今年2021年の梅雨明け宣言の翌日に蓮華温泉から北アルプスの朝日岳(朝日小屋)へ行ってきました。
6年ぶりに行ったけどやっぱり良かった!
そんなお話を170枚の写真と共に書いてます。
コロナ禍になってからはテント泊でも予約が当たり前の時代になってきました。
個人的には天気を見て直前で判断してから行きたいなと思ってます。
そんな中でもテントの予約がなく、かつ、自分が行きたいなと思う山域もあるわけで。
当初はテント泊の予約が要らないな笠ヶ岳(絶景を見たい!)に行く予定だったんですけどね。
でも晴れるなら断然お花が豊富な朝日岳だよね、ということで予定を急遽変えました。
蓮華温泉INの朝日岳には盛夏の季節に3回行きました。
ここ好きなんですよね。
またね、盛夏の時期に行きたいと思っていたんですよ、ずーっと。
でもねタイミングが合わなくて今回は6年ぶりの再訪になっちゃいました。
ホント、行って良かったなって思ってます。
山の盛夏って短いし、この雰囲気を天気が安定した中で味わえるのって一瞬ですからね。
もくじ
前夜に蓮華温泉の駐車場へ
毎度のごとく頭を悩ませる蓮華温泉の駐車場問題。
シーズン真っ只中になると前夜入りしないと駐車場を確保できない。
(確保できなかった場合、もっと下の駐車場に泊めて1km程度歩いてくるしかない)
今回も前夜入りをし車中泊をした。
目隠しをし、マットを敷き、快適な室温になるように調整してもあまり熟睡ができない。
登山目的で駐車場にはひっきりなしに車が入ってくるためだ。
そんな感じで寝たんだか寝ないんだかよく分からない状況で朝を迎えた。
標高差で300mの下山をし瀬戸川出合へ
朝4:30、”下山”を開始する。
朝日岳に向かうためには先ずは標高を300m下げなければならない。
梅雨明け直後の爽やかな朝。
これから向かう朝日岳が五輪尾根越しに見える。
蓮華の森キャンプ場を過ぎるといよいよ下山が始まる。
整備された木道や階段を標高差で100mほど下ると兵馬ノ平という開けた湿原に出る。
朝の陽光が気持ちいい場所だ。
湿原らしくお花も咲いている。
兵馬ノ湿原を過ぎると本格的な山道の下山が始まる。
木の枝が多いので転ばないように気をつけて歩きたい。
ここが蓮華温泉⇄朝日岳の最低標高地点(1150m)となる瀬戸川出合だ。
瀬戸川を起点にようやく”登山”が始まる。
蓮華温泉を出て瀬戸川の橋を1時間で通過した。
ここで休憩を取ってもいいんだけど実はもっといい場所がある。
それが「白高地沢出合」だ。
白高地沢出合
瀬戸川出合を過ぎると登りが始まる。
ブナ林をトラバースしながらゆっくりと標高を上げて行く。
鬱蒼としていて暑苦しく見えるが、まだ5:30を過ぎたばかりなので気温がそれほど高くない。
思ったより快適に歩ける。
6:20頃、白高地沢出合の橋へ。
橋の上から朝日岳を撮影。
まだまだ距離があるなぁ。
逆方向を撮影。
足元には白高地沢が流れている。
橋を通過したら1回目の大休憩を取る。
ここの岩場、直射日光を遮ることができ、真っ平らなので座って飲み食いするのに丁度いいのだ。
目の前には白高地沢もあるので水の調達もできる。
ここで20分ほど休憩を取り体制を整えた。
- 水筒への水補給
- ザックのストラップの確認
- 靴紐の確認
- 日焼け止めの塗布
など。
水は逐次、入手できるので常時1Lだけ持っていれば問題ない。
これから”本格的な登山”が始まる。
カモシカ坂
急登が始まる。
標高差500mのカモシカ坂を登り五輪尾根へ向かう。
最初は樹林帯が続くが標高1600m付近で樹林帯を抜ける。
と同時に太陽も高くなってきて気温も上昇してくる時間帯に差し掛かる。
直射日光と急登で木道でバテてしまう人が少なくない。
やはり白高地沢出合で抜かりなく体制を整えておくべきだろう。
気持ちのいい風景。
五輪尾根へ続く木道と朝日岳。
大休憩を取った白高地沢出合の橋(黄色丸)、そして遠くには蓮華温泉(赤丸)が見える。
一旦、標高を下げて樹林帯を歩かなければならない理由が手に取るように分かる地形だ。
ここまで来ると五輪尾根は間近だ。
五輪尾根
五輪尾根に差し掛かると朝日岳が近くなってきたように感じる(まだ遠いけど)。
花園三角点の辺りまで来た。
