当記事は2018年の8月に新穂高から雲ノ平まで4日間かけてテント泊装備と撮影機材を持って周遊してきたときの話です。
今回は
- カメラ2台
- レンズ4本
- 三脚
などを抱えてテント泊装備で足を伸ばしてみました。
本来であれば軽量化できる部分もありますが、あえて持って行きました。
8月の第1週目ということもあり、暑さ度合いMAXです。
この季節をずらして入られる方は私より比較的、楽な条件で行けると思います。
もくじ
市営新穂高第3駐車場は金曜日の朝に行くも満車。鍋平登山者専用駐車場へ
悪名高い新穂高の混雑ぶり。
週末の朝に到着しようものなら登山口から一番近い駐車場(市営新穂高第3駐車場)に空きがあるのは奇跡と言っていいでしょう。
それもそのはず、新穂高は名だたる山へのゲート的な場所でもあります。
西穂高岳、槍ヶ岳、穂高岳、笠ヶ岳などなど。
上高地みたいにバスなどの公共交通機関の時間に依存しなくてもいいという事情もあり深夜からひっきりなしに車が入ってきます。
あわよくば登山口に近い新穂高へ前夜入りし車中泊をしてから登山をしよう、なんて考えている方も少なくないはず。
しかし、現時的にはまともな睡眠は取れないものです。
車が入ってくるし。
そんな浅い睡眠で登山をするくらいなら少しでもまとまった睡眠を自宅の布団で取ってからいいと考えています。
何故ならば、睡眠不足の打撃が時間を追うごとに顕著に表面化するからです。
そんな理由で前夜はまとまった睡眠を3〜4時間取り深夜入りせずに朝の6時20分に現地入りをしました。
つまり車中泊での睡眠部分を布団での睡眠にすり替えた形になります。
平日の朝(金)くらいなら空いてるだろう、というのは甘かったですね。
満車の看板が掲げられ係員さんも立っておられました。
そして鍋平の駐車場へ行くように促されるわけです。
駐車率は80%といった具合。
鍋平から新穂高までは登山道を下って30分かかります。
荷物が多いとこの無駄な時間が堪えますね。
下山したらまた鍋平まで登って戻って来なくちゃならないですから。
鍋平から新穂高へ向けて歩き始めたのが6時50分。
新穂高まで下って登山届けを出して歩き始めたのが7時30分。
このスタート時間は何を意味するのか?
一番日差しが強い時間帯に日差しを遮る場所がない場所を歩くということです。
前泊の車中泊による睡眠不足でパフォーマンスが低下するのを取るのか?
暑い時間帯に歩くことによるパフォーマンスをどれだけ維持できるのか?
の二者択一の選択でもあります。
辛い….
肝となるのは初日の小池新道。ここで時間配分を失敗すると翌日の行動に影響が出てしまう
夏山の登山で一番辛いのは登りです。
秋ならサクサク行ける場所も夏の暑さには勝てないときが多々あります。
本来出せる力が全く出せない。
体が重い。
辛い。
今回、私がハマったスパイラルです。
登山で一番の肝となるのは初日の登りです。
いくら林道で時間を稼いでも登りで簡単に覆ってしまいます。
登りでのパフォーマンスの発揮具合がその後の行動範囲を決めます。
レバレッジをかけるべきは初日の登りです。
ここでいかにバテずに効率良く動けるかが鍵となります。
その鍵を握るのがグリコーゲン、そして体脂肪燃焼への転換です。
実は体のグリコーゲンレベルを高めておこうと目論み、前夜に全粒粉パスタを多めに体に入れておいたのですが、まったくエネルギー転換がうまくいきませんでした。
とは言え、行動すればエネルギーを消費するわけですし何かを摂取しなければなりません。
暑くてパンやオニギリを食べたいなんて気分にはなりません。
