
FUJIFILMの純正エクステンションチューブMCEX-16を導入しました。
うん、なかなかいいじゃないか!
以前から感じていたことですが、登山の最中に歩きながらマクロ撮影するのは現実的ではないんですよね。
- マクロ撮影はピントの追い込みがシビア
- 三脚が必要になる時がある
- じっくりと腰を据えて撮影したい
という背景事情があり、目的が撮影ではなく登山の場合はマクロレンズを持っていてもそれほど使わないというのが実情です。
と改めて感じたのが、先日、白馬村の山麓から登った遠見尾根での撮影です。
この時はマクロレンズを持って行ったのですが、1枚の写真を撮るだけで何枚も撮り直しをして、まぁまぁ撮れたかなって感じだったんですね。
その1枚がペンタックスの等倍マクロレンズ「D FA MACRO 100mmF2.8 WR」で撮影したチングルマでした。
絞りはf/11、ISO800、シャッタースピードは1/500で手持ち撮影しました。

「D FA MACRO 100mmF2.8 WR」は下の写真のようにアダプターPK/DA-FXを噛ませて使っています。
このアダプターを使うと絞りリングがないPENTAXのレンズも手動で絞りを変えることができます。
但し、電子接点がないのでAFは効きません。
当然、マニュアルでピント合わせをしていくのですが、焦点距離が換算150mmと長めになるので、で少しでも風が吹くと撮影が大変なんですよね。
だから、じっくりと撮影をする時間が欲しい。
(以前は純正ボディのPENTAX K-3と組み合わせて使っていましたが、AFが迷うので、どの道マニュアルでピント合わせをしていた)
じゃあ、歩くのがメインの登山で毎回、じっくりと撮影をするのかと言うと現実的ではありませんよね。
歩きに充てる行動時間が制限されてしまいます。
同伴者がいれば相手を待たせてしまいます。
それでも、マクロ的な撮影をしたい。
歩きながら気軽に撮りたい。
そうです。
近接撮影ができる万能レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」のように(←普段は妻の専用機です)。
その要望を満たしてくれるアイテムがエクステンションチューブ(MCEX-16)でした。
汎用性が高いMCEX11という製品もあるのですが、最終的にはより近接撮影が実現できるMCEX16を手にしました。
もくじ
MCEX-16を購入する前に参考になった情報
MCEX-16の情報って少ないんですよね。
ファーストインプレッション的な内容でレビューしている情報はあるのですが、実際に外に持ち出してマクロレンズ的な位置付けで運用している情報が欲しかったんです。
そこで探したところ、この方の記事が参考になりました。
Macroの見出しの部分に作例が紹介されています。
Just for fun, I attached the MCEX-16 (the more powerful of Fujifilm’s macro extenders) to the lens and took it out for some macro shooting.
引用:Fujifilm XF 50mm ƒ/2 Macro
この方は
- ピントが合う範囲が狭くなる
- 被写界深度は浅くなるが(写し出された)結果は素晴らしい
- MCEX-16をXF56mmとの組み合わせで使うよりもシャープに写る
と率直な意見を記事で紹介しております。
あまり情報がないだけに、私も参考にさせていただきました。
荷物を少なくし手軽に撮影するためのアイテムという視点で考えたらMCEX-16(重量67g!)なら登山でスナップ感覚でお花や植物の近接撮影できるだろうと感じたわけです。
で、実際に購入してみました。
ケースは付属しないので小さめのジップロックに入れて持ち歩くといいかも。