雪渓の辺りにあるベンチで2回目の大休憩を取る。
時刻は8:05。
太陽の日差しも強くなり気温がどんどん上昇してきた。
ここでしっかりと休憩を取ろう。
五輪尾根には美味しい湧き水がある。
この木道を歩いて行くと…
冷蔵庫で冷やしたように冷たい湧き水が出ている。
ここの水はとても美味しいから水筒に水が残っていたら入れ替えたほうがいい。
天然の水。
ここで新鮮なものを食べようと思いミニトマトを持ってきた。
美味しい。
ゆっくりと過ごす。
ハクサンコザクラが咲いていたのでXF10-24mmを取り外しXF90mmへレンズ交換をして撮影することにした。
やっぱりお花の撮影は中望遠単焦点レンズがいいですなぁ。
20分ほど休憩をし歩き出す。
コースタイム的には五輪尾根は朝日小屋までの中間地点となる。
ここから先がハイライトと言ってもいい景観が続く。
ストーリ性がある物語のように景色が展開されていくのだ。
だから歩いていて面白みを感じるし飽きないのだ。
が、ここから先は疲労と直射日光による気温上昇でペースが遅くなる人が少なくない。
かく言う私もここで体の異変を感じた。
なんとなくペースが落ちてるような…
妻は調子が良いらしくテンポよく先に進んで行く。
景色に見惚れながらマイペースで歩く。
五輪尾根も終盤に差し掛かってきた。
足元には春が混在しているね。
五輪尾根を振り返る。
自分の影。
五輪の森
いよいよ五輪ノ森へ。
入り口には古い看板がある。
原生林の森へ突入する。
ここからは暫しの間、直射日光を遮られる。
所々で開けた場所から朝日岳が見える。
気持ちのいい森だな。
ここで体の異変が顕在化した。
歩く度に右の大腿四頭筋が痙攣を起こすようになったのだ。
脚が痙攣して痛い
稀に膝周りの大腿四頭筋がつることがある。
特に暑い中で長時間の行程を歩く時に多い印象だ。
一時は筋力不足かなと思ったこともあったけど現実的には考え難い。
山に行かない時は脚やヒップのトレーニングを行っている。
筋力向上を重視しダンベルを併用してのトレーニング(高重量のブルガリアンスクワット)。
そして筋持久力のトレーニング(自重のブルガリアンスクワット)も行っている。
一般的な週末ハイカーとしても筋力・筋持久力共に体力ピーク時の男性よりも高いと自他共に認めている。
山に行く頻度も少なくないので不慣れということも考え難い。
今回の脚が痙攣する現象はおそらく発汗によってミネラルが体外に出てしまったのが原因だろう。
なにしろ私は汗かきなのだ…
吹上のコル
やがて五輪ノ森を抜けると、脚の痛みすら吹き飛ばす光景が目に飛び込んでくる。
五輪山と長栂山の直下にあるカール地形には百花繚乱たる花々が咲き乱れるのだ。
朝日岳へ向かうハイライトと言っても過言ではない場所だ。
そう、盛夏にこの雰囲気を味わいたくて再び訪れたのだ。
脚は痛いけどれども…
真っ正面には朝日岳が迫ってきた。
ひたすらカール地形の木道を歩いて行く。
ここは春ですか?
蓮華温泉からは多くの人が白馬大池やその先にある白馬岳を目指す。
あえてコースタイムが長くて辛い五輪尾根を登って行く人は多くない。
しかしここはヘブンなのだ。
この季節のこの景色と雰囲気を味わえるチャンスは夏の数週間しかない。
価値が高いのだ。
左には雪倉岳が見える。
なんて素晴らしい景色なんだろうか。
このカールは夏らしい雰囲気の中に春を感じることができる不思議な場所だ。
本物は無理矢理作った映えるように見えるモノよりも映える。
登山道からカール地形を見下ろす。
濃厚な色合いのハクサンコザクラ。
タイムスリップしたいみたいだ。
雪解けの沢。
雪渓が溶けた場所では芽が育ち始めている。
9:50を少しまわった頃、3回目の休憩を取る。
妻は私のペースに遅いのが気になってた模様。
10分ほど休んでから再び歩き始めた。
五輪ノ森を過ぎてからはトラバースが続いていたが、ここから吹上のコルまで登りが始まる。
この山域はとにかく水が豊富なのだ。
リュウキンカが咲き乱れる。
この辺りで気付いたんだけど、脚の痙攣が収まりいつものペースで歩けるようになってた。
どうも登りだとこの症状が出ないみたい。
まだ誕生したばかりだね君は。
雪渓も渡る。
暑いけど春だ。
うわぁ、スゲェー!