こんな時はエネルギーゼリーが絶大な効果を発揮します。
即エネルギーに変わりますし小口で摂取できます。
1パックでおにぎり1個分のカロリーを摂取できます。
今回は直射日光の影響をさほど受けずに済む林道途中の「わさび小屋」でアンパンを1個食べました。
そして小池新道の秩父沢出合、シシウドヶ原でinゼリー エネルギー を2回に分けて1個を摂取しました。
それでも暑さでバテていることには変わりありません。
想像以上にエネルギーの消費が早く脂肪燃焼への移行もうまくいってない感じでした。
脂肪燃焼へ移行できるかどうかでパフォーマンスがまるで違います。
結局、鏡池山荘で一旦、食べ物を入れることにしました。
汗で塩分も抜けていたのでラーメンを注文することにしました。
私は普段なら肉は食べませんが登山中はやむを得ないとして入れることもあります。
というか山小屋にベジタリアン専用のランチなんてありませんし…。
スープも全部飲むことにしています。
抜けた塩分を補給するためです。
なんやかんやで稜線(弓折乗越)に出たのが14時10分。
新穂高を出発してからここまで6時間40分かかっています。
休憩を挟んでいるとは言え、普段の私のペースから考えたら遅めのペースです。
本来のパフォーマンスを発揮できてない状態です。
実はこのルート、2週間前にも三俣山荘まで小屋泊装備で妻と歩いています。
その時の記事が中望遠単焦点レンズの話なんですけどね。
その時のタイムは新穂高から弓折乗越まで5時間20分でした。
休憩時間も同じような感じで取っているんですよね。
コースタイムに差が出たのは林道を過ぎた小池新道の登りです。
ここの登りだけで前回とは1時間以上の差が出ています。
今回の登山では、荷物の重量は多少はありますが、パフォーマンスが発揮できればここまで差が出るなんてことはありません。
が、稜線に出ちゃえばこっちものです。
初日の稜線登りまで乗り切ってしまえばトレッキングを楽しむことができます。
花見平のお花畑に出るもチングルマが綿毛に変わっていた
山の季節の進行はとても早いなと改めて実感しましたね。
2週間前(7月の3周目)までは咲いていたコバイケイソウが消えちゃってるんですからね。
チングルマも大半が綿毛に変わっていました。
ただ、雪渓の解けた辺りにはまだフレッシュなチングルマが生き残っていました。
私の好きな花なのですよ。
このチングルマはオリンパスのZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROと初代GX7で撮影したものです。
日中の撮影ならAPS-C機と何ら遜色がない絵が撮れます。
今回のような縦走ではこういう小ぶりなシステムがいいのかもしれませんね。
大人気の双六のテント場(1泊目)
こうして1時間の稜線歩きをして双六小屋のテント場に着くわけですが….15:30という時間のせいかもしれませんが、平日なのに結構テントが張ってるあるんですわ。
ちなみこちら↓は2週間前の土曜日。
12時30分頃です。
ガラガラです….。
この時の印象があったので今回の混雑ぶりに辟易しました。
双六のテント場のロケーションは、なかなかいいのですが混雑だけが頂けない。
煩いんですよね。
人の話し声が。
特に夜にやられると迷惑です。
日本人って個人だといい人が多いと感じるけど、内輪の仲間が集まった途端、周囲のことには目をくれない人が多いような気がします。
お金払って泊まっている以上、マナーは守るべきでしょう。
とまぁ、気にしていても仕方がないので食事を摂ります。
