FUJIFILM X-T2を導入してから1年が経ちました。昨年2018年はXシリーズの単焦点レンズと共に登山に行った年でした。
と同時にペンタックスのカメラに標準ズームレンズ(DA16-85mm)やマクロレンズ(D FA100mm Macro)を併用して歩いていました。ズームレンズの方はFUJIの単焦点レンズを使う機会が多くなり手放したのですが。
さて、FUJIFILMとペンタックスの2つを「山で」使う人は滅多にいないと思うので、実際に使っている私なりの視点で語ってみたいと思います。
以前にこんな趣旨の内容を書きました。
アウトドアフィールドで使うという前提で防滴仕様が必須と考えた場合、
- 利便性のズームレンズならペンタックス
- 表現力の多様性なら明るい単焦点レンズが揃っているFUJIFILM
- マクロ撮影ならペンタックス
- 広角で接写するならFUJIFILMのXF16mm
がそれぞれの強みだと思っています。今でもこの考えは変りません。
【登山で併用】利便性のPENTAXズーム。画質と表現力のFUJIFILM単焦点レンズ
前回の時点(FUJIFILMを導入して8ヶ月)では、ペンタックスとFUJIFILMそれぞれのレンズが持つ特色にフォーカスしましたが、今回は更に見えてきた部分があります。
今回の着目点は
・ボディの機能
・メーカーの在り方
です。
APS-C機に絞って話を進めますね。
もくじ
天の川の撮影ならFUJIFILM、天体撮影と比較明撮影ならペンタックス
1年間FUJIFILM機を使って感じていることは、天の川と前景にある風景を流さずに撮影したいなら間違いなくFUJIFILM機に軍配が上がるということです。
ペンタックスに対するFUJIFILMのアドバンテージは、サードパーティ品を含めたレンズのラインナップに明るい広角レンズがあることです。残念ながらペンタックスには、明るい広角単勝レンズがDA14mm F2.8以外ありません。
近々、DA★11-18mmF2.8ED DC AWが発売されるでしょうが、それでも天の川と景色を流さずに撮影することに関してはFUJIFILMが上を行くかなと考えています。
その理由はF値です。
FUJIFILMのXマウント用にはサムヤン12mm F2があります。絞り開放F2から使えるため露光時間をノイズが入らないISO感動で15秒程度の露光時間でシャッターを切って撮影することが可能です。
下の表は、露光時間30秒の時、ISO3200、絞りF2.8で適正露出を得られるという基準から算出したものです。
※スマホユーザーの方は表の上(見出しより下部分)をタッチして横方向にスクロールできます
レンズ | 星が流れない露出 (500のルールより) | 適正露光時間 (ISO6400) | 適正露光時間 (ISO3200) | 備考 |
---|---|---|---|---|
SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS | 28秒 | 8秒(f/2) | 13-15秒(f/2) | 絞り開放f/2から使える |
DA★11-18mmF2.8 | 29秒 (11mm) | 13-15秒(f/2.8) | 25-30秒(f/2.8) | KP以外の機種の高感度耐性を考えたらISO3200が現実的 |
XF 16mm F1.4 R WR | 20秒 | 13-15秒(f/2.8) | 13-15秒(f/2) | 星を撮影するなら実用絞り値はF2.8になる |
仮にDA★11-18mmを使った場合、ISO3200、露光時間が25-30秒で適正露出が得られます。広角側の11mm(換算17mm)で撮影した場合、500のルールより星を点像として撮影できる限界露光時間は29秒になりますが、それでも星は流れるんですよね。(KPならISO6400で15秒程度の露光でもイケるかもですが。)
サムヤン12mmを使った場合は、同じISO3200でも露光時間を15秒程度まで抑えられます。
露光時間が短く済むほど星を流さずに撮影できますよね。