今年2021年はコバイケソウが当たり年なそうで。
静かなヘブン。
さぁ、まだ先には雪渓歩きがあるぞ。
湧き出た小川に咲き乱れるリュウキンカ。
こっちも。
斜面にも。
さて、渡りますか。
チェーンのアイゼンを持って行ったけど使わなかった。
後ろを振り返ると歩いてきたトレイルが見える。
10:50頃、カールのトラバースから登り詰めて吹上のコルに到着。
ここは栂海新道へ向かう分岐点でもある。
雲の見える方角は朝日町だ。
吹上のコルから歩いてきた方角を見下ろす。
随分と遠くから歩いてきたもんだ(黄色丸は蓮華温泉)。
朝日岳
今回は朝日岳を経由し朝日小屋を目指す。
後ろを振り返ると五輪山、そしてその下にトレイルが見える。
本当、美しい場所だよな。
今回はニッコウキスゲが少なかった。
砂礫帯にも花が咲いてる。
ホント、地形の展開にストリーリー性があって楽しいコースだ。
少し朝日岳方面へ登って後ろを振り返る。
おー、あのなだらかな地形を歩いて栂海新道へ向かうのか。
真夏はクソ暑くてやりたくないけど秋なら歩きたいコースだ。
登りはあまり面白くない。
だって、荒涼としてるもの。
左手には旭岳、白馬岳、小蓮華岳、そして雪倉岳が見える。
最後に雪渓を登る。
ここが朝日岳の山頂。
時刻は11:40。
では、朝日小屋へ向かいますか。
ここからまた標高差で300mほど下る。
”下山”が多い登山だな。
でも今度は景色を見ながら下ることができるので飽きない。
雪渓を渡る。
この辺りで下る度に脚の痙攣が再発。
またもペースが落ちてしまう。
頼むから朝日小屋までもってくれ!
夏だな。
時折ガスったりして。
でも眼下に見える朝日小屋が映えたりもして。
気持ちがいい景色だぞ。
水谷のコルまで下ってきた。
斜面には水平道が見える。
ここまで来れば朝日小屋は目と鼻の先だ。
朝日小屋
後ろを振り返ると朝日岳と水平歩道が。
12:30到着。
脚にトラブルを抱えながらもなんとかコースタイム通りに到着。
とりあえずLOCUS GEARのクフを張る。
先ずはまったりしたいのでフライだけ設営。
シェルターの本体は後でフライを支えているストック(これも器具で支えている)から下げることにする。
ビール!ビール!
時折ガスったりして。
でも暑いからOK。
再び晴れたりもする。
目の前にチングルマが咲いていて幸せ。
お腹が空いたのでパスタを茹でることにする。
面倒なのでベンチに仮置きする。
小分けのオリーブオイル、持ってきた塩、カシューナッツ、青のり、パック入りのシーチキンを混ぜて食べる。
炭水化物、タンパク質、ミネラル、そしてカロリーを補給するのだ。
夏にしか見られない雲。
パスタの次は味噌汁タイム。
粉末の味噌、高野豆腐、わかめ、乾燥ネギを入れて、失った塩分と水分を補給する。
と同時にタンパク質も摂取するのだ。
XF90mmに付け替えてハクサンコザクラを撮影。
なんとなくチングルマと調理器具のコラボ。
MSRのドロメダリーバッグ。
生地が丈夫で折り畳める。
耐久性や可搬性に優れ必要な時に必要な水を保管できる優れもの。
詳しくはこちらの記事を読んでくだされ。
映えないやつw。
山では庶民的な光景を目の当たりにするのが当たり前なんだ。
去年2020年に北アルプスの最深部を周遊した際に高天原山荘で購入した手拭い。
テント場に設置されている水道でじゃぶじゃぶ洗ってから干してる。
やることないからこうして写真撮ってるw。
裏を返せばゆったりとした時間を過ごせているということ。
ビールもう1本。
SOTOのコンパクトバーナー「ウインドマスターSOD-310」。
風にも強く可搬性にも優れているので好んで持ち歩いてる。
詳しくはこちらの記事を読んでくださいな。
幽玄的な雰囲気を醸し出す岩。
夕日ヶ原方面はガスガス。
2回目のパスタ。
さっきとほとんど材料が変わらないんだけど今度はイワシのオイルサーディンを入れている。
そして食べている間に晴れてきた!