味気のない食事です。
秋口の登山でベースキャンプ型の登山をするなら鍋の具材を持ち込んでまったりと過ごしたいところ。
今回の目的は撮影縦走なので食べ物は妥協しています。
気休めですが、マルタイラーメンには乾燥した野菜や海藻、それから高野豆腐を入れています。
分量は2人前のラーメンです。
具材も合わせて約30gのタンパク質を摂取しています。
調理は軽量コンパクトなSOTOウインドマスター を使いました。
このバーナーはとても重宝していますよ。
夕方から樅沢岳に行ってZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROとGX7で撮影を楽しんでくる
双六小屋のテント場をベースにするメリットは、槍ヶ岳に当たる夕方の残照を見れることです。
これらの写真はZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROで撮影しています。
ホント、コンパクトでいて描写力が担保されていて使い勝手がいいレンズです。
1日目の天の川を撮る
あとはテント場に行って寝るのみ。
うたた寝を1時間半ほどしてから外を見ると天の川が上がってましたね。
時刻は21時50分頃。
寝る前にX-T2にセットしておいたサムヤン12mmを三脚にセットして撮影しました。
改めて思うのです。
やっぱりサムヤン 12mm F2は天の川の撮影に向いたレンズだなって。
この天の川の撮影で使ったものです。
後の2日間も好天に恵まれ、サムヤン 12mmで天の川を撮影することになります。
ミッドナイト登山を楽しみながら三俣蓮華岳へ
私がソロで行動するときは、1時台に起きて2時台から動くことが多いですね。
その理由は2つあります。
- 満点の星空の下、稜線歩きをしたい
- 日中の気温上昇が始まる前に動いておきたい
からです。
1時台にムクリとテントの中で起きて中でアルファ米を食べました。
お湯を入れるだけなので手軽です。
ここでもSOTOウインドマスター が大活躍です。
食事が済んだらテントの完全撤収まで20分もあれば十分です。
前夜に荷物をパッキングしやすいように荷物を仕分けし、テントの空きスペースに置いておきます。
FUJIFILM X-T2にXF16mmF1.4 R WRを付け換え、ザックのコットンキャリアに装着し、深夜の2時30分に双六小屋のテント場を出発。
双六小屋ではスタッフが朝食の準備に取り掛かっていました。
満点の星空の中、双六岳へ向かいます。
夜風が気持ちいいんですよ。
稜線に出たらManfrottoのBefree カーボンファイバーを取り出して誰もいない双六岳を撮影しました。
この三脚の重量は僅か1.1kgです。
縦走中ですからこの程度の重量に収まってくれるのはありがたいですね。
そして、 XF16mmF1.4 R WRで撮影した写真がこちらです。
月明かりのおかげでISO1600、絞りはf/2、露光時間は10秒で撮影できました。
絞り開放F1.4だとサジタルコマフレが目立ちますが、F2くらいまで絞ると改善されます。
双六岳のピークでは槍ヶ岳方面の撮影をしてみました。
双六岳から見る槍ヶ岳は朝の景色よりも午後の時間帯が好きですね。
双六岳は撮影メインで来てもいいかなと思う場所の1つです。
カメラ1台、ズーム1本、XF16mmとXF90mmでじっくりと光の移ろいを狙いたいです。
今回は縦走がメインなので1枚だけ撮影してスルーしました。
三俣蓮華岳へ向かっているうちに明るくなってきました。