この問題を解決するために、前景と天の川を個別に撮影したデータを合成する手法もありますが、絵を出すまでのプロセスが多くなってしまいます。なるべくなら少ないプロセスで絵を出したいと言うことを考えたら、撮影のみで完結しやすいFUJIFILMが有利であろうという考え方です。
ペンタックスの一眼レフ機はアストロトレーサーで星を追尾できますが、広角レンズや標準レンズを使って撮影すると風景が流れてしまいます。
そこでアストロトレーサーの本領を発揮できる場面が望遠レンズを使った天体撮影で星を追尾するかなと思っています。
もう一つ、ペンタックスには利点があります。それはインターバル撮影したデータをボディ内で比較明合成できちゃうことです。
例えばこのこの写真は3つの画角から選ぶ星景撮影用の広角レンズ。焦点距離別アプローチ法の記事で掲載したものですが、PENTAX K-3のボディ内で比較明合成をしています。
ボディでの設定画面です。
ですから撮影を終えた後、パソコンに向かってソフトを使って合成する手間が省けちゃうわけですよ。
APS-C機のボディではK-S2、K-3、K-3Ⅱ、K-70、KPに比較明合成ができる機能が実装されています。
ちなみにFUJIFILMのカメラにはボディ内比較明合成の機能はありません。
オールドレンズ使用時、適正露出をカメラに任せるならペンタックス、ピントをシビアに合わせるならFUJIFILM
ペンタックスのカメラは、オールドレンズを使う時に絞りリングの値に合わせた適正露出(ISO、シャッター)をカメラのグリーンボタンで自動で割り振ってくれます。これ便利なんですよ。
先ほどと同じ写真です。ライブビューの右上に丸いグリーンボタンがありますよね。動画と静止画の切り替えボタンの上です。これですよ。これを押すんです。
マニュアルで適正露出を追い込んでいくのもいいのですが、人と行動していたりすると、瞬時に適正露出を合わせられない時があります。グリーンボタンはそんな時に重宝しますね。
ピントをシビアに合わせるならFUJIFILM機です。EVFとLCDを使えるミラーレス一眼は、特定の被写体にピント面を合わせた時、ライブビューで拡大しながらピント合わせができるので便利です。
私はペンタックスのオールドレンズをFUJIFILM X-T2にK&Fのマウントアダプター(PK-FX)を噛ませて使っています。
作例を見たい方はこちらの記事もどうぞ。
故障率の低さならFUJIFILMか
残念ながらペンタックスはK-30、K-S2などのエンプラボディ系のカメラ(エントリー機ですね)で絞り制御不具合(通称:黒死病と揶揄されている)の報告がブログやツイッター、海外のフォーラムなどからあがっています。
こういう不具合をリコールせずに流通させている姿勢には疑問を感じておりました。ホント、アップグレードサービスとか素晴らしいことやってますけどもったいないです。
こういう不具合が起きて修理をしてもらい「神対応!」と崇める話も見聞きするのですが、そもそも不具合を大量に出して放置してはいけないし、仕方がないっか、と甘んじているユーザーにも原因があります。
多分ね、ペンタックス命!みたいな方は機材に対して否定要素があると庇護しようとするではないですか?ペンタックスもそういうのに甘んじてるのかなぁ。こういうのね、声を出して文句言わなきゃダメなんですよ。
FUJIFILMに関しては、ポップコーン現象やセンサー焼けの話はありますが、傾向性がある不具合の話は出てきませんね。やっぱり中身にかけているコストが全然違うのかなぁ、と思っています。
他人から「お!っ」という目で見られるのはFUJIFILM
後述しますがやはりFUJIFILMの方がブランド力があるのでしょう。ペンタックスとFUJIFILMのカメラをそれぞれ異なる個人が持っている場合、フルサイズ機をメインとしている方の目線からはFUJINONブランドの方がウケがいいですね。
一例ですがこんなことありました。
2人でそれぞれ異なるカメラを持ち歩いてる時に、ある特定の人から「カメラ何使ってるんですか?」と聞かれた時の反応です。
ペンタックスです。→そうですかぁ。
FUJIFILMです。→FUJINONですか!マニアックですねー!
