雪景色でしか見られない風景があります。
それはピンク色に染まるモルゲンロート(朝焼け)です。
中でも比較的行きやすい山が残雪期の燕岳です。
モルゲンロートを狙うのに美味しいであろう季節は、登山口である中房温泉までの道路が開通する4月後半から5月上旬です。
その理由は1泊2日あれば燕山荘まで行き撮影を楽しんで下山まで完結できる日程を組めるからです。
今回は私が過去にGWの燕岳を登ってモルゲンロートを見に行った時の装備や注意点も含めてご紹介しますね。
もくじ
モルゲンロートのオススメなスポットはズバリ合戦尾根の最後の方
アルプスに染まるモルゲンロートを見るなら合戦尾根の最後のほうです。
その理由は稜線が立体的に見えるからです。
なぜでしょうか?
燕山荘から大天井岳へ向かう稜線からチョコンと頭を出している槍ヶ岳とその稜線の地形に染まるモルゲンロートが実に美しいからです。
さて、この時間帯を狙って行くにはどうしたいいのでしょうか?
モルゲンロートを見る2つのアプローチ
東京の5月の1週目の日の出は4:45〜4:50頃。
槍ヶ岳方面の山が染まり出す時間は5:00〜5:10頃になります。
撮影を考えるなら4:30頃にはスタンバイしておきたいところです。
後述しますが、日の出時間は「太陽・月・星のこよみ」があると把握しやすいですよ。
モルゲンロートを見るためのアプローチの仕方は2通りあります。
一つは燕山荘に1泊してから翌朝に狙う方法です。
もう一つはモルゲンロートが始まる時間帯に合戦尾根に着くように歩く方法です。
私はモルゲンロート に合わせて合戦尾根に着くように歩く方法を選択しました。
燕山荘に1泊してから翌朝にモルゲンロートを狙う
1日目は日中に登山をし翌朝にじっくりとモルゲンロートを狙う方法です。
残雪期ならゆっくりと歩いたとしても中房温泉から5時間も見ておけば燕山荘に行けるでしょう。
残雪期で無風・快晴なら初夏のような陽気で歩けてしまいます。
一方で厳冬期の気候が入り混じる複雑な季節でもあります。
登山中は暑くてTシャツ1枚で行動することも想定できますが、一旦、空が牙を剥くと厳冬期の気候に逆戻りしますので十分な備えが必要です。
この「備え」について4つのポイントがあります。
十分な備え4つのポイント
・汗をなるべくかかないように登る
・行動食をこまめに摂取する
・ツェルトは必ず持ち歩く(必須です!こちらの記事にも書いてます)
・防風に耐えうるアウターを持っていく
汗をなるべくかかないよう登れと言われても、残雪期で快晴の日だと汗ばんできます。
個人差による体質もありますので対策ポイントとしては、速乾性が高くかつ保温性の高いアンダーウェアを着用することです。
モンベルのスーパーメリノウールは薄手でいながら保温性、速乾性の両方を兼ね備えたシャツです。
肌触りもいいので残雪期のアンダーウェアは薄手のメリノウールを着用しています。
行動食をこまめに摂取する際は、小ぶりな食べ物を数多く準備しておくことです。
一度に大量に食べ物入れても体が疲れるだけですから。
内臓にも負担がかかってパフォーマンス落ちます。
小まめに食べ物を摂取するのが一番理に適っていますよ。
この食べ物を選択するポイントは
・保存が効くこと
・調理器具に依存しないこと
・高カロリーであること
・ポケットサイズで小分けにできること
です。
食べ物はなるべく油脂類を使ってないものがいいですね。
カロリーメイト フルーツ味 は非常食としても常備しています。
ポケットサイズなうえ、食べやすく保存がきくので重宝しています。
また、カステラもいいですね。
砂糖を大量に使っているので日常生活面では必ずしもいいとは言い切れないのですが、山の行動最中では体力の持続能力をブーストさせてくれる一面もあります。
また、余計な油脂類が使われてないのもポイントです。
長崎心泉堂 長崎カステラ 幸せの黄色いカステラ 10切カットタイプ
良質な油脂類はナッツ類から摂ります。
カロリーも高くタンパク質も同じ分量であれば肉や魚に匹敵する含有量を誇ります。
ツェルトは必ず持ち歩いて下さいね。
最悪、これ被れば風から身を守れますから。
山で一番怖いのは雨でも雪でもありません。
風です。
風はどんどんと体温を奪います。
たとえ気温がプラスでもです。
一旦、体が冷えてしまうとリカバリするのが困難になります。
風が吹くリスクがあるのは合戦尾根から燕山荘までの区間です。
合戦小屋から燕山荘まで時間にして1時間から1時間半程度のもですが、山では何が起こるか分かりません。
備えあれば憂いなしです。
私が稜線系の登山に行くときは必ずアライテントのスーパーライト・ツェルトを持ち歩いています。
たとえ使わなくてもです。
万が一の備えです。
たかが300gをの軽量化よりも、その程度の体力は養っておきましょう。
