「F2.8の大口径レンズは重いし価格も高い!今手持ちのF4のレンズで何とか星撮りを楽しめないものか?」と悩んでいる方へ。
ちょっと上の写真、見て下さい。
中古で3万円で購入したシグマの10-20mm F4-5.6 EX DC レンズです。
ペンタックス K-3のボディと組み合わせて使ってました。
このようなF4の超広角レンズでも星景写真はカッコよく撮れるんですよ。
もくじ
F4のレンズは星を点像で撮れなくても流し撮りができる
「月刊星ナビ」を見ていると入賞している作品はNikonとCanonの独擅場だと感じます。
入賞作品を見ていると超広角・大口径レンズのオンパレードです。
フルサイズ機が大前提のレンズですね。
例えば下の3つです。
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(Nikon)
AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED (Nikon)
星を点像として撮影することに関しては、APS-C機用にラインナップされているレンズだとフルサイズ機に太刀打ちが難しいと感じます。(例外もありますが…)。
APS-C機のレンズの場合、星が点像で写るシャッター速度じゃ暗いです。
ISO感度を高くするとノイズが入ってしまいます。
しかし、APS-C機が唯一フルサイズ機に太刀打ちできるシーンがあります。
それは星の流し撮りです。
これならフルサイズ機のF2.8クラスのの明るいレンズにも対抗できます。
流し撮りは露光時間を長くすることで星の流れを表現する手法。
この手法を採用することでレンズの明るさに依存しない撮影が可能になります。ISO感度を高くしなくても露光時間の長さで明るさを確保できます。
超広角レンズの作例は後ほどご紹介しますが、長時間露光による撮影の一例を載せましょう。
下の写真は28mm(フルサイズで42mm相当)のオールドレンズで撮影したものです。インターバル撮影のデータを合成したものではなく長時間露光です。
露光時間は約24分、ISO感度は100です。Lightroomで露出や色を補正しています。
長時間露光には一つだけ欠点があります。
長時間露光をするとノイズが入ります。
そのため長時間ノイズリダクションをかけると、シャッターを開けた時間分だけリダクションをかけるのでその間は撮影ができません。
もしやるのであれば、ノイズが入ってもいいので撮影だけしておいて、帰宅してからLightroomなどのソフトでノイズ除去をした方が時間的にもストレスを抱えなくて済みます。
F4の超広角レンズなら比較明合成(コンポジット)をするとことで星の日周運動を表現できる
F4のレンズでもインターバル撮影をすることで比較明合成(コンポジット)をすることにより、星の軌跡(日周運動=スタートレイル)を表現できます。
星を点像で撮影するのに不利なら、流しちゃえ!というスタンスですね。
最近のカメラにはインターバル撮影機能がついています。
一定間隔で指定した枚数だけ写真を撮影し続けるという機能です。
例えば、光学式一眼レフタイプのPENTAX K-3 では2,000枚、ミラーレス一眼 のFUJIFILM X-T2も999枚の枚数指定または♾で撮影が可能です。
後継機種としてPENTAX KPやFUJIFIM X-T3が出ていますがインターバル撮影を目的にするなら1世代前の機種でも十分です。
1〜2世代前のボディは価格も安くなっていますのでお買い得です。
何ならバッテリーだけ新調してボデイだけ中古で購入するのもアリですよ。
あるいはアウトレット品が出るの待ってみるのも1つの手です。
K-3やX-T2で撮影した数百枚の写真を重ね合わせて行くと、星の軌跡を描いた写真を作れます。
感覚的には100枚程度の素材があればカッコいい合成写真が出来上がります。
下の写真は冒頭でも触れたシグマの超広角ズームレンズ 10-20mm F4-5.6 EX DCで撮影したものです。
F4、シャッター速度20秒、ISO感度3200で撮影。
30秒ごとに撮影した100枚のデータを合成するとこんな感じです。
上の写真の例では50分かけて100枚撮影しています。
この間に星は12.5度動いています。
それでも軌跡がハッキリと写っていますね。
分かりやすいように30秒のシャッター速度で1分ごとに100枚撮影した場合を考えて見ましょう。
撮影時間は1時間40分かかります。
この間に星は25度動きます。
計算してみましょう。
地球1週は360度
1時間に星が動く角度 = 360度 / 24時間 = 15度
20分間に星が動く角度 = 5度
よって、100枚の写真データがあれば25度分だけ動いた星の軌跡を表現できます。
ここで必要なのは三脚と無限遠が出るレンズです。
ズームレンズには無限遠の目盛りがないものがあります。
そのためピント合わせに苦労することがあります。
無限遠の目盛りがついていればズームレンズでも対応できますが、可能であれば単焦点の広角レンズがいいですね。
ペンタックスのD16-85mmやDA18-135mmなどのズームレンズは無限遠出しが非常に手こずります。
無限遠マークがないからです。
とういうことで単焦点レンズの方が星景撮影に向いてるというわけですね。
例えばペンタックスには換算22mm相当の広角単焦点レンズDA15mmF4があります。
FUJIFILMなら広角でも小ぶりで明るいレンズが揃っています。
サードパーティー品になりますがサムヤンの12mm F2は260gと軽量 なレンズがあります。
純正では歪みが少ないと折り紙付きのXF14mmF2.8 Rがありますね。
ちなみにK-3で200枚撮影して合成した作例の記事も書いてますので読んでみてくださいね。
アストロトレーサーを使えば星を追尾して星を点像として撮影できる
星を追尾する方法もあります。
PENTAXは星を追尾するアストロトレーサーというGPS付き機能のアクセサリー(O-GPS1)があります。
これを使うと星を点像として撮ることが可能です。
ちなみにPENTAX K-3IIとK-1には標準でこの機能が付いているので、アストロトレーサーは購入しなくても星の追尾撮影ができます。
間違ってアストロトレーサーを購入してしまわないようにご注意を。
アストロトレーサーは、最大で5分間までバルブ撮影をしながら星を追尾できます。
F4で30秒のシャッター速度、ISO3200で撮影していた設定を2分間の追尾でISO感度800まで落とせます。
こちらの写真はシグマの超広角ズームレンズ 10-20mm F4-5.6 EX DCで焦点距離10mm(フルサイズ換算15mm)、絞りF4で300秒の間、星を追尾した写真です。
ISO感度は1600です。
夏に時期にアストロトレーサーがあるとこのような絵を作れますね。
ただアストロレーサーで星を追尾すると風景が流れてしまうんですよね。
ここを許容できるかどうかですね。
望遠レンズで天体系を狙うとアストロトレーサーの本呂を発揮できる
リコーイメージングが各都市で主催している「PENTAX K-1&レンズ スペシャルセミナー」の説明会で、アストロトレーサーを用いた作例に天体撮影の作例を強調していました。
この説明を聞いてアストロトレーサーは基本的に望遠で使うものなんだ、と理解しました。
天体撮影だと周囲の風景は入らないので星の追尾に専念できますもんね。
天体系を望遠レンズで狙うなら通称サンヨン:DA300mm F4がアストロトレーサーと相性がいいですね。
レンズ自体も1kgちょっとで、撮影自体も負担にもなりません。
参考
- APS-C機で星景写真を撮る一眼カメラと広角レンズのベストな組み合わせ
- 星を点像として撮影したい。焦点距離から適正露出を算出する500ルールとは?
- 月明かりの力を借りて残雪の立山連峰をバックに切り取るスタートレイル(比較明撮影)
- 野辺山で星景撮影。X-T2とK-3でインターバル撮影をした比較明合成を比べてみた
それでは。