と言う感じで反応が違うんですよ。同じ人物でも。まぁ、その人の好みもあるでしょうけど。
もう一つ。上高地など海外からもお客さんが来るような場所は多くの人たちがカメラを持ち歩いてますが、FUJIFILM機を持ち歩いている外国人(アジア、欧米)ってチラホラいるんですよね。残念ながらペンタックス機を持ち歩いている方は…..。
これまた別の場所での話ですが、お互いにFUJIFILM機を持っていることがキッカケとなり外国人の方とお話が弾んだこともありますしね。
もちろん、Pentax Forumsを見ての通り世界にはペンタックスユーザーがいます。
ペンタックスだって負けない分野があるのですけどねぇ。先に挙げた比較明撮影の機能や、アストロトレーサー、マクロレンズDFA100mmなどなど。
FUJIFILMの方が反応がいいというのは、やっぱりマーケティング力の差かなぁって思ってます。
マーケティングとブランド力は圧倒的にFUJIFILMが強い
資本力の問題かもしれませんが、FUJIFILMはワールドワイドな舞台でプロモーションビデオ作っています。外国人のフォトグラファーもバンバン使っていますよね。
例えば、X StoriesやYouTubeのFUJIFILMglobalです。
もう見ただけで買いたくなっちゃうような戦略を練っているんですよね。
動画の出し方なんか関心しちゃいます。新製品発売前からプロモ動画を小出しにして、発売と同時に作り込んでおいた動画を一気にバーン!と公開しちゃうんですよね。発売後も定期的に関連製品の動画をアップしますし。
じゃあ、ペンタックス(リコーイメージング)はそれができているのかと言うとできてませんよね。パンフレットとWebページのコンテンツ、それからFacebookのコラムがメインです。
そりゃ、ウケがいいのはFUJIだわって納得しちゃいます。
ペンタックスに期待をしていること
ペンタックス(リコーイメージング)が何をやりたいのかイマイチ伝わってきません。あれこれ手を出している感が拭えないのです。
得意分野(ボディ内手ぶれ補正を利用した星の追尾、GPS測定、光学式ファインダー)などの特徴を活かしてアウトドアフィールド、それも風景に特化したカメラを作ればいいと思うんですけどね。
ボディ内手振れ補正があるのですから明るいズームレンズはFUJIFILMよりも小型に作れるはずです。XF16-55mmやXF50-140mmとスターレンズのDA16-50mm、DA50-135mmを比較すると一目瞭然です。
これらのレンズをSDM故障のような不具合を頻発させない品質で刷新すべきです。もし実現できたらアウトトドアフィールドでAPS-C機を求めている人にとっては、強い味方になるでしょう。
加えて、古米者に迎合するのではなくもっとFUJIFILMを見習ってグローバルなマーケティングをやったらいいと思うんですけどね。つまり新規ユーザーの獲得ですよ。
世界中に一定のファンはいるわけだし、アウトドアフィールドを好む人は日本人よりも欧米人の方が多いですから。
FUJIFILMに期待をしていること
FUJIFIMの弱点はボディに対してF2.8クラスのズームレンズが大きいことです。物理的な大きさと防塵防滴仕様を天秤にかけた場合、同じクラスのズームレンズならマイクロドーサーズ機に分がありますよね。
FUJIFILMはミラーレス機の利点であるフランジバッグの短さを活かして、小型軽量な単焦点レンズを作るのが得意なはずです。
レンズの大口径化に走るのではなく、XF10mm F2.8や、XF12mm F2のようなレンズを防塵防滴仕様で作って欲しいなと思っています。
あとはバッテリーの持ちですよねー。現状では冬季に撮影をするとバッテリーグリップが必須なため、光学式の一眼レフと重量は大差ありません。
省電力化を図るか、バッテリーを同じサイズで容量アップなど1個のバッテリーで700枚くらい撮影できる技術革新を期待しています。
以上、1年間、FUJIFILMとPENTAXを併用してきて感じていることを書いてみました。
あなたは、今、使っているメーカーに対して何か感じていることはありますか?それともただ漠然と機材を使っていますか?
それでは。
使っていてこれはいい!と思っているレンズ
マクロレンズならペンタックスです。絞って使うとキレキレの絵を出す光学性能を有しています。このレンズは気に入っているのでマウントを噛ませてX-T2で使う時もあります。
いつでもどこでも必ず持ち歩くレンズ。防塵防滴仕様でストリート撮影から風景撮影、接写までなんでもこなすオールマイティな大口径広角レンズ。
ポートレート用レンズとしての趣が強いですが私は風景撮影で使っています。特に特定の被写体(岩や花)を引き立たせた風景撮影で威力を発揮します。