ここからメインの撮影をLUMIX GX7とED12-40mmの撮影に切り替えます。
X-T2のレンズはXF90mmに付け替えてザック左のコットンキャリアへ装着。
ザックから取り出したGX7とED12-40mmをザック右のコットンキャリアへ装着して歩きます。
撮影しながら歩いているとペースって遅くなるものですが、三俣蓮華岳の山頂までは時間的にも予想通りに歩いてくることができました。
黒部源流からの登り返しで暑さバテ
2週間前に泊まった三俣山荘から少し離れた登山道を通過し、黒部源流まで下って行きます。
黒部源流の谷底まで下ったら岩苔乗越へ登り返しをします。
ここで異変に気付きます。
撮影しながら歩いているとはいえ、いつもよりも全くペースが上がりません。
時間的には7時をちょっとまわったくらいなのですが、完全に暑さでやられています。
前日の弓折乗越までの暑さバテのダメージがここで出てきてしまった感があります。
せめての救いは黒部源流には美味しくて冷たい湧き水。
この水が美味しいのでついつい飲んじゃいます。
結局、コースタイム50分の登りを1時間20分かかってしまいました。
普段の私なら考えれらないことですが、これが精一杯なのだから仕方がない。
登り返してきた黒部源流を振り返る。
こうして見るときつい傾斜などないのですが、周囲が山と灌木帯に囲まれているため風もほとんど吹かず熱が滞留します。
そのため直射日光が出る時間帯になるとジワジワと体力を奪っていきます。
単純に登るという行為だけを比較するな三俣山荘から鷲羽岳に登ったほうが体感的には楽ですね。
そよ風が吹きますからね。
祖父岳から雲ノ平への道はちょっとだけ厄介
岩苔乗越から祖父岳を経て雲ノ平へ向かうわけですが、祖父岳分岐からの登山道が意外と厄介なのです。
一見、歩き易そうな道ではあるんですけどね。
こんな感じの道を歩かねばならんのです。
ザックにくくりつけているマットは引っ掛かるわ、足場は悪いわという感じで少しだけストレスを抱えながら歩かねばなりませぬ。
雲ノ平のテント場まであと10分というところで急性の腹痛に襲われ動けなくなる
これまでに歩いていて突然、お腹が痛くなったことが3回あります。
いずれもお腹を下しているパターンで登山道から外れた場所で用を足しました。内、2回は標高4500m以上の高地です。
この時も水分を多く摂取していました。
やはり今回も同じパターンでした。
原因はおそらく水の飲み過ぎ。
黒部源流の冷たい水が美味しくてついつい飲み過ぎてしまったのがいけなかったのかなと。
汗が大量に出てましたから。
さすがに雲ノ平は展望がいいですから、おいそれとその辺りで用を足すことは困難を極めます。
まぁ、本当に緊急だったらハイマツの奥にでも入ってでもやるしかないのですがね。
携帯トイレの必要性をひしひしと感じました。
動くと本当にマズい状況だったので、岩場でザックを下ろして30分近く横になりました。
幸いにもそよ風と、遠くに見える高天原山荘が少しだけこの苦しい状況を救ってくれました。
とりあえずXF90mmで引き寄せて撮影。
こうして気を紛らすわけです。
しかし、耐えていても何も変わることはありません。
とりあえず動けそうなので何とか雲ノ平のテント場にあるトイレへたどり着くことだけを考えます。
長いんですよね。
耐えている時って。
究極に危ないと思われる局面が何度か襲ってきて冷や汗をかきながらテント場へ向かうわけです。
何とか間に合いました。
お世辞にも綺麗なトイレとは言い難いですが感謝。
(あまりにも余裕がなかったので後で撮影)
ところで、用を足した後どうしてますかね?
