感がある絵を出すことです。
※LUMIX GX7の詳細についてはこちらの記事をご参照ください。
さて、比較対象にペンタックスのレンズを出してきましたが、もう一つの基準も付け加えましょう。
広角側のF5.6で撮影するのであれば、DA16-85mmは、FUJIFILMのXF16-55mmと同等の解像感がある絵を出すことも実地撮影をした検証からも確認しております。
では写真です!JPEG撮って出しで無加工です。
こちらは過去にペンタックスK-3とDA16-85mmで撮影したものです。
どうでしょうか?この通りパソコンやスマホの画面で見る限り遜色がありません。
12-40mm Proも、DA16-85mmも広角側(24mm換算)でパンフォーカスで撮影したものですが解像感という意味では”差”を感じません。
それどころか、センサーサイズの差や画素数の差すら感じませんね。
日中の風景撮影なら ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO はAPS-C機の上位クラスのレンズに匹敵するだけの能力を持ち合わせていると言えます。
ED 12-40mm F2.8 PROに秘められた可能性2:シャドウ部の粘り
これは夕方に樅沢岳(もみさわだけ)へ向かう途中に笠ヶ岳を撮影したものですが、シャドウ部が意外と粘っているんだなと感じました。
センサーサイズだけの話じゃないんですね。
同じく夕方に樅沢岳へ向かう稜線の途中から三俣山荘方面を撮影しました。
望遠側の撮影でも山肌のシャドウ部が潰れてません。
流石にPROレンズと謳うだけのことはあります。
ED 12-40mm F2.8 PROに秘められた可能性3:絞り開放F2.8で周辺部まで解像する
一般的な便利ズームレンズは、絞り開放で撮影すると周辺減光が生じたり周辺部が流れたりします。
しかしM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROの絞り開放F2.8で撮影すると周辺部までしっかとりと解像します。
僅かに周辺減光(左右の青空がちょっとだけ分かる)を感じる程度で、実用上は何ら問題ありません。
下の写真は、過去にペンタックスの高倍率ズームDA18-135mmの絞り開放F3.5で撮影したもの。
画像を見ると青空の周辺減光が目立ちます。次に画像の左下と右下の草っ原が流れていることが確認できます。
ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROは、日中でもシャッター速度を稼ぎたいシーン、例えば曇り空や日陰などで絞り開放から使えることが窺えます。
ED 12-40mm F2.8 PROに秘められた可能性4:接写ができるのでマクロレンズを持ち歩かなくてもお花撮影ができる
じっくりとお花撮影をしたい時はベースキャンプを拠点に周囲を散策しながらマクロレンズでじっくりと撮影したくなります。
しかし、縦走中はじっくりと撮影できる時間を取れないのですよね。
どちらかと言うと、歩く途中で目についた被写体を撮影していくスタイルになります。
マクロレンズを持ち歩いていても都度、交換していたら行動時間をロスしてしまいます。
12-40mm F2.8 PRO は接写ができます。
最短撮影距離は20cmです。
APS-C機のズームレンズは撮像面からこんなに接写はできないですよね。
DA16-85mmで35cm、XF16-55mmでも30cmまでしか近づけません。
いかに12-40mm Proの接写能力が高いことか。
下のチングルマの写真は、12-40mm Proで撮影した作例です。
広角側で接写ができるのはいいですね。
表現の幅がググッと広がりますよ。
それでいて望遠側でも接写ができるので、マクロレンズのようにお花を大きく写すことができます。
行動中に気兼ねなく接写ができるレンズを持っているということ。
それは画角だけでなく表現の幅が広がることを意味しています。
山で接写ができるのは正義です。
今回の山行で 、ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO は利便性も兼ね備えつつ表現の幅を広げてくれる要素も持ち合わせているレンズだなと感じました。
ED 12-40mm F2.8 PROは逆光にはあまり強くない印象
残念ながら対逆光耐性はあまり強くない印象を持ちました。
PROレンズ言えど完璧ではありません。
こちらは夕方に双六岳方面を撮影したものです。
ご覧の通り盛大にゴーストが発生しています。
フレアも発生しています。
ま、これはこれで味があったりするんですけどね。
動画に使いたくなっちゃう雰囲気です(笑)。
ED 12-40mm F2.8 PROで撮影した天の川
雲ノ平のテント場から天の川を撮影してみました。
撮影できないことはないのですがノイズ感がありますね。
マイクロフォーサーズ・センサーの高感度耐性の弱さに足を引っ張られている印象です。
日中の撮影はレンズの能力でAPS-Cセンサー機を覆すだけの実力を発揮するのに対し、星景撮影ではレンズの能力がセンサーサイズに負けていますね。
MFT(マイクロフォーサーズ 規格)で撮影するならAdobeのLightroomなどで編集処理をするのが前提となります。
望遠側が40mm(80mm相当)で短くないのか?
山岳風景の撮影では、ちょっと短いと感じることがあります。
やはり望遠側では不足するシーンもあり、同時運用していたX-T2とXF90mmで撮影することもありました。
比較写真を1枚だけ撮影してましたので載せます。
こちらは12-40mm PRO の望遠側である40mmで撮影したものです。
フルサイズ換算で80mm。
ほぼ同じ場所からXF90mm F2 R LM WRで撮影した写真がこちら。
フルサイズ換算で137mmです。
純粋に縦走がメインで歩きながら目に付いたものを撮影していくスタイルならフルサイズ換算で80mmという焦点距離でもそんなに問題にならないかなという気がします。
もうちょっと望遠側があればな、というシーンは数えるほどです。
ちなみに12-40mmの望遠側(40mm)で撮影したシーンは14.3%でした。
この中で更なる望遠側がどのくらい必要なのか?ということを考えれば十分な画角をカバーしているレンズだと言えます。
結論:ED 12-40mm F2.8 PROは機動性と描写力・汎用性が高く登山全般に対応できるオールマイティーなレンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO はこんな人に向いてるなと思いました。
- 軽快に広い範囲を動きつつも、オールマイティなシーンで撮影したい
- カメラ2台のうち1台を単焦点で運用したいけど、柔軟に対応できる画角と描写力も確保しつつなるべく軽量化したい
今回はカメラ2台、レンズを4本、三脚を持って歩きましたが、縦走を主な目的とするなら12-40mm Pro1本で十分に楽しめると思いました。
カメラ本体と1500〜1800枚撮影できる予備バッテリーを合わせても1kg程度の重量に抑えることが可能です。
さて、この12-40mm F2.8 PROは妻の専用機になりますので、私はK-3とDA16-85mmでの運用を存続していくつもりです。
しかしながら、12-40mm Pro レンズの利便性に心揺らいでいることもまた事実です。
DA16-85mmの望遠側の焦点距離(換算127mm)を除けば12-40mmにアドバンテージすら感じています。
※DA16-85mmは他の方に使っていただくことにしました。
既に多くのブログなどで語り尽くされている ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROレンズ。
今回は単焦点メインにシフトしつつもズームレンズも使ってきた私の視点でPROレンズに秘められた可能性をご紹介いたしました。
それでは。