電子接点があるのでXFレンズとの組み合わせで、近接撮影の範囲内でAFが効きます。

コンパクトです。

MCEX16は単体で67gです。
XF50mm(フードやキャップを含む)と組みわせた重量は約290gです。

こんなにコンパクトなら登山最中に「ちょっとだけマクロ撮影したいな」という心の声を解決してくれますよ。
価格は8000円台です。
MCEX16、見ての通りコンパクトなアイテムで、マクロレンズを別途持ち歩かなくてもいいという利点があります。
一方で欠点もありますので最初に触れておきますね。
(MCEX16の欠点を理解したうえで、運用すれば登山の撮影バリエーションを増やす強力な見方になるということを言いたい)
MCEX-16の欠点
エクステンションチューブ「MCEX-16」は手持ちのXFレンズをマクロ化するためのアイテムです。
マクロ撮影をガチでやるなら、やはりマクロレンズに軍配が上がります。
今回、MCEX-16に限らず、エクステンションチューブでの運用で欠点に感じたことを羅列しておきますね。
レンズからMCEX16を取り外す作業が面倒

一度、MCEX-16をレンズに付けてしまうと取り外すのが面倒になってしまいます。
レンズ交換するときって、1回だけの脱着作業で済みますが、エクステンションチューブを噛ませていると、
- カメラ本体からレンズ(MCEX-16を装着させたやつ)を取り外す作業
- レンズからMCEX-16を取り外す作業
- MCEX-16を収納する作業
の3段階のプロセスが必要になります。
なので、
- MCEX-16を使うときは、その日に付けっぱなしのレンズを予め決めておく
と幸せになれます。
じゃあ、そのレンズは何なのか?と言うとXF50mmなんです(後で説明しますね)。
MCEX-16を付けると遠景撮影ができなくなる
MCEX-16を付けると近接撮影はできるようになりますが、遠景の撮影ができなくなります。
先ほどと同じ理由で、
- MCEX-16を使うときは、その日に付けっぱなしのレンズを予め決めておく
という運用にするのが一番です。
裏を返せば、その日はMCEX-16を付けたレンズでは遠景撮影はしないということです。
(やろうと思えばできますが、MCEX-16の脱着が面倒なので)
スナップ感覚でマクロ撮影をするならMCEX-16 + XF50mmF2 R WR がいいと思う
エクステンションチューブ「MCEX-16」は多くのXFレンズと組み合わせて使えます。
数あるレンズの中でも外でマクロ撮影をスナップ感覚でするならXF50mmF2 R WR がベストマッチだなと思います。
特に被写体との距離感と最大撮影倍率のバランスがとてもいいんですよ。
MCEX-16をXF50mmにつけると…
- 最大撮影倍率が 0.15倍 → 0.5倍
- ワーキングディスタンス(※1)が 31cm → 10.6cm
- 最短撮影距離(※2)が 39cm → 20cm
(※1)レンズの先端(前玉)から被写体までの最短距離
(※2)センサーから被写体までの最短距離
にパワーアップします!
その上で利点があるんですね。
- XF50mmがコンパクトなのでザックやポーチに忍ばせておける
- MCEX16と合わせて重量が290g(レンズキャップ、フード含む)と軽量
- 被写体にビッタリと近接せずともハーフマクロとして撮影できる
- 近接撮影の範囲でAFが効く!
AFは近接撮影の範囲でしか効かなくなりますが実用面では不便を感じません。
なにしろ、ジーコジーコとAFが迷うレンズで鍛えられましたから(笑)。
X-T3のジョイスティック(X-T2にもあります)で、シングルポイントを使ってピントを追い込めます。
作例
作例を載せましょう。
場所は先日、訪れた火打山です。
すべてXF50mmとMCEX-16の組み合わせで手持ち撮影しました。
レタッチはしておらずJPEG撮って出しの写真です。
カメラはカラークロームエフェクトを使いたかったのでX-T3を使っています。




ブナの森が生茂る登山で朝の時間帯に撮影したもの。
手ぶれ防止のため、シャッタースピードを1/250に固定して撮影しました。






いかがでしょうか。
XF50mmにMCEX-16を噛ませただけで、これだけの写真が撮れます。
作例を見てお気づきになりましたでしょうか?
基本的に絞りf/8で撮影している写真ばかりですよね。
近接撮影しているので、これだけ絞っても背景はボケてくれます。
絞り開放f/2で撮ると、ふわふわな絵になっちゃいます。