私は用を足したら最後にウェットティッシュでも拭いてます。
残るのはイヤですからね。
そんな感じでようやく落ち着き写真撮影に専念できる余裕が出ました。
単焦点レンズを持って夏の終わりが近い雲ノ平を散策する(2泊目)
手始めにテントの受付を済ませるために雲ノ平山荘へ向かいます。
散策も兼ねていますので持っていく荷物を厳選します。
ザック左右のコットンキャリアからカメラを取り外し、散策用にネックストラップを付けます。
GX7/12-40mmにネックストラップ、X-T2/XF90mmにNinja Strapをセットアップしました。
そしてグレゴリーの大型ザック、バルトロの雨蓋を取り外してヒップバッグにし、レインウェア、サムヤン 12mm、XF16mm、貴重品を入れます。
木道がよく整備されていますね。
雲ノ平では盛夏も終わりを告げるチングルマの綿毛の群生が至るところに見られました。
まだ少しだけフレッシュなチングルマも残っていました。
雲ノ平山荘が近づいてきました。
雲ノ平山荘でテントの受付を済ませ、中に入って台湾風チキンライスをランチとしてオーダーしました。
ま、普段は肉は食べないんですけどね。
とりあえずこれでタンパク質の補給はOKです。
続いて一番絞りの500mlを飲んで外で休憩。
雲ノ平山荘をあとにします。
携帯の電波が入るという丘に上がります。
au系のLTEもバリバリ電波が入りましたよ。
丘から下ってきます。
祖母岳は以前に来ているので今回はパス。
ゆっくりとテント場へ戻ります。
相変わらずチングルマの綿毛ばかり目立ちます。
超広角レンズでも絞り解放で撮ると背景はこのくらいボケます。
SAMYANG 12mm F2.0で撮影しました。
盛夏の季節はあっという間に過ぎてしまいます。
とても希少価値が高い季節です。
夏の登山は暑いです。
歩いている身としては我慢大会の側面があります。
夏の終わりが近づくと、嬉しいような悲しいような複雑な気分になります。
テント場へ戻ったらやることはありません。
食べて寝るだけです。
この日は乾燥トマトと早茹でができるマ・マー 早ゆで2分スパゲティを混ぜて食べました。
で、やっぱり夜は天の川の撮影をしてしまいます。
時間は20時35分。
この時期は天の川が早く上がってきますね。
天の川の撮影は前日同様の機材を使用しました。
雲ノ平は山小屋に泊まるといいかなと感じた
さて、雲ノ平にテント泊したわけですが…。
気持ちのいい場所か、と問われると微妙な場所でもあります。
以前に泊まった際にも同じ感情を抱いているので間違いありません。
水は豊富で悪くないんですけどね。
すり鉢上のお椀の内側にいるようなものですから展望は黒部五郎岳が見えるのみです。
ただ、テント場から歩いて5分も行けば雲ノ平の台地に出ます。
やはり本当の気持ち良さはそちら側にあります。
ですので、ここはテント泊よりも雲ノ平のど真ん中にある山荘に宿泊することをオススメしたいですね。
私も2泊目は山荘に泊まろうと考えたのですが、小屋番の方から翌日はもっと人が増えるとのお話を伺って断念しました。
どら焼きは消費期限が長い。夏山縦走の行動食にどうぞ
雲ノ平山荘への宿泊を断念した時点で翌日のテント撤収も確定しました。
起床して行動食を摂ります。
持ってきたどら焼きを2個ほど胃袋に放り込みます。
こんな感じのやつです。
どら焼きの利点は消費期限までの期間が長いことです。
具体的には3週間ほどです。
その理由は油脂類、特に生クリーム系の素材を使ってないことです。
3泊以上の夏山縦走をやるには普通の菓子パンでは消費期限が短か過ぎます。
もう一つどら焼きの利点があります。
それはあんこを使っているため、アンパン同様にたんぱく質の補給をしやすいことです。
山に入ると炭水化物ばかりでたんぱく質の摂取が疎かになりがちです。
そんな時にどら焼きが役立ちます。
注意点は温度差から生じる結露によるどら焼きの湿気です。
ここだけはどら焼きを小分けにするなど工夫するといいでしょう。
日中だと暑過ぎてどら焼きを食べる気にはなれませんので朝の早い時間に食べておきます。
日中の行動食は塩気のある山小屋の食事か、inゼリー のような流動食に切り替えます。
チングルマの宝庫、日本庭園は楽しいぞ!
4時40分に雲ノ平のテント場をあとにしました。
向かうは日本庭園方面。
前日同様、GX7とED12-40mm、X-T2とXF90mmをそれぞれザックに取り付けてあるコットンキャリアに装着して歩きました。
ひたすら木道を歩きます。
岩苔乗越から高天ヶ原へ向かう谷間ですね。
夏の終わりが近いです。
本当に日本の夏山は短い!
行ける時に行かないと!
