今、自分が持っているカメラとレンズに不満を抱いている人って少なくないのではないかと思います。特にAPS-C機やMFT機を使っている人に多いのではないでしょうか。
でも撮影スタンスによっては、今お持ちのカメラとレンズでもいいかもしれないよ、というお話です。
もくじ
スタンス1:星を点像として撮影したい
星を点像として撮影したい、には2種類のアプローチがあります。
アプローチ① 星と景色を両方、ブレなく撮影する
シャッタースピードを稼げる広角レンズ(明るいレンズ)、高感度に強いカメラ(フルサイズ機の低画素機)が必要です。
ただ、カメラ愛好者の皆がフルサイズ機が欲しいわけではありません。
・三脚などの備品を含めたシステムが物理的に大きくなってしまう
・初期コストが高い
などの理由が考えれます。
特に限りある時間内で縦走メインの登山をしようとする人にとっては、システムの大型化は避けたいと考える人も多いでしょう。そんな中でも夜には星撮りをしたいと考える人も多いですよね。
そこでAPS-C機やマイクロフォーサーズ機を持ち歩く人が出てくるわけですが、ここで壁にぶつかってしまいます。センサーサイズによる高感度耐性と明るいレンズの組み合わせです。
詳しくはAPS-C機で星を撮るカメラとレンズのベストな組み合わせをご一読頂ければと思います。
結論を言うと、実用ISO感度が6400、F2.8以下のフルサイズ換算24mm以下のレンズがあれば、星と景色をブレなく撮影することを実現できます。
APS-C機について言うと、1600万画素時代から2400万画素も時代に突入しました。高画素化によりPENTAXのK3などは高感度耐性が弱くなってしまいました。ところが最近はセンサーだけでなく画像処理エンジンで高感度耐性が上乗せされてきていますね。
代表例の機種をあげると
PENTAX KP(実用感度 ISO6400-8000です。国内外のソース情報参考)
FUJFILM X-H1、X-T2、X-Pro2、X-T20
X-T2を使っている感覚から言えばISO6400なら星撮りの常用感度としては問題ありません。
もし、許容できる常用感度がISO1600程度のカメラ(まさしくPENTAX K-3がそんな感じ)でF3.5やF4のレンズをお使いだったら、ノイズが入ることを前提にISO感度を3200や6400まで上げて撮影し、Adobe Lightroomでノイズ除去編集をする方法があります。
例えば下の写真PENTAX K-3を以下の設定で撮影したものをLightroomで編集したものです。月明かりがある中での撮影なのでISO感度は2500で済んでいます。ソフトを使えば何とかなる一例ですね。
焦点距離:10mm(フルサイズだと15mm相当)
絞り:F4
シャッター速度:20秒
ISO感度:2500
アプローチ② 風景は流れてもいいから、星を点像として撮影する
不満があるレンズのF値って大体は広角側でF3.5、あるいは超広角ズームでF4というレンズですよね。なぜかって?それは星を撮影するには暗いし、かと言ってカメラのISO感度を高くしちゃうとノイズだらけになっちゃうからですよね。
風景は流れてもいいという前提条件があれば、高感度耐性に強いカメラ、明るいレンズは不要です。今お持ちのカメラとキットレンズでも十分です。Lightroomでノイズ除去をする作業も不要です。
もし、実用ISO感度が1600のカメラ、F4のレンズで適正露出を得るなら最低でも2分ほどの露光時間が必要になります。詳しくは広角だけじゃないんだ。中望遠レンズで星景撮影に挑戦してみたらうまくいったの中程に書いてますのでご参考下さい。
この2分間の間にも星が流れてしまいます。そこで、星を追尾する機材、或いは星を追尾する機能を搭載したカメラが必要になります。
例えば、ビクセン(Vixen)のポラリエですね。
ただ、重量が重いです。本体に電池を入れた状態だと800gあります。登山で使う人なら重量が重くなっても最初から明るいレンズと高感度耐性に強いカメラを買った方が良くないか?とも思います。
もう一つの解決策はPENTAXの機材を使うことです。PENTAXには赤道儀なしでも星を追尾できるアストロレーサーを搭載しているカメラがあります。搭載機種は今のところ、フルサイズ機2モデル、APS-C機1モデルだけです。
また、アストロレーサーが内蔵されなくても、ホットシューに外付けすることもできます。私はK-3のホットシュー外付けのアストロレーサー(GPSユニット O-GPS1 )をつけて使っていました。
アストロレーサーで星を追尾するとこんな感じで写ります。天の川は追尾できていますが、周辺部の星と下の景色は流れてしまいます。私はこれがイヤで星を追尾しないで明るいレンズを使い点像撮影をする方法を採用しています。
スタンス2:星を流してスタートレイルを作りたい
いわゆるぐるぐる系の星景写真で出てくる絵です。星の流れを表現する手法ですね。こちらも明るいレンズ、高感度に強いカメラは不要です。
アプローチ③ インターバル撮影をして比較明合成をすることでスタートレイルを作る
詳しくは下記の記事に書いたのですが、簡単に言うと一定間隔で撮影した写真を重ね合わせて合成する手法です。この方法の利点は撮影の設定に失敗してもすぐに設定し直して取り直しができることです。バルブ撮影だと一発勝負ですからね。
キットレンズでOK。STAR TRAIL(スタートレイル)を簡単に撮影する方法
アプローチ④ バルブ撮影で長時間露光をすることでスタートレイルを作る
一番簡単な撮影方法です。
500ルールの記事でも触れたのですが、新月の夜に適正露出を得るための適正基準値は、
フルサイズで15mm(APS-Cなら10mm)、F2.8、ISO3200、シャッター30秒
となります。
シャッター30秒というのは正確に言うと、500のルールに当てはめた場合、 500/15mm = 33.3秒 ≒ 30秒ということです。この3.3秒のズレですが露光時間が長くなるほどブレ幅が大きくなり精度が低くなります。ですので、露光時間を長くする時はこの3.3秒を端折らずに計算します。
上記を基準に考えると、F5.6、ISO400で撮影すると適正露出時間は1056秒になります。実際に同じ設定で撮影したこの写真(無加工です)の実際の露光時間は1341秒でした。まぁ、ここまで露光時間が長くなると3、4分くらい露光時間が変わっても大差はないですね。
以上、4つのアプローチ方法でした。
まとめると、
星を点像として撮影し景色を流したくなければ、高感度耐性に強いカメラと明るいレンズが必要。
星を点像として撮影し、景色を流してもいいなら高感度耐性に強いカメラと明るめレンズは不要。ただし星を追尾する必要がある。
星を流すなら、100枚程度インターバル撮影をして1枚の画像に重ね合わせるか、バルブ撮影をする。バルブ撮影をするなら明るいレンズも高感度耐性に強いカメラも不要。
以上です。
それでは。