この記事にたどり着いたあなたは、山で撮影していてレンズにちょっとだけ不満を感じているのではないでしょうか。
山では標準ズームレンズがいいよ、というのは事実ですが個人の趣向によっても必要なレンズって様々なんですよねー。
個人的には登山ではどこでどの焦点距離が必要なのか?をほぼ把握できてきたということもあり単焦点レンズの運用に切り替えてきました。
以前はフルサイズ換算15mm〜300mmまでの焦点距離を網羅したズームレンズを3本程度持ち歩いておりました。
現在はフルサイズ換算で18mm、24mm、75mm、137mmの単焦点レンズを中心に状況に応じて選んで撮影しています。
状況に応じて最適だと思うレンズを持ち出すようになりましたが、そのためには自身の思考を振り返ることが必要です。
もくじ
ステップ1:あなたが山に求めていることを知る
あなたは山に何を求めていますか?
あなた自身が山で見た何に対して幸せを感じてますか?
高山植物ですか?
もしそうなら、マクロレンズか接写ができるレンズが必要です。
綺麗な天の川?
もしそうなら、明るくてサジタルコマフレアが出現しない広角レンズが必要です。
歩くこと?
もし、そうなら便利なズームレンズがあるといいでしょう。
特定の場所で特定の被写体の様々な表情を狙うこと?
もし、そうなら迷わずに3本のレンズと三脚を持って行きましょう。広角ズーム、標準ズーム、望遠ズームです。
森歩きがメイン?
もし、そうなら明るい単焦点レンズがあるといいでしょう。
お友達や恋人を撮影したい?
それならAFが早い中望遠の単焦点レンズが必要でしょう。
という感じですよね。結局は。自分の趣向を知らないとレンズも選択できないってことです。
現実的には活動時間の大半を占める「山を歩くこと」を軸にレンズを決め、星景や高山植物を撮影するためのレンズはオプションで肉付けしていく感じになるでしょう。
ステップ2:活動時間の大半を占める「山を歩くこと」で使用したレンズの統計を集計する
「活動時間の大半」は登山口から樹林帯を抜け、稜線に出て縦走をする過程を指します。
そこで使用したレンズの統計を集計するんですよ。具体的には以下の2つです。
・焦点距離
・絞り値
撮影データのパラメータを一括で抽出するにはAdobe社のLightroomがあると便利です。
ステップ3:多用している焦点距離はどんなシーンで使っているのかを把握する
どこでどんな焦点距離を使っていますか?
登山口では?
35mm相当?それとも24mm?
樹林帯から見える隣の山の尾根を撮影する時は?
75mm相当?
足元の落ち葉は?
マクロレンズ?それとも近接撮影できる広角レンズ?
樹林帯を抜けて稜線に出るまでは?
望遠で遠くの山肌を切り取る?それとも広角レンズで彼方に伸びる稜線を切り取る?
テント場では?
標準レンズでテント場の様子を取る?それとも望遠レンズで遠くの山並みを狙う?それとも広角レンズで広大な風景を撮る?
ステップ4:どの絞り値で撮影しているのかを把握する
どの絞り値でどんな被写体を撮影していますか?
登山口の様子は?
標識はどうやって撮っている?
背景をボカしている?
足元に咲いているお花畑は?
ボケかしている?キリッとしている?
遠くに見える人物は?
明るいF値でボカしている?それともそれほど明るいF値は使ってない?
その時の天気や時間帯、場所、季節は?
もし、絞り開放で撮影する癖があるなら、大口径の単焦点レンズが必要かもしれません。
もし、それほど明るいF値で撮影してないなら単焦点レンズほど明るいレンズは不要です。その代わり便利なズームレンズがいいかもしれません。
以上です!
以降は私の経験則によるものです。機材はFUJIFILMを中心です。なお、個人の趣向によってレンズは異なるかもしれない、ということを念頭にご参考ください。
登山では換算15-36mmが60%の撮影を占める
これまでの登山の記録を見ているとある傾向に気付きます。それはフルサイズ換算で15-36mmで撮影しているシーンが全体の60%を占めているということです。
登山用のレンズとしては広角レンズは必須ですよね。
一番多くの撮影枚数を占めているのが稜線を歩いている時に撮影している写真なんですね。稜線を歩く時間は明るい時間が多いので、撮影時も絞ることが多いです。そのため明るい広角レンズは必ずしも必要ではありません。
例えばこんな広角ズームレンズを持つことです。
・XF10-24mmF4 R OIS
・LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0
どちらのレンズも15-36mm程度の画角をカバーしているレンズで、サイズ感も程よい大きさです。
或いは広角単焦点レンズ1本でもOKですね。15〜36mm相当の中で一番、多用している画角のレンズを使えば大抵の場合、事足りますからね。
私の場合はこれですね。
以降はオプションです。もし、星景撮影をするならサムヤン 12mm一択です。このレンズ以外、考えられません。それほど素晴らしい結果を叩き出してくれるレンズなんです。
登山では換算75mmまでが10%の撮影を占める
換算36mmから75mmは撮影ボリュームが少ないゾーンです。どこで使っているのかというと、樹林帯から見える山肌の撮影や山小屋ですね。
あまり使わない画角なので重要度は高くないんですね。つまり、標準ズームレンズでもカバーしている画角のことを指しています。
とは言え、たまにその10%のためにレンズが必要になったりするので、現実的な選択肢としては軽量な焦点レンズ1本持ち歩くことです。
使用頻度が低い画角なので、コストが安めのペンタックスのオールドレンズ(絞りリング付き)をFUJIFILM X-T2にマウントをかませて利用しています。
・smc M28mm F2.8(換算42mm)
・smc M50mm F1.7(換算75mm)
わざわざあまり使わない画角のために標準ズームレンズをいつも体に身につけて特定部位(コットンキャリアや肩)に負荷をかけるよりも、広角域と切り離して重量を分散するという考え方です。(ただし、荷物としての総重量は重くなる)
登山では換算130mmまでが20%の撮影を占める
換算75mmから130mmの撮影データはおおよそ20%を占めています。F4通しのレンズなら120mm相当までカバーしているレンズがありますよね。
もうちょっと欲しいな、ってのこがこの75〜120、130mmの画角なんですねー。いわゆる中望遠レンズってやつですね。
私は90mm(換算137mm)の単焦点レンズを使っています。
ここは望遠ズームレンズにするかどうか迷うところですが私は単焦点レンズにしました。
登山では換算300mmまでが10%を占める
真冬に遠くの山でも狙ったり、登山最中に雷鳥でも撮影する目的がなければ望遠レンズはほとんど使わない焦点距離ですね。
以前は2000円で購入した古い設計のレンズを使っていました。重量が300g程度でしたからザックに放り込んでおくには丁度いい大きさでした。
この残りの10%で撮影したデータを見返すと、明るい時間にしか撮影してないんですよ。ですからここは割り切って廉価品のF値が低いレンズでもいいかなと思わなくもないですね。
是非、ご自身の行動や振り返って思考を整理し、最適なレンズを探し出してみてはいいかがでしょうか。
それでは。