5時30分、祖父岳への分岐へきました。
前日は岩苔乗越からやってきました。
日本庭園がある矢印方向へ歩を進めます。
最近はXF90mmF2 R LM WRを好んで使っています。
換算137mmですが個人的にはとても使いやすい画角だと思っています。
こういう絵を見るたびににこのレンズを購入して良かったなと思います。
日本庭園へ入る直前でGX7の予備バッテリーが切れてしまいました。
ここまでは相棒(妻)の登山用に新規導入したオリンパスのZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROの特性を探る検証も兼ねて撮影してきました。
ここでザックを下ろしてX-T2につけていたXF90mmをXF16mmへ交換します。ここからはXF16mmでの撮影がメインになります。
日本庭園はチングルマの宝庫です。
あと2週間早く来ていれば咲き乱れるチングルマの群生が見れたのにな….。
季節はあなたの都合を待ってくれません。
自分から合わせていかないと出会えない景色があります。
そのためには日々の生活を厳かにしてはなりません。
日本庭園の一部にはまだチングルマが咲いていました。
F値を16まで絞って黒部五郎岳に輪郭も際立たせてみました。
XF16mmの利点は広角レンズでありながら接写ができることです。
被写体に迫って背景の様子を伝えたいような時に使いたいレンズですね。
画角的な自由度は低いですが、表現力の自由度はピカイチですよ。
本当に登山に1本しかレンズを持って行けないなら迷わずXF16mm F1.4 R WRを持っていきます。
なぜならば…
- 画像周辺部まで解像する安定した描写力がある
- 接写ができるのでマクロレンズの代わりになる
- F2.8まで絞れば星景撮影もこなす
- 防塵防滴なのでエクストリームな環境に対応できる
から。
XF16mm F1.4 WRは画角で表現する自由度は低いけど多様なシーンで表現力を発揮できるレンズだと言えます。
接写ができるので、こんなの撮って遊んだり….
こんなマークを撮ったりするので….さっぱり前に足が進みません。
楽しかった日本庭園も終わりが近づいてきました。
黒部源流の谷を挟んで三俣山荘が見えてきました。
黒部源流は世界でも屈指の美しさを誇る谷だ
黒部源流へ下ります。ここの谷は美しいですよ。
こんな風景を収めないわけにはいきません。
16mm(換算24mm)では狭い感じがするので、・サムヤン 12mm F2へ交換します。
そしてカシャっ!
黒部源流から三俣山荘までの景色です。
この界隈には何度も足を運んでいますが世界でも屈指のロケーションだと実感しています。
4大陸のトレイルを歩いてきた視点からそう感じています。
再びXF16mmに付け替えて黒部源流の谷底へ来ました。ええですなぁ。
三俣山荘方面へ登り返しに差し掛かるのですがここの道がまた綺麗なんですよね。
楽園過ぎです。
鷲羽岳からの湧き水で形成された小川の水音がとても気持ちいいです。
3泊目は三俣のテント場へ泊まることにした
雲ノ平から三俣までは3時間の距離ですが4時間かかりました。
そりゃ、楽しい場所が沢山ありますから予定通りには事が進みません(笑)。
雲ノ平のテント場を出発するまで3泊目をどこにするか迷っていました。
双六岳まで戻って夕焼けの槍ヶ岳を狙うか、黒部五郎小舎まで行きテントを張った後に黒部五郎岳のカールを散策するか、三俣でじっくりと過ごすか。
三俣のテント場に荷物を下ろし休憩しながら考えていましたが、三俣でじっくりと過ごすことにしました。
やはりここが好きなんでしょうね。
この山行の2週間前にも三俣山荘に1泊2日で来ていますが、もう少しここらでじっくり過ごしたいと思っていました。
(ちなみにその時のブログはレンズの話が中心ですがこちらになります)
テントを張ったら腹拵えです。
三俣山荘でカレーライスをオーダー。
やはり肉が入ってました。基本、ベジタリアン寄りの生活をしていますが山では仕方がない。
きちんと作り込んでる感じで美味しかったです。
いつもならコーヒーも持ち歩くのですが、今回は軽量化を意識していたので嗜好品は省きました。
しかし口が寂しいのでサイフォンコーヒーをオーダーしました。
めっちゃ美味しいですよ!