ということで、エクステンションチューブ「MCEX-16」を使う時は、絞りf/8前後で撮影するとキリッとした絵を得られます。
XF50mmと組み合わせて手持ち撮影をするなら
- 絞りf/8
- シャッタースピードは1/250以上
- ISO感度は自動で許容範囲は6400まで
の設定でシャッターを切ると、いい結果が得られます。
他のXFレンズとの組み合わせはどうなのか?
MCEX-16は他のXFレンズと組み合わせて使えます。
ここでは、XF23mmF2とXF90mmの組み合わせを紹介します。
MCEX-16 + XF23mmF2 R WR
- 最大撮影倍率が 0.13倍 → 0.9倍
- ワーキングディスタンスが 15cm → 1.7cm
- 最短撮影距離が 22cm → 10cm
になります。
確かに等倍マクロレンズと言ってもいいほどなのですが欠点も。
ワーキングディスタンスが1.7cmなので、XF23mmのの前玉を被写体にくっ付けるくらい近づくことになります。

確かに撮影倍率が0.9倍になるので等倍マクロと言ってもいいくらいなのですが・・・。
自分の影が写ってしまうので被写体がカメラの影で暗くなっちゃいます。
撮影しようと意気込んで、お花畑に足を踏み入れて生態を壊してしまうかもしれません。
ということで、XF23mmとMCEX16を登山で組みわせて使うのは非現実的かな。
それと被写体にググッと近づけるレンズにはXF16mmF1.4 R WRとういう名玉があります。
このレンズ、ワーキングディスタンスが約6cm(最短撮影距離は15cm)でも「近っ!」と感じるくらいなので、十分だと思いますね。

MCEX-16 + XF90mm F2 R LM WR
- 最大撮影倍率が 0.2倍 → 0.4倍
- ワーキングディスタンスが 約48cm → 28cm
- 最短撮影距離が 60cm → 約42cm
になります。
XF90mmとの組み合わせも、なかなか使い勝手がいいですよ。

XF50mmほど大きく写せませんが、28cmのワーキングディスタンスを取れるのでお花畑を踏み荒らさずにハーフマクロっぽい撮影ができますよね。

火打山へ行く稜線に咲いていたハクサンコザクラ。


火打山の山頂で食べたブルーベリー。

折角なので、XF50mmとの比較もしてみましょう。
どちらもAFが合う限界まで近づいて撮影しています。
- 左:MCEX16+XF90mm(ワーキングディスタンス = 28cm)
- 右:MCEX16+XF50mm(ワーキングディスタンス = 10.6cm)
こっちも同じく、左がXF90mm+MCEX+16、右がXF50mm+MCEX16です。
(ア、キャップにゴミが….掃除しなくちゃ!)
いかがでしょうか。
ワーキングディスタンスの違いによりXF50mmの方が大きく撮影できますね。
少しだけワーキングディスタンスが欲しい場合にXF90mmとMCEX-16を組み合わせたらいいのではないかと思いました。
ただ、この使い方だとXF90mmの本来の力を損なってしまうような気がします。
XF90mmは
- 周囲の雰囲気を写し出し、目的の被写体を浮き立たせる
ことを得意とするレンズなので、ここはXF90mm単体撮影でもいいんじゃないかなと思っています。
XF90mm単体でもこれだけ撮れますからね。


以上です。
お花がある山域を歩く登山に行くなら
- XF16mmF1.4 R WR で広角マクロ撮影
- XF90mm F2 R LM WR で雰囲気を切り取りお花を浮き立たせる撮影
- XF50mmF2R WR + MCEX-16でマクロ(ハーフ)撮影
- ワーキキングディスタンスがある程度、欲しい時はXF90mm+MCEX-16
という組み合わせだと幸せになれます
(なお、この運用はボディ2台でやってます)
それでは。