防風に耐えうるアウターはモンベルのストームクルーザーでもOKですが、厳冬期並みの気候になることも考慮すると冬用のアウターを持って行くべきかなって思います。
繰り返しになりますが残雪期の日中は初夏のような陽気になることもあります。
この季節は陽気な気候と荒天になった時のギャップが大きいので、目の前で見ている天気予報の情報だけを見るだけでなく一番不快なパターンを想定しておきましょう。
この備えをきちんとしつつ燕山荘に辿り着けば、翌朝、モルゲンロートを拝むことができますよ。
個人的には合戦尾根に少し下ったほうが楽しいと思うなー。
モルゲンロートが始まる頃を狙って合戦尾根まで登山をする
時間がない人向けです。
やろうと思えば日帰りスタイルでモルゲンロートを狙ってくることも可能です。
ただ、モルゲンロートが始まる頃を狙って合戦尾根まで登山をするは、これまでに何度も中房温泉から燕山荘までを様々な季節に通過したことがある人のみ挑戦してもOKな方法です。
簡単に言うと夜中の0:00くらいに中房温泉を出発してモルゲンロートが始まる頃に合戦尾根の到達するやり方です。
早過ぎれば朝方の稜線の気温の低さに凍えることになりますし、遅ければ太陽が上がってしまいます。
意図的に登坂スピードをコントロールするスキルが問われますね。
この方法をやるなら自分の歩行ペースを普段から意識できている必要があります。
つまり現状把握能力があることが大前提となります。
具体的には以下の能力が問われます。
・要所ごとのポイントまでの所要時間の算出と実際の歩行速度に乖離がないこと
・コンディションの変化による影響を受けた時点から予測時間を算出できる
このスキルは様々な季節、気候、天候、コースのコンディション、自分の体調などあらゆる角度で登攀ペースを計測して、始めて自分の感覚に落とし込まれるものです。
場数をどれだけ踏んできたか、そしてどのくらい意識してきたのかで決まってきます。
当然、真夜中ですから寒いです。
完全に厳冬期の装備で行きましょう。
ひとつ、コツがあるとすれば「白湯」を持ち歩くことです。
体を温めるには白湯が一番です。
こんな時に役立つのがサーモスの山専ボトルです。
厳冬期でもポットにお湯を入れた時点から6時間経過しても熱々の白湯を飲めます。
登山開始前に中房温泉で白湯を作って行けばいい感じになります。
日の出時刻とモルゲンロートの時刻を知っておくこと
先にも書いた通り5月の1週目で山(槍ヶ岳方面)が染まり出す時間が5:00〜5:10頃になります。
東の空に白みが出てくる4:30くらいには撮影場所へ到着しカメラの設定をしておきたいところです。
5月6日に登った時の実例を出しましょう。
私の日記から抜粋。
0:15より中房温泉から登山開始。
3:30合戦尾小屋通過。
3:40頃、東の空が青白くなりだす。
4:00、流れ星を見る。
4:50日の出。
5:05モルゲンロート。
9:00下山(中房温泉)
私が愛用している太陽・月・星のこよみの裏には東京の日の出入り情報が掲載されています。
私が行った5月6日の東京の日の出時間は4:44です。
ほぼ毎年同じ時間で掲載されています。
年によって1、2分のブレはありますがほぼ同じ時間だと思ってください。
東京の日の出の5分後に日の出、21分後にモルゲンロートが始まるということです。
以上のことを踏まえると、やはりどんなに遅くても4:30にはスタンバイすべきです。
参考までに太陽・月・星のこよみ(2018年) から抜粋した東京の日の出入時刻とモルゲンロートの予測時間を載せますので目安にしてみてください。
ほぼ毎年こんな感じですよ。
日付 | 東京の日の出 | モルゲンロート 予測時間 |
4月21日 | 5:01 | 5:22 |
22 | 5:00 | 5:21 |
23 | 4:59 | 5:20 |
24 | 4:58 | 5:19 |
25 | 4:56 | 5:17 |
26 | 4:55 | 5:16 |
27 | 4:54 | 5:15 |
28 | 4:53 | 5:14 |
29 | 4:52 | 5:13 |
30 | 4:51 | 5:12 |
5月1日 | 4:50 | 5:11 |
2 | 4:49 | 5:10 |
3 | 4:48 | 5:09 |
4 | 4:56 | 5:08 |
5 | 4:45 | 5:06 |
6 | 4:44 | 5:05 |
7 | 4:43 | 5:04 |
8 | 4:43 | 5:04 |
9 | 4:42 | 5:03 |
10 | 4:41 | 5:02 |
これで準備OKですね。
あとは機材でも準備しておきましょう(よく朝焼けの撮影で私が使うものです)。
このレリーズ、X-T2でも普通に使えてます。
レンズはお好みでいいじゃないかな?
それでは。
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