おかげで午前中の優雅なひと時を過ごしせました。
鷲羽岳をじっくりと3時間30分かけて堪能してみた
登山する時ってコースタイムにとらわれてしまう人って少なくないと思います。
手持ち時間でどれだけ広い範囲を行動できるのかを誇示して満足してる方もいます。
本当にそれで楽しいの??
じっくりと時間をかけて景色を堪能するものいいですよ。
日本人はせかせかし過ぎな人が多いような気がします。
山に来てまで…
12時頃からゆっくりと鷲羽岳へ登ります。
急がない。
心地良いそよ風を浴びながら景色を楽しむ。
黒部源流を挟んで日本庭園、奥に黒部五郎岳が見えます。
鷲羽岳を登ると地形を俯瞰できますね。
今度はクラシッククロームで撮影。
鷲羽岳の山頂です。
これで3回目の登頂です。
ワリモ岳へ続く稜線。
三俣のテント場。
三俣山荘方面へ下山する人たち。
鷲羽池には下ったことがないので行ってみたのですが、途中からハイマツが登山道にはみ出していて引き返しました。
つまり面倒なだけです。
ゆっくりと下山をします。
日差しはそれなりにあったのですが、そよ風があったおかげで快適に歩けました。
テン場にずっと居たら暑かっただろうな。
15時30分に三俣山荘に戻って来ました。
あとはゆっくりするのみ。
素敵な時間だ。
夜までテント場でゆっくりと過ごす醍醐味
テント泊の醍醐味は自分の世界に浸れることです。
ただ飲み食いして風景を眺める。
最高じゃないですか。
夕食の準備に取り掛かります。
翌日は新穂高の鍋平駐車場まで戻らなければなりませんので、エネルギーを多めに摂取することにしました。
とにかく炭水化物を多めに入れておきました。
実はこの食べ方は帰路の際、エネルギーを持続してくれる役割を果たしてくれました。
食べたもの。
- どら焼き3個
- マルタイラーメン2人前
- アルファ米
この日もSOTOのウインドマスターが大活躍。
別売りの4本ゴトク(SOD-460)を使っています。
ガス缶は非純正品を使ってますけど。
寒冷地じゃないから、ま、いっかというノリです。
ご心配な方は純正品のガス缶があります。
水入れはMSRの容器が便利です。
MSRのドロムライトバッグを紛失してしまったので新たに購入しました。
(なーにやってんだか….)
こいつがないと困るというくらい使い勝手のいいものです。
今度はドロメダリーバッグというやつです。
プラティパスよりも全然、丈夫ですよ。
こんな風に岩の上に置けます。
折り畳めますし。
割れるなんてことないし。
さて、3日目の夜がやってきました!