西日に輝くチングルマ。
ほら晴れた!
味噌汁も作ったので食べる。
いい感じになってきたなぁ。
時刻は18:00を少し過ぎた頃、気温も低下してきた。
テントも増えましたねー。
ちらほらと夕日ヶ原方面へ向かう人たち。
いよいよ夕日タイムかな。
日本海に沈む夕日
ということで私も夕日を眺めに来た。
後ろを振り返る。
沈み始めた太陽。
海面に照らされる光線が綺麗だ。
こういうのをSNS風に映える言うのだろうな。
太陽の光が朝日小屋の窓に照らされている。
かっこいいな。
何枚でも撮ってしまう。
朝日小屋の脇に移動して撮影。
夕日に照らされるテント場。
こうして19:00頃、最後の夕日を見納めした。
いい光景に出会えた。
良かった、とても。
帰路へ
翌日は5:40に出発した。
もちろん楽しみながら下山をするのだ。
バイバイ朝日小屋。
下界に見えるのは朝日町。
標高差300mを登り返し朝日岳へ向かう。
朝日岳より。
絶景だな。
ギラギラ。
昨日の夕方に朝日小屋で購入した鱒寿司。
冷凍してあったので朝になってから食べることにしたのだ。
とりあえず吹上のコルでいただきまーす!
また雪渓を歩く。
たおやかな山容の雪倉岳が見える。
五輪ノ森へ突入。
今日は脚の調子も絶好調。
飲み食いして寝たら完治した。
ゴゼンタチバナ。
五輪ノ森を抜けると眼科に広がる五輪尾根と花園三角点が見える。
またここで休憩。
ここはいい場所だよね。
天国だよ。
あー、ついに、ついにヘブンとお別れだ〜。
これからカモシカ坂に突入する。
暑そう。
白高地沢出合まで下りてきた。
時刻は10:40。
ここまで5時間かかったね。
ここから更に瀬戸川出合まで下りラストに標高差300m登り返さなければならない。
下山とはいえ、結構、体力を消耗している。
一旦、エネルギーを補給するために大休憩を取った。
白高地沢を渡る。
バイバイ朝日岳。
ブナ林へ入っていく。
瀬戸川。
ここから単調な登り返し。
つまらないので写真はほとんど撮ってない。
兵馬ノ平まで上がってきた。
なんか天気が怪しくなってきたな。
急げ、急げ。
でも歩くペースが伸びないんだよな。
汗だくだし、お腹空いてるし。
うん、雨にやられず済んだっぽい。
13:05、駐車場到着。
下山は7時間30分くらいかな。
あまり登りと変わらないね。
この後は蓮華温泉に入って汗を流しました。
スッキリしたわ。
ランチは蕎麦屋「蛍」でボリュームタップリの野菜の天麩羅
山の後は恒例のお蕎麦。
(プラントベース食を好むので肉は食べない)
ということで、向かったのが小谷村の蕎麦屋「蛍」。
雨飾山の登山口へ向かう道路の途中にあります。
お店の外はこんな感じ。
店内は落ち着いた様子。
お店の外は原風景!
セミの鳴き声が聞こえます。
焼き茄子、天ぷら(しかも野菜たっぷりでボリューム満点!)、蕎麦をオーダー。
ここの蕎麦屋、すご〜くお勧めです。
美味しい!
ボリューム満点!
落ち着く!
蓮華温泉や栂池方面から下山してきた人にオススメ。
- 蕎麦屋「蛍」のFacebookページ
メモ
- 最初に標高差300m下山、帰りのラストスパートで300m登り返しだということを心に留めておく
- 特に危険な場所はないがとにかく長丁場
- 水場は豊富なので常時1L持っていればOK
- 五輪尾根の水は昇天するほど旨いので是非とも水筒に入れ替えるべき
- コースタイムは8時間だが五輪尾根を過ぎた辺りから暑さでペースダウンすることを考慮して早出をすべき
- 発汗によるミネラル排出に注意
- 朝日小屋の鱒寿司は冷凍販売なので翌朝にならないと食べられない
- コースは全体的にストーリー性があって面白い
以上。
それでは。
撮影機材
五輪尾根からのメインレンズ。
五輪ノ森やテント場での撮影に使用。
休憩時やテント場でのお花や小物の撮影に使用。
でもあまり使いませんでした。
歩くのがメインだと広角レンズがメインになりますね。