天の川を撮るに決まってるでしょ。
このためにサムヤン12mmと三脚を持ち歩いてるようなものですからね。
自分のテントも入れてカシャリと。
今回の山行の天の川の撮影は全てこれらの機材を使用しました。
帰路は月夜の稜線をソロハイク楽しむ
三俣のテント場から新穂高を過ぎ鍋平へ戻るまでの話です。
帰路では行動食を徹底的に制限をしました。
そのために前夜に炭水化物を多めに摂取しておいたのです。
下記のブログでも触れた通り月夜の稜線歩きを楽しんできました。
新月の天の川だけじゃない!満月の日を知って山の上で神秘的な稜線歩きを楽しんでみよう
私も今年は満月の稜線を散歩したいな。
X-T2につけていたサムヤン12mmをXF16mmに付け替えて行動を開始です。
午前1時30分に三俣のテント場を出発。
いつもこの界隈に行くとこの時間に経つことが多いですね。
理由は星空の稜線歩きをしたいからです。
三俣蓮華岳に山頂まで行くと一気に展望が開けます。
誰もいない稜線。
気温は11℃。
程よく風が吹いています。
そんな中で三脚を立てて槍ヶ岳方面を撮影しました。
下弦の半月で月明かりがありましたが、うっすらと天の川も見えました。XF16mm F1.4R WRで撮影していますが、このレンズもF2.8まで絞れば星景撮影に使えます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
朝の斜光を浴びながら下山道をひたすら歩く
星空と半月の月明かりの稜線歩きを楽しみ、帰路は双六岳には登らず中道から双六小屋まで行きました。
あとはひたすら下山に徹するのみです。
朝5時20分、西鎌尾根から太陽が昇ってきました。
私は日中に歩く稜線よりも早朝の斜光を浴びて歩く稜線が好きです。
稜線ともお別れをする時がやってきました。
鏡平を過ぎ、小池新道を下り、新穂高に着いたのが9時50分です。
三俣のテント場から8時間20分掛かりました。
写真を撮り休憩をしながらの行動なので妥当なところではないでしょうか。
ちなみに過去の最短記録は6時間です。
雨風に晒され衣類を濡らしてしまったからです。
低体温症になるのを回避するため、ほぼノンストップで歩きました。
装備は今回と同じくらいの重量でした。
さて、新穂高まで来たらもう一仕事あります。
それは鍋平の駐車場まで戻らなければならないということです。
とても面倒なんですよね。
登山を終えた後にもうひと登りしなきゃならないんですから。
こんなクソ暑い場所を汗だくになって歩きます….。
歩くこと40分、ようやく駐車場につきました。
これで9時間の下山が終わりです。
時刻は10時30分でした。
帰路の9時間で摂取した行動食はinゼリーとカロリーメイトのみだった
下山は登りほどエネルギーを使わないので、むやみに行動食を摂取するのを控えました。
この間に摂取した行動食はinゼリー 1個とカロリーメイト(プレーン味)を2本だけです。
盛夏の登山ではこのくらいのやり方が丁度いいです。
前日に炭水化物を多めに入れてるので問題なく体が動きます。
涼しい時間帯にエネルギーを蓄えるやり方ですね。
行動食はちょっとづつ糖質を摂取して皮下脂肪の燃焼の起爆剤にする目的で摂取しました。
結果、脂肪燃焼への移行がうまくいきバテることなく歩けました。
さて、登山の最後の最後でエネルギーをもう一度摂取します。
温泉に入るので空腹の状態を避けるためです。
ランチはお風呂後に摂りたいですよね。
今回の縦走撮影は、体力、テント泊スキル、リスクマネージメントの集大成とも言える山行だった
これまでに何度も何度もこんな感じの縦走をやってきましたが、今回のようにカメラ2台、レンズ4本を持ち込むのは初めてです。
1泊2日のテント泊ではよくやるんですけどね。
本来であれば縦走がメインですのでここまでの機材は不要です。
カメラ1台、広角と標準画角のレンズがあれば事足ります。
例えば、2017年の裏銀座縦走ではカメラ1台、標準ズーム1本、標準画角の単焦点レンズ1本で行きました。
しかし、あえて機材を持ち込んでみました。
それはソロで行動しているから自分のペースで歩けるという事情も手伝っています。
今回の山行を通じて、登山のスタイルによって持って行くべき機材は選定すべきだなと実感しました。
持ち歩いた撮影機材
カメラ:LUMIX GX7(初代)
前半戦の行動用レンズ:M.ZUIKO ED 12-40mmF2.8PRO
カメラ:X-T2
星撮り用レンズ:サムヤン12mm
後半戦の行動用レンズ: XF16mmF1.4 R WR
山のオブジェ、遠景の切り取り専用レンズ:XF90mmF2 R LM WR
星景撮影専用の三脚:Befree
おしまい。
それでは。